
販売の仕事で体験した出来事や日常で感じたことなどを漫画に描き、TwitterやInstagramで発信しているタジマオオカさん(@pu92yu)さん。店舗で働いているとさまざまなお客様や場面に遭遇するという。なかでも、顧客の優位な立場から従業員に対して言い掛かりや理不尽なクレーム、侮辱などをする迷惑行為「カスタマーハラスメント」(以降、カスハラ)について描いた漫画「かすはら物語」や「お客様に助けられた話」が大きな反響を呼んでいる。思わず「怖い」と身震いする場面も少なくなく、多くの共感の声が寄せられている。
ウォーカープラスでは「かすはら物語」をリメイクし、「お客様は神様ですか?」と題して連載をスタート。タジマさんが実際に体験したカスハラや、販売員に対するお客様からの無理なクレームや言動に悩み、対応を考え続けた日々についてお届け。
今回は、カスハラを受けたスタッフへの対応についてや、タジマさんが「カスタマーハラスメント」という言葉を初めて知ったときに感じたことなどを、インタビューを交えながら紹介する。
■守ってくれる存在がいれば安心して働ける
――もしタジマさんがシフト管理などをする上司の立場なら、カスハラを訴える販売スタッフにどのような対応をしたいと思いますか?
「カスハラには個人への侮辱や、中には性的な発言もあるので、人に話すのは勇気がいります。まずは訴えてくれたことに感謝します。そして嫌な気持ちを持ち越さないよう、訴えてくれたそのときに丁寧に聞き取りを行いたいです。しかし現場はギリギリの人数で回しているのが現実で、持ち場を離れることはできません。カスハラへの対応時は、近隣の店舗から一時的にでもスタッフを回してもらうなど、組織的な取り組みが必要になってくると思います」
――「安心して笑顔で働いてほしい」という上司の言葉には共感できますが、タジマさんが考える安心して自然と笑顔になれるような職場(売り場)とは、どのようなものでしょうか?
「これはもうお互いの信頼関係があるかないか、これに尽きます。いざというときに守ってくれる存在がいるかいないかで現場の安心感は大きく違います。安心感があれば自然に笑顔も出てきます」
確かに今回の漫画にも出てくる、客に絡まれているときに誰も助けてくれず、「仲間から見殺しにされたように思える」というシーンには、胸がギュッとなり不安を感じてしまう…。
■商品の評価が高くても複雑な気持ちに
――SNSに販売スタッフの写真が勝手にアップされていた、というお話がありましたが、実際にそういった投稿を見たことはありますか?そのとき、どう感じましたか?
「スタッフが写っている画像付きの投稿を見ました。悪意のある投稿ではなく、むしろ商品に対して好意的なものでしたが、複雑な気持ちでした」
「カスタマーハラスメント」という言葉や意味を知ったときの思いをタジマさんに聞くと、「これまで同じような事例があっても、接客販売の現場では『いろいろな人がいるから~』と軽く流されて当然な風潮があり、むしろ『気にする方がおかしい』というような感じでした。けれど『カスタマーハラスメント』という言葉と意味を知ったとき、『ああ、これはハラスメントだったんだ』と認識しました。そうなるとカスハラする人はもちろんよくないけど、『お客様だから何を言われても我慢する』という自分たちの対応にも問題があるんじゃないかな?と考えるようになりました」と話してくれた。