ゲリラ豪雨とは突発的に狭い範囲で短時間に降る集中豪雨のことである。正式な気象用語ではなく、気象庁では「局地的大雨」と呼んでいる。近年発生率が高まっており、日本では8月中旬~9月中旬にかけてもっとも発生率が高い。
今回紹介するホラー漫画は、ゲリラ豪雨に見舞われ、雨宿りを余儀なくされたシーンから始まる。軒下でひとり雨宿りをしていたはずなのに、不思議なことにいつのまにか知らない女性が隣に立っていた。着物姿の女性を気味悪く感じる主人公だが、何かされたわけでもなく逃げるのも気が引ける…。そもそも、辺り一面が豪雨に見舞われている状況下では逃げる術もない。豪雨であらゆる生活音もかき消され、外にいるのにある意味、そこには2人っきりの空間が出来上がっていた。そしてふいに隣の女性が「ねえ」と声をかけてきた。「濡れずに行く方法を一緒に試してみないか」と言うのだが…!!
本作「ゲリラ豪雨」を描いたのは現在、電子雑誌「comicタント」(ぶんか社)にて、都市伝説系漫画「ただのうわさです」(原案:飯倉義之)を連載中の三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんだ。ホラー作品や都市伝説漫画をおもに描いている漫画家・三ノ輪さんに本作について話を聞いた。
――三ノ輪さんは知らない人と2人きりで雨宿りをした経験はありますか?
昔から夏のにわか雨が好きなんです。一瞬でがらりと周りをとりまく空気も景色も変わって、異世界に迷い込んだ感じに怖くなりつつもワクワクします。2人きりで雨宿りをした経験はないのですが、ゲリラ豪雨のような逃げ場のない雨宿りはかなり怖いですよね。隣にいる人が何か怪しい動きをしている…でも目が合うのも怖いから何をしているのかはっきり確認できない。ほかにも電車などの人混みのなかでも感じることのある恐怖だと思います。
――“知らない人と2人で雨宿り”というシチュエーションは少女漫画だと恋が始まりそうですが、三ノ輪さんの手にかかるとやはりホラーが始まってしまうんですね(笑)。
恋が始まるパターンもあることにいま気づきました!というか、そちらの方が多いですね。そちらのパターンも考えてみたのですが、その後、相手の素性がわかるにつれてホラー展開になっていき…。結局、怖いお話になってしまいました…。
――三ノ輪さんは都市伝説を扱った漫画も連載されているんですよね!
「死体洗いのバイト」や「メリーさんの電話」「タクシーの幽霊」など、昔からある都市伝説を現代版にして描いた「ただのうわさです」を連載中です。短編読み切りでいろいろな話が登場します。実は、単行本として第1巻も発売しました!よかったらチェックしていただけるとうれしいです!
本作「ゲリラ豪雨」を読んだ読者たちは「これはマジでゾッとする」「怖ええええええ」と震え上がった。「ふっと日常に入ってこられる恐怖がある」という声や「この手の幽霊嫌い」という声まで届いた。ゲリラ豪雨の多いこの時期、もし知らない人と2人っきりで雨宿りをすることがあったときは、頭の片隅でこの話を思い出してみて。どんなに残暑が厳しくても、きっと全身がひんやりすること間違いなしだ。
取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)