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【パンダWalker】アドベンチャーワールドのパンダはなぜ大家族なのですか⁉

  • 2022年5月27日
  • Walkerplus

2022年4月14日にひとり立ちをした末っ子パンダの「楓浜」を含め、計7頭のパンダ家族がいる和歌山のアドベンチャーワールド。同園で生まれたジャイアントパンダは17頭もおり、パンダの飼育や繁殖にかけては世界中から注目を浴びているのだ。そんなパンダ天国で暮らすパンダとアドベンチャーワールドとの最初の出会いや飼育の裏話、観覧時の楽しみ方などを聞いてみた!

■ジャイアントパンダを受け入れたきっかけは?
お答えいただいたのはアドベンチャーワールドの広報・長谷川舞さん。「ジャイアントパンダが和歌⼭に初めて来たのは、1988年9⽉です。中国の四川省から、辰辰(シンシン)と慶慶(ケイケイ)の2頭がやってきました。同年3⽉から『中国三⼤珍獣展』(岡山)と『⻘函トンネル開通記念博覧会』(北海道)でのお披露⽬を経て、アドベンチャーワールドに到着。公開期間は3カ月だったそうです」と長谷川さん。

その後、アドベンチャーワールドは、1994年に「中国成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」の⽇本⽀部となり、世界で初めて「ブリーディングローン制度」でジャイアントパンダの⾃然繁殖のための⽇中共同研究を開始した。

「ブリーディングローン制度」とは、希少な動物を絶やさず、また増やしていくために、動物園や水族館同士で動物を貸し借りする制度のこと。

「この時、のちに16頭の⽗親となる『永明(えいめい)』とメスの『蓉浜(ようひん)』が来園しました」と長谷川さん。2頭はパンダランド(現ブリーディングセンター)で暮らしていたが、「蓉浜」は1997年に急逝してしまった。そのため、「永明」のお嫁さん探しが実行され、2000年7月7日に中国からメスの「梅梅(メイメイ)」を迎えた。すでに妊娠していた「梅梅」は、2000年9月にアドベンチャーワールド初となるジャイアントパンダの赤ちゃん「良浜(らうひん)」を出産。その後も6頭の赤ちゃんを出産し、2008年に世を去ったのだ。

「この『梅梅』を迎えた時に始まったのが、ジャイアントパンダをはじめ、関わるすべての⼈々のしあわせを願うアドベンチャーワールドのプロジェクト『しあわせ計画』です。それは今も続いており、⽴派な⺟親に成⻑した「良浜」も、現在に⾄るまで10頭の⾚ちゃんを育て上げ、しあわせの輪を広げてくれています」

■現在観ることのできるパンダファミリー7頭は?
パンダファンにはおなじみ!7頭のパンダファミリーを紹介しよう!
★永明(えいめい・オス)
1992年9月14日 中国生まれ。おっとりとした性格の頼りになるお父さん。2歳の時にアドベンチャーワールドに来園し、今年(2022年)の9月でなんと30歳に!

★良浜(らうひん・メス)
2000年9月6日 アドベンチャーワールド生まれ。パークで生まれた初めてのパンダとして育ち、その後「永明」との間に2008年9月、双子の赤ちゃん「梅浜」「永浜」を出産。以降7回の出産で10頭の赤ちゃんを産み育てたベテランママ。

★桜浜(おうひん・メス)
2014年12月2日 アドベンチャーワールド生まれ。双子で生まれた「桃浜」のお姉さんパンダ。好奇心旺盛な性格で、耳の毛が長く、目の模様の目じりが少し吊り上がっているのが特徴。

★桃浜(とうひん・メス)
2014年12月2日 アドベンチャーワールド生まれ。「桜浜」とは双子の妹パンダ。耳の毛が短く、顔を横から見た時に鼻が長いのが特徴。

★結浜(ゆいひん・メス)
2016年9月18日 アドベンチャーワールド生まれ。アドベンチャーワールドで一番大きなパンダの赤ちゃんとして誕生(出生時:197グラム)。頭の上のとんがりがチャームポイント!

