お金の問題になんとなく気づいてはいるけれど、なかなか手を付けられない人が多いのでは。近年は食品や日用品の値上げ、電気・ガス代の高騰、保険料の増額など、家計には逆風の環境となっている。多くの主婦の方は、日々のやりくりの厳しさを実感しているだろう。
お金の流れをきちんと管理して、少しずつお金を増やしていくにはどうすればよいのか。
今回は「主婦にやさしいお金の増やし方BOOK」(りりな/KADOKAWA)の著者である「りりな」さんに、家計管理や投資のコツについて聞いた。
■お金を増やす土台作りは家計簿アプリとポイント経済圏
――家計改善の第一歩は「現状把握」で、そのために家計簿アプリが役に立つそうですね。
家計簿って自分でつけるのは面倒で、続かないことが多いですよね。スマホの家計簿アプリなら、収入や支出が自動的に入力され、計算もやってくれます。銀行口座やクレジットカードを登録すればいいので、とても楽ちんです。私が愛用している家計簿アプリが「マネーフォワードME」で、支出の項目を当月・前月で比べて見られます。使いすぎなど、家計の問題点もわかりやすいですよ。
――支出の見直しは固定費から取り組まれたそうですね。もっとも効果があったのは何でしたか?
まず効果が大きかったのは保険の見直しです。私が契約していた「ドル建ての保険」、夫の「個人年金保険」を止めました。両方ともお金を増やすために加入していたんですが、保険と資産運用は分けたほうがいいと思いましたので。
次に「格安SIM」の導入で、通信費も大きく減らせました。楽天モバイルを契約しているのですが、すべて楽天ポイント払いにしているので、ここ4年くらいは実質0円で使えています。
――固定費の削減でお金を貯めやすくなりますね。先取り貯蓄の金額は、毎月どれくらいがよいのでしょうか?
毎月の手取り収入の20%を貯蓄に回して、最終的に12カ月分貯めることをおすすめします。もし仕事を辞めることになった場合でも、12カ月分の生活費があると、雇用保険の失業手当も合わせれば、1年間は生活費の心配はいりません。1年あれば再就職することもできるでしょうから、12カ月分を貯めておくと安心かと思います。
――お金を増やすコツとして、ポイント経済圏の活用も本で紹介されています。経済圏を選ぶポイント・考え方は何でしょうか?
シンプルに、自分がよく使うサービスで選ぶのをおすすめします。それぞれの経済圏は、クレカ・銀行・電気・ガスなどサービスの対応領域に違いがあります。楽天経済圏はほぼすべてカバーしているので、私も活用しています。
――スマホ決済やクレジットカードなど「キャッシュレス決済」は便利ですが、使い過ぎを心配する方もいます。上手に使いこなすコツは何でしょう?
先ほどもお話しした「マネーフォワードME」を使うと、何にいくら使ったのかが簡単にわかりますから、スマホに必ず入れておいてほしいですね。さらに、身に覚えのない利用があったときもすぐ通知されるので、セキュリティ面でも安心です。私のフォロワーさんで実際にフィッシング詐欺にすぐ気づけた方がいて、お礼の言葉をいただいたこともありましたよ。
■ふるさと納税でもらえる返礼品で生活費を削減
――30代~40代の主婦の方におすすめの返礼品は何でしょうか?
お子さんがいらっしゃる家庭が多いでしょうから、基本的には日常で消費するものがおすすめですね。具体的には、お米、玉ねぎ、銀鮭とか、あとはティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの日用品もいいと思います。食品は賞味期限をチェックして、期限までに消費できるかも考慮するといいですよ。
――ふるさと納税の注意点や間違えやすい点は何でしょうか?
住民税の先払いであり、翌年の自分のためにするものだということをしっかり理解するようにしましょう。具体的な手順は本で解説していますので、ぜひ読んでいただければと思います。また、ふるさと納税は年末にやるものと勘違いしている方もいるようですが、1年中できます。一部の返礼品は値上げもあるので、1年を通して計画的にやるのがおすすめですね。
■初心者も実践しやすいつみたてNISAでお金を増やしていこう
――お金を銀行に預けていても増えない時代で、投資の重要性に気づく方も増えていますね。
つみたてNISAはできることが決まっていて、投資信託を選んで毎月積立をしていくだけなので、初心者の方も実践しやすいです。積立は自動ですから手間がかかりませんし、得られた利益は非課税です。毎月100円から積立できる証券会社もありますから、もうやらない理由がないですね。
――銘柄選びの考え方やポイントについてお聞かせください。
リスク許容度で選ぶのが基本で、銘柄の特性を把握して、自分の投資の方針と照らし合わせるのがポイントです。たとえば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」なら、アメリカの大企業に分散投資をすることになります。この銘柄はその他の地域には分散していませんが、アメリカが今後も強いと考えるから選んでいるということを認識するのが重要です。
――つみたてNISAは手軽に始められる一方、長期間続けられない方もいるようです。
積立を止めたり利益を確定させたりする方もいるようですが、短期目線になっている感じがします。つみたてNISAは、将来の自分や家族のために投資しているということを認識してほしいですね。経済的に苦しくなった場合は、掛金を減らすこともできますから。
■投資に慣れてきたら「攻め」の投資も取り入れて資産形成のスピードアップ!
――つみたてNISAの次の投資として、個別株投資を挙げていらっしゃいますね。
資産形成のスピードを早めるのに向いている方法ですね。ただし個別株投資はリスクも上がりますから、少額でスタートしてほしいです。優待や配当で優れた銘柄をまず1株買ってみるといいのではないでしょうか。
――主婦の方にうれしい優待を出している銘柄はどれでしょう?
すかいらーく、クリエイト・レストランツなどがあります。クリエイト・レストランツは優待を使える店舗が増えたので、さらに使いやすくなりました。あとは写真館のスタジオアリスの優待で、家族の記念写真を撮るのもいいですね。
――配当の高さから米国株に注目する方も増えていますね。
米国株は「株主ファースト」で配当を重視していますから、私も保有していますよ。アップル、ジョンソン&ジョンソン、マイクロソフト、P&Gなどですね。PayPay証券を使うと、1000円から米国株を買えますよ。
■節約や投資をすることの目的をしっかり考えよう
――最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
「家計管理や投資は何のためにするのか」をしっかり考えていただきたいですね。ただ単に「貯めたい・増やしたい」だけでは、節約も投資も長続きしません。10年後・20年後の自分がどうありたいか、自分や家族の幸せとは何なのか、そのためにお金をどう使うのかを考えることも必要だと思いますよ。
取材・文=安藤 真一郎