
コロナ禍でペットの需要が高まっている昨今。特に小鳥は見た目のかわいさと、「散歩をしなくていい」「犬や猫と違って躾がいらない」など手軽に飼えそうなイメージもあって、人気を博している。しかし、「鳴き声が大きい」「問題行動を起こすためトレーニングが必要」といったケースもあり、「思っていたのとは違う」との理由から、手放してしまう人もいるのだとか。
そこでウォーカープラスでは、小鳥を飼いたい人や飼い始めたばかりの人に知ってほしい知識や注意点を伝える「トリ扱い説明書」をスタート。3羽の小鳥と暮らす鳥野ニーナさん(@sinamomomomo)の漫画と、「森下小鳥病院」の院長・寄崎まりを先生の監修&エッセイで、わかりやすくお届けする。
今回は、小鳥をお迎えする前に調べておきたいことについて。小鳥を診察できる病院を探しておく重要性や、性質・特徴の把握について描かれている。
■寄崎まりを先生のエッセイ「よい動物病院とは、どんな病院?」
具合が悪い動物だけが行くところ=動物病院だと思っている方が、多いかもしれません。しかし元気な動物の健康診断や飼育に関する相談も、受けることができる場所なのです。動物の病気は、飼い方やエサと密接に関係しています。例えば鳥さんだと、メスは飼い方次第でたくさん卵を産んでしまい、それが原因で病気になる場合があります。また、エサとしてシードしか与えられていない鳥さんは、栄養が足りず病気になってしまうことも。動物が元気に暮らすためには、病気になりにくい飼い方が大変重要になります。
病院と聞くとハードルが高いと感じるかもしれませんが、飼育するうえでの困りごとや迷いを相談できる場所。それが、動物病院なのです。
■鳥さんの診察を行う動物病院とは?
まず獣医師になるには、獣医学課程のある大学で6年間学んだ後、獣医師国家試験を受けて獣医師免許を取得。残念ながらペットバードやエキゾチックアニマルについて、大学の教育課程ではあまり勉強しません。従って、一般的に飼われている鳥さんを診察するためには大学卒業後、特別に勉強する必要があります。たとえ専門の病院でなくても先生が病気や生態をしっかり勉強した場合、動物病院で鳥の診察ができるのです。
またペットバードと一言でいっても、実に多くの種類がいます。セキセイインコやオカメインコなどのオウム目、ブンチョウやキンカチョウなどのスズメ目、ウズラやニワトリなどのキジ目、タカ目やフクロウ目などの猛禽類など。さまざまな理由から動物病院によって診察している鳥種が異なるため、事前に問い合わせて確認することをおすすめします。
■「よい動物病院」の選び方
多くの方は、「よい動物病院」に通いたいと思うでしょう。では「よい動物病院」とは、どんな病院なのでしょうか。病気を治してくれる病院?説明がわかりやすい病院?話をたくさん聞いてくれる病院?優しい先生がいる病院?
しかし、もしも治らない病気だったら?少しでも多くの鳥さんを助けるために、一羽当たりの診察時間が長く取れない病院だったら?動物のことを心から考え、よくない飼い方を叱ってくれる先生だったら?
「よい動物病院」には、多くの要素が関連します。「『あそこの動物病院はよかったよ』と聞いて行ったけど、私には合わなかった」ということが起きるのは、人それぞれ重要だと思う事柄が違うからなのです。また、獣医師も人間ですので、相性もあるでしょう。
では自分に合う動物病院は、どのように探せば良いのでしょうか?おすすめしたいのは、「鳥さんが元気なうちに、動物病院で健康診断を受けてみる」ことです。どんな検査をしてもらえるのか質問し、そこから獣医師の人柄や説明の仕方、病院全体の雰囲気をみて、通院したいか感じ取りましょう。
特にペットショップからお迎えしたばかりの鳥さんは元気に見えても、カビや寄生虫を持っている可能性が。早く見つけてあげることで症状が出る前に治療できる場合も多いので、飼い始めたタイミングで、ぜひ動物病院に行ってみてください。鳥さんの具合が悪くなってからでは、「この先生が言っていることは本当に信じられるのか…?」と、冷静な判断が難しくなります。
現状、鳥さんの診察を行う病院は犬猫と比べると大変少なく、さらに多くの病院が混み合っているため、予約がなかなか取れないことも。しかし、健康診断で日頃から通っている場合、急に具合が悪くなってもすぐに対応してくれる可能性が高くなります。鳥さんは体が小さく体力に余裕がないので、具合が悪くなると病気が一気に進行してしまうケースも。万が一に備えて、信頼できるかかりつけの動物病院を見つけておくと安心です。