お笑いコンビ・バッドボーイズのボケ担当でおなじみの清人さん。地元・福岡の海沿いの町で過ごした幼少期のこと、家族のことをテーマにした漫画「おばあちゃんこ」を描き始めた。かなり特殊な家庭環境にあって、さらに身体に障碍を抱えながら、幼い清人さんを育てる哲子ばあちゃんがこの物語の主人公。
連載第11回の今回は、こんなことが家に起こるの!?という、ハプニングのお話。数匹ならかわいいけれど、集団になると災害レベルの猛威を発揮する猫との思い出を作者のおおみぞきよとさんに語ってもらいました。
■猫なんだけど、猫じゃない得体のしれない何かに怯えていた
――きよとさんの家には何匹くらいの猫が集まっていたんですか。
常連メンバーと、イレギュラーにやって来る野良猫もいたので正確にはわかりませんが、少なく見積もっても10匹はいました。
――家の天井が徐々に降りてくるってちょっと怖いですね。
そもそもがベニヤ板が貼ってあるような頼りない天井だったんです。腐ってべローンってはがれかけてましたから。
――その天井の「もっこり」の理由が猫というのはわかっていたんですか?
頭ではわかってました。わかっちゃいるけど、人間って暗闇だとか目に見えないものが怖いんです。天井から猫の足音とか鳴き声がするからわかっているはずなのに、猫以上の何かを想像するんです、何かの死体だったらどうしようとか。だから猫なんだけど、猫じゃない得体のしれない何かに怯えていた、それが僕の実感なんですね。
――おばあちゃんは天井が危うい状態になっているのを知っているのに、どこか無頓着だったんですね。
本来、ばあちゃんは「家が壊れる」ような脅威に関してだけは、恐怖を感じていたんですけどね、台風とか地震とか。でも天井だけは「やーねぇ」くらいな反応だったんです。僕が「やばいよ」とか「もうイヤや」とか言いながら、その天井の状況を説明をしたんですけど。でも家が揺れるわけでも音がするわけでもなかったからピンとこなかったんでしょうね。視認できないから、現実味がなかったんだと思います。でも、天井が落ちてきたときはめちゃくちゃ叫んでました。
――おばあちゃん以外の大人たちは、なぜ崩落の前に先手を打たなかったんですか?
僕が思うに、彼らはとんでもなくものぐさだった。絵を見て気付かれた方もいるかもしれないですが、部屋の中に当たり前に紙屑とか転がってるんです。ばあちゃんは目が見えないから気付かないし、男たちはまったく気にしないんです。汚れていても散らかっていても、見て見ぬふりというか。この天井崩壊も、結局近所の人が修繕してくれたんです。
――天井が落ちてきたときの様子を教えてください。
もう限界だろうと思っていたら、案の定「バーン!」と。で猫がもう何匹も降ってきて……。我に返った後に床に落ちてきた猫を、追い出して。でも、野性が強く残っている猫も結構いて、そいつらは「フゥーッ!」って威嚇してきたりしてくるもんだからてこずって。
――さすがに引っ越したくなりますね……。
引っ越したいとはずっと思っていたんですが、これが決定打でしたね。真剣に引っ越しを訴えました。でも18歳になって吉本に入るまで住み続けたんですけどね……。見果てぬ夢でした。
天井から何十匹の猫が降って来るって恐ろしいですよね。しかもほとんどが生粋の野良猫なので愛想も悪いでしょうし……。次回もそんな野良猫たちとの思い出を語ってもらいます。お楽しみに!
■おおみぞきよと
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