★彩浜(さいひん・メス)
2018年8月14日 アドベンチャーワールド生まれ。アドベンチャーワールドで最も小さく生まれたパンダとして誕生(出生時:75グラム)。良浜(らうひん)の深い愛情を受け、けが・病気ひとつなく大きく成長。

★楓浜(ふうひん・メス)
2020年11月22日 アドベンチャーワールド生まれ。「いい夫婦の日」に生まれた末っ子パンダの楓浜も、2022年4月14日、無事にひとり立ち!「良浜」ママも一安心。

■環境?食べ物?子だくさんファミリーになった秘密とは?
日本で初めてパンダ繁殖の拠点として、中国と共に繁殖と研究に力を注いできたアドベンチャーワールドだが、なぜこんなにも子だくさんになったのだろう。双子が5組も誕生しているし、生まれた子供たちはすくすくと健康に育っている。世界中からパンダを飼育する技術が認められるのも納得だ。

その秘密は何だと思いますか?長谷川さん。

「『永明』と『梅梅』、『永明』と『良浜』の相性が良かったことがひとつ。そして、⽩浜の環境も要因のひとつではないかと考えます。おいしい空気、おいしい⽔、新鮮でおいしい⽵が⼿に⼊るので、パンダが健康に暮らせることは大きかったと思います。さらに、これまでの飼育の記録や中国の研究員の⽅との連携が、パンダの繁殖に繋がっているのではないかと感じています」と振り返る。

■長年培った繁殖技術。その秘訣は「タイミングを見極めること」
多くの繁殖と出産、子育てをサポートしてきたアドベンチャーワールド。パンダの交配から出産まで、どんな出来事がおこるの?

「パンダのメスの発情は年に2〜3⽇しかないので、そのタイミングを⾒極めることが⼤切です。発情前にオスとメスを同居させてしまうとケンカになってしまうことがあるし、もちろん、相性が良くないとケンカになる。場合によっては今後同じペアでは繁殖できない場合もあります」と言う。

「『永明』は『良浜』が初めて交尾をするときに優しくリードし、教えてあげているような感じで何度もチャレンジしていたので、そういったところの相性が良かったのではないかと思います」と、ビッグファミリーへの道は「永明」のやさしさや包容力があってこそなのかも。

「永明」は人間なら80歳代にあたるそう。「楓浜」が生まれたことで、飼育下での自然交配で繁殖に成功した世界最高齢のオスパンダとしての記録を、自らで塗り替えたスーパーお父さんなのだ。

「交尾がうまくいけば妊娠の可能性がありますが、パンダの場合は着床遅延があるため妊娠期間に差があります。だいたい3〜5カ月と⾔われていますが、出産の約1カ月前になると睡眠時間が⻑くなり、採⾷量が減ってくることが多いです」

なるほど。繊細な体調の変化や兆候を見逃さないように飼育スタッフがしっかり見守り、出産を迎えることになるのだ。

■子育てお疲れさま!ベテランママ「良浜」
アドベンチャーワールドのお母さんパンダといえば、初代が『梅梅』、現在が『良浜』。それにしても、お母さんパンダは一生のうち、何頭出産できるの?

「パンダのメスの性成熟は4〜6歳。野生下での出産もあるので1頭のメスが⽣涯出産する頭数はわかりませんが、当パークではこれまで『梅梅』と『良浜』が出産し、『梅梅』はアドベンチャーワールドで6頭、『良浜』は10頭産んでいます」と長谷川さん。ちなみに世界最⾼齢での出産年齢は23歳だ。

先日、末っ子パンダの「楓浜」は、無事にひとり立ち。ここで、ベテランママの「良浜」の子育てぶりを振り返ってみよう。

赤ちゃんパンダは、ミルクと母乳を両方与えられながら育つ。「良浜」は、体温の調節が自力ではまだ難しい赤ちゃんをしっかりと抱き、体が冷えないようにしながら母乳を飲ませてきた。

最初は赤ちゃんが上手く乳首にたどり着けず、飼育スタッフが導いてあげていたが、さすがはベテランママの「良浜」、自分で上手に誘導し、しっかり飲めるようになっていった。

