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ガムを作って75年!誰もが知る定番駄菓子を生んだ創業134年の老舗が、ガムにこだわり続ける理由とは

  • 2022年12月9日
  • Walkerplus

駄菓子屋さんでは必ずと言っていいほど見かける「マーブルガム」や「フィリックスフーセンガム」。「昔よく食べたなぁ」と懐かしく思う人も多いのでないだろうか。

このガムを作っている1888年創業の老舗製菓メーカー「丸川製菓」(愛知県名古屋市)は、実はガムを作り続けて75年。有名なマーブルガムシリーズ以外にもさまざまな商品を製造しているが、そのすべてがガムなのだ。

日本チューインガム協会の統計によると、ガムの売り上げは2004年をピークに落ち込みを続けている。そんななか、ガムにこだわり続けるのはなぜなのか。丸川製菓 企画課の森 学さんに話をうかがった。

■マーブルガムは、失敗作から生まれた!?
—— 1888年に創業した丸川製菓は、1947年にチューインガムを作り始めていますが、ガムの製造にいたるまでを教えてください。

【森さん】戦前は飴や落花生菓子などを作っていました。戦後にアメリカ軍兵士が噛んでいたチューインガムが日本で流行しはじめると、弊社もガムの製造に着手しました。当時は愛知県内で70社くらいガムを作っている会社があり、弊社もそのうちの1つでした。近くに菓子問屋街があったこともあり、弊社のガムは徐々に全国に流通していきます。当初はたまごボーロや豆菓子など、ガム以外の駄菓子も作っていましたが、徐々にガムに一本化していきました。

—— 駄菓子の定番であるマーブルガムはどのようにして生まれたのでしょうか?

【森さん】ガムを作り始めた当時は、ブロック状のガムを作っていました。現在の「フィリックスフーセンガム」のような形状のガムですね。あるとき、「他社と違う形のガムを作りたい」とタブレット型のガムの製造に挑戦したのですが、製造過程でどうしても丸くなってしまったんです。それならいっそ丸い形のままでいこうと生まれたのがマーブルガムでした。

—— マーブルガムシリーズは味やパッケージが昔と変わらず、懐かしいと感じる方も多いと思います。1959年に誕生してから変わった点はないのでしょうか?

【森さん】実は味も少しずつ変わっているんです。昔は今よりも甘味が強かったのですが、時代の変化とともに甘すぎるガムはあまり好まれなくなってきたので、少しずつ甘さ控えめに変化しています。これはマーブルガムシリーズだけでなく、すべてのガムに当てはまります。

パッケージデザインはほとんど変わっていませんね。大きな変更といえば「オレンヂマーブルガム」が「オレンジマーブルガム」に変わったことくらいでしょうか。

—— さまざまな味があるマーブルガムですが、人気なのはどの味ですか?

【森さん】現在、全国展開しているフルーツ味のマーブルガムは、オレンジ味、いちご味、グレープ味、メロン味、りんご味、マスカット味の6種類。ほかにも、コーラ味、ソーダ味、ヨーグルト味があります。そのなかで一番人気はグレープ味です。酸味と甘味のバランスがちょうどいいのが人気の理由ではないでしょうか。メロン味、りんご味、マスカット味、コーラ味、ヨーグルト味は単品での販売をしておらず、セット商品の「フルーツ6マーブルガム」や「ちびっ子パックフーセンガム」などに入っています。

—— 地方限定や期間限定で販売している、レアなガムはありますか?

【森さん】沖縄限定でシークヮーサー味のマーブルガムを販売しており、お土産として人気です。以前は北海道限定の夕張メロン味もあったのですが、こちらは製造中止になってしまいました。北海道はお菓子類のお土産がほかにもたくさんあったことに加え、甘味の強い夕張メロンはガムとあまり相性がよくなかったのだと思います。その点では、酸味のあるシークヮーサー味はすっきりすると好評です。ほかにも、きなこもち味やいちご大福味などを発売したこともありました。

—— マーブルガムのほかに人気の商品を教えてください。

【森さん】売上のトップは、昔からの定番商品であるフィリックスフーセンガムです。年配の方に「弊社のガムと言えば?」と聞くと、フィリックスフーセンガムが挙がります。しかし、10〜20代の若い世代に同じ質問をすると「コーラフーセンガム」の名前が挙がるため、世代によって定番ガムが違うようです。ちなみに、これらのガムの独特の形は、戦後の貧しい時代に「友達やきょうだいと分け合えるように」との思いから生まれたものが受け継がれています。

最近の傾向でいうと、「あかべ〜くろべ〜ガム」や「フランKンのもとガム」など、口の中の色が変わるガムが人気です。写真映えするので、ハロウィーンの時期はよく売れていました。ほかにも、アニメ「SPY×FAMILY」とのコラボ商品「スパイファミリーフーセンガム」も人気があります。ストーリー内で登場する「プロジェクト〈アップル〉」と掛けて、味は青りんご。キャラクター商品ではアニメ「東京リベンジャーズ」とのコラボ商品も好評です。

また、「マーブルガムボトル」シリーズや「フーセンガムバラエティ」といった大袋入り商品は、懐かしさから購入していただく大人の方が多いですね。大人も子供も家族全員で楽しめますし、車の運転中に食べるガムとしてもぴったりだと思います。

■ガムは今も昔も駄菓子の定番。これからも作り続けていく
—— 日本国内でのガムの売上はここ数年落ち込んでいますが、ガム一本で続けられているのはなぜでしょうか。

【森さん】一番はブランド力だと思います。大人から子供まで親しんでもらえているガムは、弊社のガム以外にほとんどないでしょう。ガムを作り始めた当時、愛知県内に70社ほどあった会社も今は数社しか残っていません。昭和・平成・令和と、時代を超えて同じガムを作り続けているのがその秘訣だと思います。

また、1959年から輸出も行っており、現在は約3割が海外での売上です。初めはアジア地域への輸出を始めましたが、すぐに偽物が流通してしまったので、輸出先を拡大していきました。現在は中東や北米、南米、アジアといった地域を中心に、約20カ国に輸出しています。海外で流通しているガムは日本で販売しているものとは違い、パッケージに弊社オリジナルのクマのキャラクターを採用しています。このキャラクターには名前がないのですが、中東などでは「チャッピー」と呼ばれ親しまれているそうです。味は少し甘めで、日本で昔販売されていたガムの味に近いので、食べると懐かしく感じます。

—— たくさんの種類のお菓子を作る製菓メーカーも多いなか、なぜガムにこだわり続けているのでしょうか?

【森さん】さまざまな駄菓子を製造していたところからガムに絞ったという経緯もあり、ガム以外を作ろうという話は出たことがありません。また、日本でのガムの売上は確かに減っていますが、弊社の売上はそれほど変わっていません。おそらくガムを食べなくなったのは大人の方で、子供たちは昔と変わらずガムを食べているのだと思います。弊社としては、これからも子供たちに愛されるようなガムを作っていきたいと思います。

—— 確かに、駄菓子屋さんには今も必ずガムがありますね。ありがとうございました。

全国的に有名な駄菓子を生産するメーカーがいくつも集まっている名古屋市で、75年もの間、子供たちが喜ぶガムを作り続けている丸川製菓。きっとこれから先も、駄菓子の定番として愛され続けるのだろう。


取材・文=溝上夕貴

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