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【パンダWalker】中国への返還が迫る「シャンシャン」。思い出は?セレモニーは?上野動物園の思いに胸アツ!

  • 2023年1月30日
  • Walkerplus

2023(令和5)年2月21日(火)、上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」が中国へ返還される。これまで、コロナ禍の影響もあり4度も返還が延期となっていたが、とうとう返還日が決定した。誕生直後から大きなパンダブームを巻き起こした「シャンシャン」との思い出や、送り出す前の心境などを教育普及課の課長、大橋直哉さんに聞いた。

■中国への返還が決定。ファンからはどんな声が寄せられた?
2022(令和4)年12月23日、上野動物園はメスのジャイアントパンダ「シャンシャン」の中国への返還日が決まったと発表。SNSには、衝撃を受けたファンの驚きや悲しみの声があふれた。

「園にもご意見やご要望がたくさん届いています。そのなかには、中国への長時間の移動を心配する声や、移動する意義は理解しているけれど、やはり上野動物園にオスを迎えてほしかったといった声があります」と大橋さん。

返還が決定した「シャンシャン」だが、以前と変わらず健康状態は良好だ。2023年1月17日発表の公式ニュースによると「エサは、モウソウチク、シノダケ、マダケなどのタケを中心に、パンダ団子、ペレット(固形飼料)、ニンジン、リンゴなどをそれぞれ必要に応じて与えています」とある。タケの採食量が増えており、2023年1月15日測定の体重は95.4キロだそうだ。

■飼育スタッフが「一番記憶に残っている思い出」は?
「シャンシャン」が生まれたのは2017(平成29)年6月12日の午前中。お母さんの「シンシン」とお父さんの「リーリー」の2頭目の赤ちゃんパンダとなる(1頭目は生後6日後に死亡)。

そんな「シャンシャン」との思い出や記憶に残っている出来事を飼育スタッフに聞いてみると…?

「産室内で母親の『シンシン』が寝返りをうった時、背中側で寝ていた『シャンシャン』をつぶしかけたことがあったんです。本当にヒヤッとしました」と答えが返ってきた。

また、「屋外の放飼場にある高木上部から『シャンシャン』が降りてこず、職員が登って下ろすことがあったんです。『トントン』の飼育時にも同じことがあったと聞いていたのですが、本当に自分たちがやることになるとは…」と振り返る。

「トントン」とは、1986(昭和61)年6月1日に上野動物園で生まれたメスのジャイアントパンダ。木登りが大好きなおてんば娘と言われ、飼育スタッフに抱かれて木から降りることがよくあったそう。「シャンシャン」も木登りが大好き。先輩パンダ「トントン」によく似た様子がうかがえて、上野動物園のパンダの歴史が感じられるエピソードだ。

■中国への返還までに行うトレーニングは?
返還約1カ月前の現在、元気にすごしている「シャンシャン」だが、返還日を迎えるまでに何かトレーニングを行うのだろうか。

「『シャンシャン』には基本的に普段通りの生活を送ってもらいます。現在、輸送檻に入る、胸部レントゲンを撮影するといったトレーニングを始めています。また、中国に入国するための動物検疫期間中は、随時健康診断を行います。返還当日の作業については、現在詳細を検討中です」

■返還にまつわる「セレモニー」や「イベント」は?
返還までは今まで通りの生活を送る予定の「シャンシャン」。では、返還に際してのセレモニーは?と聞いてみると「現時点(2023年1月)で、いわゆる返還セレモニーのようなものは予定しておりません」と大橋さん。

しかし、「返還にあたってのイベントとして1月11日より『花ひらけパンダの未来─ありがとうシャンシャン』を実施しております。『シャンシャン』がパンダの未来を明るく照らす存在となることを願い、みなさんと一緒に送り出すための企画です。ぜひ参加いただけたらと思います」

「花ひらけパンダの未来─ありがとうシャンシャン」は、オンライン講演会(配信期間:~2023年3月31日(金))の実施や「シャンシャン」へのメッセージ(園内受付:~2023年2月19日(日)、オンライン受付~2023年2月20日(月))、ほぼ実物大の「シャンシャン」の姿と記念撮影ができるフォトセッションスポットのほか、ジャイアントパンダの保全について学ぶ企画展、ジャイアントパンダを守るためにすぐ実行できる「パンダアクション」を呼びかけるなど、ファンと園が一緒になって学び、活動できるイベントとなっている。オンラインアンケートに答えると「パンダアクション」の方法が書かれた「シャンシャン」の特別壁紙もプレゼント。詳しい情報は上野動物園の公式サイトに掲載中なのでチェックしてみよう。

ほかにも、公式サイトで更新されるニュースのなかには、「シャンシャン」が一般公開された当時制作された記念誌「シャンシャンすくすく6カ月」が、今でもダウンロード可能だ。記事タイトル“ジャイアントパンダ「シャンシャン」公開記念誌「シャンシャンすくすく6カ月」をウェブ公開ー2018年3月2日”を検索して、ぜひ入手しておこう。

■「中国でジャイアントパンダの保全に貢献してほしい」という思いで送り出す
木登りが好きでニンジンが苦手、好みの笹にこだわる食通で、まん丸な顔がかわいらしいパンダ界のアイドル「シャンシャン」を、上野動物園で観ることができるのはあと少しとなってしまった。「すでにシャンシャンロス!」「ありがとう!」「さみしい…」などさまざまな声がSNSに溢れる中、最後に、「シャンシャン」を育て上げた上野動物園の思いを記しておきたい。

「中国へ返還後は、四川省の中国野生動物保護協会が所管する施設で飼育される予定です。園としては、『シャンシャン』が中国でジャイアントパンダの保全に貢献することを期待していますので、なるべく早く帰り、現地の環境に慣れて、ぜひ繁殖してもらいたいと思っています。そういう意味で、やっと返還が決まったなということ、そして、帰るまで何事もなく健康に飼育をしなければという決意を新たにしました」

お母さんのおなかに宿った時から「シャンシャン」を見守り続けてきた上野動物園の飼育スタッフと職員たち。野生動物としてのジャイアントパンダの保全を掲げ、赤ちゃんから成獣になるまでしっかり育て上げた「シャンシャン」を、なんとしても無事に中国へ返還するのだ!という強い思いがこもった言葉に胸がいっぱいになった。

「シャンシャン」の観覧は、2023年の2月19日(日)が最終日となっている。

観覧は抽選申込みで、当選者のみ観覧可能。1度に申し込めるのは申込者を含め2名まで。抽選は「土曜日から次の金曜日まで(休園日を除く)」を観覧期間とし、観覧期間開始2週間前の金曜日13:00から次の月曜日13:00まで申し込みを受け付ける。

観覧期間最終日の2月19日(日)とその前日2月18日(土)の抽選申し込みは、2月3日(金)の13:00から6日(月)の13:00までとなる。

観覧の抽選は「シャンシャン観覧抽選サイト」から可能。注意事項をよく読んで応募しよう。

ほか、入園料(一般600円・日時指定のオンライン決済も可)や観覧時間、観覧条件、休園日などは公式サイトで最新情報をチェックして。

取材・文=田村のりこ

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