生後2カ月半ごろになるとだんだんと目でカメラを追うようになった「楓浜」。動きも活発に。

胸に乳首が4つあるので、おなかの上に「楓浜」を乗せて母乳を与えるが、「良浜」は眠くなるとおなかの上から赤ちゃんを下ろして、腕の中であやしながらうつらうつら。ママは睡眠も大事なのだ。

「楓浜」が生後5カ月を過ぎると親子で屋内運動場デビュー。「良浜」は「楓浜」とじゃれあいながらしっかり社会性も教えていく。

時折、ママの口をペロペロする姿も見られた。これは、水分補給している場面だそう。ジャイアントパンダは水を飲む以外に、お母さんの唾液から水分補給をすることもあるそうだ。

子育て中に21歳を迎えた「良浜」。ベテランママをねぎらって、大好物のリンゴやニンジン、竹を詰め込んだプレートと、年齢にちなんで「21」の数字をかたどった氷をもらった。

足腰もしっかりしてきた「楓浜」はおてんばぶりを発揮。「良浜」とのじゃれあいも力が増してきた。だんだんと「良浜」の方が子供に甘えるしぐさを見せたりするようになり、体を使って真剣に遊ぶようになっていった。

こうして、一緒に時を過ごし、愛情たっぷりに「楓浜」を育てあげた「良浜」は、2022年4月11日、親子で過ごす最後の日を迎えた。「楓浜」は1歳5カ月。

この日「良浜」は「楓浜」とたっぷり遊び、最後に一緒に水を飲んだあと、一足先にバックヤードへ入っていった。これで「良浜」10回目の子育ては終了!「良浜」ママ、お疲れ様!

■パンダがいるのはどんな施設?どこで見られるの?
7頭のパンダファミリーは、2つの場所で飼育されている。

●PANDA LOVE(パンダラブ)
こちらは、ジャイアントパンダをはじめとする希少動物の繁殖・育成を⽬的とした希少動物繁殖センターだ。1年を通して、動物たちに快適な環境を維持する設備が整っており、いきいきと暮らす動物の姿を間近で観ることができる。
★暮らしているのは「桜浜」「桃浜」「結浜」、そして2022年4月14日ひとり立ちしたばかりの「楓浜」!

「屋内運動場が2面あり、ガラスなどの仕切りがないのでパンダと同じ空間にいる感覚で観ることができます。広々とした屋外運動場でも自由に遊ぶパンダを観ることができますよ。パンダが⽵を⾷べたい時にいつでも⾷べられるように、時間や量は定めず、パンダの動きを常に⾒ながら、⽵がなくなれば新鮮な⽵を補充しています」

<楽しむためのポイントは?>
「⾃然な⼭のように、運動場は地⾯が傾斜しています。よって、パンダがお客様の⽅を向いて座ることができ、パンダの表情をご覧いただきやすくなっています。⽵の配置などにも気を配り、多くの⼈に楽しんでいただけるように⽇々⼯夫をしています」

●ブリーディングセンター
隣接する「ワイルドアニマルメディカルセンター」と共に野⽣動物の繁殖、種の保存の研究を担うセンター。「楓浜」はひとり立ちするまでこの施設で育てられた。
★暮らしているのは「永明」「良浜」「彩浜」。

「ブリーディングセンターの屋外運動場もガラスなど遮るものがないので、数メートルの距離でパンダを観ることができます。果物や竹を⾷べている⾳や鳴き声、息遣いなど⾝近でパンダを感じることができますよ」

<楽しむためのポイントは?>
「パンダが時々、お客様に近づいて来ることがあるのです。腰を低くして⽬線を合わせてみると、同じエリアにいるような感覚になるかも!?」

パンダファミリーについては特設サイト「ジャイアントパンダファミリーサイト」があるのでこれまでの歴史などを眺めてみよう。

また、これまでの「良浜」の子育ての様子は「アドベンチャーワールド」の公式YouTubeチャンネルで観ることができるので、奮闘ぶりをチェックしてみて。

ジャイアントパンダの観覧は予約なしでOKだが、体調などで公開内容が変更、中止される場合もある。詳しくは公式サイトをよく読んで観に行こう。

取材・文=田村のりこ

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