
アラサーで独身、美人なのに人間関係が異常に不器用で無愛想、飲み会にも参加しないというスタンスの総務課の紀陽さん。真面目で何でもそつなくこなせてしまうのに、人付き合いだけが苦手というみこまる(@micomalu)さんの『隣の紀陽さん』を紹介しよう。
■大人になると築くのが難しい友人関係
吉峰小織は、職場でハイスペック男子を見つけるために鋭い観察眼で人間をチェックするのが日課。同じ課の柏木は、高学歴で仕事もできて将来性もありそうな有望株。DIYの話で盛り上がっていると、通りすがりに「そんなんで、DIYって言ってんじゃねぇよ!」と小さくディスっているのを耳にしたところから話はスタートする。
あれは一体誰だろう?と思っていると、隣の席の紀陽遥だった。地味な印象しかなく、飲み会の参加率は0パーセント。なのに、紀陽さんは男性フィルターにかかると「美人」の部類に入るらしい。小織としては、できるだけライバルを減らしておきたくて、紀陽遥についてリサーチすることにした。
同じ総務課で働く紀陽さんは仕事が早く、ランチは手作り弁当と女子力も高い。しかし、小織がアタックしても基本、無愛想。もう少し愛想があれば、職場の男性だってもっと寄ってくるはずなのに、と小織は思った。そしてリサーチを続けていると、紀陽は職場の人から頼られがちでそれがいいように利用されているということを知った。
器用な紀陽さんは、頼られることに慣れていた。昔からしっかり者のレッテルを貼られていたこともあり、みんながイメージしている真面目で何でもできて、助けてくれる「紀陽さん」をいつしか演じるようになった。そうあることで自分の居場所を見出していたのかもしれない。
しかし、ただいいように利用されていただけだと気づいたのは、高校生の文化祭の時。「あの人ならやってくれるでしょ」と全てを押し付けて、みんなは遊びに行ってしまった。以来、人を信用できなくなった。人とのスタンスをとって付き合うようになり、今の紀陽遥になった。
そんな紀陽と陽気なキャラクター小織がイベントのためにタッグを組むことになった。そして、少しずつお互い距離感を縮めていく。何でもできるのに人付き合いだけが不器用な紀陽さんが、少しずつ心を開いていく、2人のやりとりが実に面白い。
画像提供:みこまる(@micomalu)