
人生100年時代――。2017年末に「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされ、今や多くの人が耳にしたことがあるフレーズだ。長寿大国と言われる日本に暮らす我々にとって「人生100年時代」は決して他人事ではない。しかし、超高齢化社会の到来と比例するように少子化が進み、単身世帯、孤独死、老年期鬱、高齢ドライバー、老害など、高齢者を取り巻くさまざまな問題はネガティブな印象に偏りがちである。そんな日本の超高齢化社会を明るく生き抜く“最強おばあ”がいた。
“最強おばあ”の孫である、きよまろさん(@sobomiyako98)は、戦争や震災、夫との死別、シングルマザーを経て100歳までポジティブに生き抜いた祖母・みや子のエピソードを「祖母・みや子98歳」として漫画化、発信している。ウォーカープラスでは、「祖母・みや子98歳」をパワーアップさせ「祖母・みや子100歳~年を取るって楽しく愉快だ!~」と改め、筆者・きよまろさんの漫画を中心に、老いることを愛おしく感じられるエピソードを多数紹介していく。今回は、毎年更新される暑さを凌ぐためのクーラー問題。そして“最強おばあ”との旅行をテーマにエピソードを伺いました。
――毎年暑さが厳しくなっていますが、熱中症になるまでエアコンに頼らなかったみや子さんを、きよまろさんはどう思っていましたか?
「祖母を含め高齢になると『昔は冷房なんてなかったし、なくても平気だった』と、経験で物事を判断したり、比較しがちですよね。加えて、高齢者は体温調節がうまくコントロールできない、暑さを感じにくい、自分の汗で体を冷やしてしまうなど、さまざまな理由で適切な室内温度を保てなくなるので、祖母に限らず『高齢者あるある』だと思っています。更に近年『エコや環境問題』『電気料金含め物価の高騰』など、クーラーを使うことをためらう要素もあり、夏の過ごし方の判断が難しくなっているように感じます。祖母のクーラー渋りをする気持ちはわからなくはありませんが、主治医の言うことはもっともだと思います。病院は身体に何かあってから行くところですが、未然に防ぐ意識も大事だと思いました」
――みや子さんと旅行をして印象的だったことはありますか?
「祖母は旅に出かけることが大好きでした。ですから、年齢や身体の衰えを理由に断ることはなかったかと思います。ただ、旅行の日程については無理がないように『若いころは1泊2日で出かけられたことも、年を取ったらその倍の日程(時間)を取らないとだめよ』と言っていたのは印象的ですね」
――きよまろさんは、これらのエピソードからどんなことを学び、生かしていますか?
「私は医療職なので、どうしても『介護予防』の観点から『歩け』と言ってしまいがちですが、祖母の言う通り、人は『目的があるから歩く』という極当たり前のことを忘れてはいけないのだと思いました。理想を押し付けず自分らしく生きる祖母と、それをそれとなく支える叔母からは学ぶものがあります」
今を生きる老若男女を元気にする、100歳まで生きた“最強おばあ”祖母・みや子。いくつになっても「自分らしさ」を追い続ける姿は、歳を重ねていく我々に勇気と導きを与えてくれる。