オカン以外の女子と喋らず終わる、模試で女子大の判定を出す…これがリアルな「男子校の生態」だ!【作者に聞く】

  • 2023年7月19日
  • Walkerplus

広告プランナーとして働く作者・コンテくん(@conte_kun)が中学高校の6年間通っていた男子校での愉快な日々を描いた「男子校の生態」。共学出身の人にとっては「男子校ってこんな世界なんだ!」と新鮮な気持ちで楽しむことができ、同じ男子校出身の人にとっては共感できる部分も多い作品だろう。SNS投稿時から人気の高かった作品は2023年3月に書籍化されて重版出来、広島本大賞にもノミネートされるなど更に話題を呼んでいる。そんな「男子校の生態」作者に作品の誕生秘話を聞いた。


■自分にとっては当たり前の男子校の生活が興味深いコンテンツだった
――最初に男子校漫画を描こうと思ったキッカケを教えてください。

コロナが流行り始めた2020年春に、少し時間ができて「いま何か新しいことに取り組んだら実になるかもしれない…!」と妙に張り切り、漫画学校に通い始めました。そのときに出た課題が「1日1ページ漫画をSNSにあげること」。無理なく更新するために身近なテーマから探していて「中高6年間男子校だったことでも描くか〜」とゆるく考えていたら、周りから「その男子校の漫画、めっちゃ読みたいです!!」って反応がよかったんです。自分では普通で当たり前だと思っていた男子校の生活が、ほかの人から見ると興味深いコンテンツであるとそのとき感じて、描き始めたのがきっかけですね。

――投稿当初、SNSでの反応はいかがでしたか?また、書籍化の提案を受けた時の率直な感想も教えてください。

漫画を描き始めて間もなかったのですが、ありがたいことに男子校漫画を読んでくださるフォロワーが次々に増えて、うれしかったのを覚えています。「男子校の世界を覗き見できて楽しい」「ほんわかした絵柄なのに、下ネタがアクセントになっているギャップがいい」といった感想がよくきていました。

そこから自分のペースで描き進めて、ページがたまったのをきっかけに冊子にまとめ、コミティアに初参加しました。自分の本を出すことにちょっと憧れがあったので、それだけで満足だったのですが、初参加したコミティアでいまの担当編集の方に声をかけていただき書籍化の提案を受けました。率直な感想で言うと「自分の本が本当に出せるんだ、すげーーー!」って感じですね(笑)。本当にうれしかったです。

■生々しい下ネタはちょっと柔らかく優しめに
――書籍化に際して加筆・修正されるなかで、大切にしたことなどはありますか?

本業のCMプランナーの仕事の息抜きに男子校漫画を描いていたので、これまであまり考えずに描いてきました。そこで書籍化に際して、レベルアップの意味も込めて大事にしたのは「自分自身のキャラクターの深掘り」です。

もともと人間観察が好きだったので友人たちを客観的に深掘ることはできていたのですが、自分(コンテくん)の感情をあまり描いてこなかったんです。僕自身、ちょっとドライで斜に構えているところがあり、「自分のことを掘り下げても、みんな興味ないんじゃないか…?」と思っていて。でも、編集さんに「コンテくん自身をもっと掘り下げてみてください」とアドバイスをいただいて、一旦、ドライで斜に構えている自分を取り外して考えてみました。

そうすると気恥ずかしいと思っていたこともあまり気にしなくなり、「そういえば男子校にいたとき、みんなにかわいがってもらってたなー。それ描こう!」と思って描いたのが「男子校の姫ポジ」のエピソード。僕が周りの男子たちに姫扱いされ、かわいがられていたときのお話です(笑)。当時その状況をどのように思っていたか自分の心情をしっかり入れることで、より温度感のある男子校の生態を描けるようになったのかなと感じています。

――男子校のリアルということで際どい下ネタも多かったりしますが、書籍化に際して何か気を遣った部分などはありますか?

みんながクスッと笑える下ネタになるようには意識していますね。下ネタってそのときのノリや雰囲気、時代性…といったあらゆる要素で成立しているので、そのままを描いてしまうとちょっと危険だったりすると思うんです…(笑)。特に中学生、高校生の下ネタはダイレクトなので。そういうことも考慮して、生々しい下ネタはちょっと柔らかく優しめに描くようにはしていますね。

■男子校にもいろんな流派があるんだと思います
――ご自分にとっては当たり前だった男子校の日々を描いてみて、意外な反応などはありましたか?

女子校の方から共感の感想がたくさんきていたことが意外でした。男子校や女子校みたいな「異性がいない環境」に身を置くことで起こる現象で共通するところがあったみたいです。そのひとつが、「今まで異性が担っていたポジションを担当すること」。例えば、僕が担っていた「姫ポジ」と同様に、女子校では「王子ポジ」が生まれ、その王子ポジの子を守る「騎士ポジ」が現われた話はおもしろかったですね…(笑)。また男子校の子からは、聖母みたいな「母ポジ」も生まれていたという報告も受けて、女子校も男子校もまだまだ奥深いなと思いました(笑)。

――同じ男子校出身の方からの反応で、何か印象的なものはありましたか?

男子校の同級生からは「お前の漫画を読んでいると昔を思い出せて楽しい」「懐かしくて泣きそう」といった感想が届いたのはうれしかったですね。あまり話してこなかったクラスメイトからも久しぶりに連絡がきて、書籍化の影響力も感じました。

一方でSNSでは、同じ男子校出身者でも「めっちゃわかる!」という方もいれば「俺のところは全然こんな感じじゃなかった」という意見もあってなかなか興味深いです。女子校と比べて男子校は母数が少ないので、サンプルが少ないのもありますが、いろんな流派があるんだと思います。

あと母校の後輩からTwitterで「母校の世間に出してはならない部分をうまく取り除いて描いてあって素晴らしいクオリティ」と引用リツイートされていたことには笑ってしまいました(笑)。

――改めて男子校生活を振り返ってみて、男子校だったからこそ学べたことや経験できたことはありますか?

男子校にいると異性の目を気にしなくていいので、無理に男らしさを意識しなくてよくなるんです。それによってみんながみんな自分らしく、のびのびしていられてとても楽しかった。共学よりもいろんなタイプの男子が生まれていたと思います。ある意味、動物園みたいでしたけど…(笑)。このときの経験のおかげで、何事も力を抜いて楽しむ力が身についたのかもしれません。

――出身校の自由でのびのびとした校風も素敵だなと感じられる作品だと思います。SNSでは校長先生からの粋な手紙も公開されていましたが、この作品を通して母校と関わることになって、どう感じていますか?

元々母校だとバレないようにこっそり描いていたのですが、発売するにあたって先生に報告したらとてもノリ良く学校のSNSで宣伝してくださって…(笑)。校長先生は地元紙のインタビューにも答えてくれていました。書籍を出して改めて気づいたのは、母校の先生も現役生もOBも保護者もみんなノリがいい。本当に楽しい学校で過ごしてきたんだなと懐かしく感じました。

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