
こんにちは。YouTubeチャンネル「聞いてわかる投資本要約チャンネル」を運営している、二児の父でサラリーマン投資家のタザキ(@tazaki_youtube)と申します。
学生時代に株の魅力を知って以来、投資本好きが高じて自分の学びをYouTubeで発信したところ、想像以上の反響を呼び、3年間でチャンネル登録者が10万人を超えました。これまでに読んだ投資・マネー系の本は300冊以上。その経験から、ここでは特におすすめの書籍や、コスパの高い書籍を、経験値や投資スタイル別で紹介していきます。
本日は「投資を生き抜くための戦い」(著:ジェラルド・M・ローブ/パンローリング)をご紹介します。この本の著者であるジェラルド・M・ローブ氏の、40年以上にわたるウォール街での実体験に基づいており、初版が1930年代に出版されて以来、その後も改訂を重ねてきたロングセラーの一冊です。
ウィリアム・オニール氏など、多くの著名投資家からの絶賛を得ています。本質的な考え方が78のテーマで解説されており、どんな時代にも通用する内容だと思います。
■投機的な心構えこそが重要である
本書の中心主題の1つは、「投機的な心構えを持つこと」です。「投機」というと「ギャンブル」のような、あまりよくないイメージを持つかもしれませんが、作者はその解釈を再定義します。
第2章「投機的な心構え」では、“成功のためには、投機家の目標はうんと高く掲げなくてはならない。それだけでなく、その目標は投機的でなければならない。というのも、それでしか安全が得られないからだ。矛盾して聞こえるかもしれないが、買い手は投資した資本の将来の見返りを待っているだけではだめだ”。
通常、「投資」が「投機」より安全と思われがちですが、本書はその逆を主張しています。すなわち、目標値が高いことにより、投機が逆に安全になるというのです。
第6章「投機 vs 投資」では、“私は、小さな利益と安全を求めると、必ず損失を招くと信じています。だからこそ、投機が投資よりも損失を抑え、利益を生みやすいと考えています”。
この「投機が安全だ」という考えは、従来の私の認識を覆しました。しかし、読み進めると、「攻撃こそが最大の防御」であることかと感じられました。
しかし、この考え方はあまり初心者向けではないと思います。初心者はまず投資から始め、経験を積んだ上で投機を試すべきだと思います。
■分散投資に関する誤解
本書では上級者向けの戦略として「分散投資よりも集中投資」が推奨されています。一見リスクが高いように思えますが、多くの成功者の中には、小さな元本から集中投資により資産を大きく増やし、一定規模に達したあとに分散投資へと転じる投資家もいます。結局、分散投資で増やすことのデメリットは、「時間がかかること」です。待つ時間が残されている方はいいですが、より短期間で成果を出したい方は、同書の集中投資に関する記述は必見です。
一般的に「卵を一つのかごに盛るな」という分散投資のアドバイスがありますが、同書では、「全ての卵を一つのかごに入れ、それを見守ることが最も安全」という言葉が象徴的ですね。
少数銘柄への集中投資は、投資への注意力も集中され、自己の経験に基づいた判断が可能となります。そして個々の銘柄については、トレンドを重要視します。
個々の銘柄をろくに調べもせずに、通貨の下落と株価の上昇を暗示する状況を見て主力株を買い、ひと財産築いた人々もいます。価格水準を見定めるよりも、上昇または下降トレンドを追うほうが、利益を上げるうえでより確実と言われます。
実は「バフェットからの手紙 第5版」(著:ローレンス・A・カニンガム/パンローリング)にも同様のことが載っています。エコノミストであり素晴らしい投資家でもあったケインズが、信頼のおける経営陣がいる2〜3程度の企業に集中投資することを推奨します。ウォーレン・バフェット自身も、集中投資のスタイルです。
しかし、全ての人が集中投資すべきというわけではありません。初心者に対しては、基本的な投資の手練を身につけるまでは分散投資が推奨されています。
そして、明瞭な状況下では集中投資、不確定な状況下では投資を控えることが重要であると説明されています。つまり、自信がある場合のみ、その追求を続けるべきだと主張しています。
例えば、投資可能な資金の10%を投資することは大きな決断です。その金額を賭ける自信があるかどうかは重要な判断基準で、自信のない場合は投資するべきではないと強調されています。「それだけの自信を持てる投資先への集中」だからこそ、安全であるということですね。
■個別株を買う前に行うべきこと
39章「投資家へのアドバイス:常にメモする」では、“投資を行う際には、その投資を行った理由、目指す利益、許容する損失の上限などを記録に残すことで、大きな損失を防ぐことができる”と述べられています。
これは簡単なことのように思えますが、人間の感情は時にロジックを覆すことがあります。成功した投資家たちの多くが共通しているのは、投資ルールを厳格に遵守しているということです。
彼らが見返りを得た投資には、必ず事前の分析が行われています。反対に、感情に流されて即座に行った決定は、多くの場合、惨めな結果に終わっています。これは、しっかりとした計画を立てることの重要性を示しています。
また、投資した理由を記録しておくことで、その理由が本当に重要だったのかを後から評価することが可能になります。
誰しもが間違いを犯すことがあります。しかし、購入の理由をしっかりとメモしておけば、後から「この理由で購入したのに、それが間違っていた」と振り返り、次回に活かすことができます。
また、購入の根拠が変わってしまった場合には、それが損切りする理由ともなります。このように、一貫した記録を保つことは、よりよい投資結果を得るために非常に重要です。自分の思考を深く掘り下げることができ、さらに明確な視点を得ることができると思います。これは重要なポイントであると感じています。
■「新高値」と「新安値」のリスト
銘柄が新高値を更新すると、その銘柄が割高ではないか、または今が買い時ではないか、あるいは価格がもう少し下がるのを待つべきではないかと考えがちです。しかし、第42章「大切なのは株価」では、そのような考え方は必ずしも正しくないと述べています。
“現実的な方法としては「新高値」と「新安値」のリストを見ておくだけでも役に立つ。あなたの持っている株の多くが高値を更新していれば、現在の状況において適切な銘柄を持っていると考えられる”。
まさにこのあたり、オニールの投資手法にも影響を与えていると想像できます。
皆さんのポートフォリオはどうでしょうか。最近高値を更新している銘柄がありますか?僕も自分のポートフォリオを今一度確認しました。ただ、既に上がっている株ではなく、これから上がっていく株を持つべきだということを学びました。
■投資は年齢相応に行う
ということで44章「投資は年齢相応に行うこと」から学んだことを一言で言うならば、それは「年齢に応じて投資戦略を調整せよ」です。
投資のステージは大きく5つに分かれます。未成年、30歳までの若者、30から50歳、50歳から退職まで、そして退職者。未成年の段階では、贈与税等に配慮することが重要と感じました。30歳までの若者は、失敗が許される範囲で投資経験を積むべきだと思います。この期間は学びの時期だと私は捉えています。
真剣勝負のステージは30歳から50歳までです。この時期は利益を生む重要なフェーズで、レバレッジも適宜活用すべきでしょう。50歳から退職までは投資スタイルが固まり、落ち着きを持つべき時期と感じます。
退職者になると、投資を専業とするか、それともプロに委ねるか、そのどちらかを選ぶことになると思います。
以上が、私が本書から学んだ年齢別の投資戦略です。年齢やライフステージに応じて投資方法を見直すことの重要性を改めて感じました。
■まとめ
最後にまとめですが、本書のページ数は多く、扱う話題も幅広いので、2800円という少し高めの定価でも、そのボリュームと深い洞察を考えると、非常に価値のある投資ではないでしょうか。