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【試し読み】「退屈な日常を破壊する都市伝説」幻覚剤の隠された真実/灯野リュウ(ミルクティー飲みたい)

  • 2022年4月12日
  • Walkerplus

2021年12月より、動画サービス「niconico」にて、ニコニコチャンネル「ミルクティーの裏側の世界」を配信中の都市伝説系YouTuber・ミルクティー飲みたい氏(灯野リュウ)。ここでは、彼が上梓した書籍「退屈な日常を破壊する都市伝説」の一部を紹介するので、ぜひチェックしよう。
※記事内容は「退屈な日常を破壊する都市伝説」から抜粋、再編集したものです。

■幻覚剤の隠された真実
なぜだか散歩が好きで、そこに合理的な理由などはない。

歩いていると、目に入ってきた一本の木が、キノコに見えた。

夕陽が差しこむ木の枝々が、脳のシナプスが発火して神経細胞に電気が流れているようだった。もしかしたら、まだ人間が人間になる前に食べた禁断の果実、アダムとイブが食べてしまったのは、リンゴではなく、キノコなのではないだろうか。

■自然由来のマジックマッシュルーム、人工的なLSD、エクスタシー

サイケデリックというのは一九六〇年代に流行した、幻覚作用をもたらす物質やそれを想起させる音楽などに使われる言葉だ。今の日本で幻覚剤といえば、瞳孔が開きすぎて白目が見えなくなっているような人がマンションの一室でやっている、一般人には関係ない話だと思うかもしれない。でもつい五十年前のイギリスでは若者文化と幻覚剤は切っても切り離せないものだった。

D・M・ターナーの『サイケデリックス』には次のような説明がある。

「有史前の男女は食べ物を捜し回ったとき、世界中のほぼ全域に自生するサイケデリック植物を食べたに違いない。そしてこれらの植物の摂取により生まれた体験は、当然のように人々の心に畏怖の念を喚起させたことであろう。すなわち、神々、天と地、そして死後の世界といった概念の起源は、サイケデリック植物の摂取によって容易に起こりえたといえよう。」

そもそも、幻覚剤とは何か? 一般的な定義としては、脳神経系に作用して幻覚をもたらす向精神薬を指す。一般的には一度やってしまったら依存して止められなくて、幻覚・幻聴が起きるというイメージを持つ人が大半なのではないだろうか。もちろん僕もやったことがないのではっきり言うことはできないが、僕らが持つイメージは教科書やメディアによる、切って貼ったような情報から構築されたものだ。この本の中ではあえて、この幻覚剤というものについてより深く取り上げることにする。

幻覚剤には、自然由来のものと、人工的に作られたものがある。

自然由来のものでは、マジックマッシュルームというキノコや、ペヨーテと呼ばれるサボテンなどからとられたものが一般的によく知られている。これらの一部は日本の大麻と同じように、さまざまな部族や民族の儀式においてシャーマンと呼ばれる巫女が使用してきたという歴史がある。

人工的なものでもっとも有名なものでは、LSDとか、エクスタシーとか、シロシビンなどといったものがある。好奇心が旺盛なほうであれば、この辺の言葉は本や映画などでなんとなく知っているという人もいるのではないかなと思う。

脳内トリップで見える世界

とりわけLSDは変わった成り立ちがある。LSDは通称、アシッドと呼ばれ、もっとも悪名高い幻覚剤の一つだろう。

始まりは一九四三年にスイスのサンドス製薬会社のアルバート・ホフマン博士が、薬剤を調合していた際に、偶然合成されたLSDが指先から吸引されてしまい、自転車で帰宅途中に幻覚作用に襲われてしまったという。それが人類初のLSDによるトリップだといわれている。きっと博士は、『E.T.』のように空を自転車で駆け巡ったのではないだろうか。

幻覚剤による脳内トリップは、言葉どおり「旅」と表現されるが、トリップによって時間と空間が歪められた世界の中で、愛に包まれ、宇宙を感じたという人もいれば、逆に生命の偉大さに圧倒され、死の恐怖を味わったという、バッドトリップ体験を語る人もいる。

DMT(ジメチルトリプタミン)という自然由来の幻覚剤は面白い。なぜなら人間の脳内で分泌される物質だからだ。人間の第三の目とも呼ばれる脳内の「松果体」という部分から分泌される物質で、元々人間が持っている物質である。

人間の活動の中で、それがもっとも分泌されるのは死の直前といわれている。生死の境を彷徨った人が、よく「走馬灯のように過去がよみがえった」と表現することがあるが、あれは脳の中でDMTが分泌され、時間が止まって見える現象だといわれている。

この現象は、DMTに限らず大麻などでもいわれていることだが、DMT、大麻、LSDの作用については、研究の中でさまざまな臨床実験が行われている。その中で適量であれば、トラウマを抱えている人であるとか、不安障害の人であるとか、引きこもりになってしまった人などに対して、治療上、ポジティブな効果があるといわれている。

恐怖を植え付けたCIAのマインドコントロール実験

一九六〇年代中盤というのは、アート、哲学、ダンス、音楽などの分野を含め、人々のライフスタイルや社会のあり方といったものに、LSDが大きな発展をもたらしたといわれている時代だ。それを背景として作られた音楽を「サイケデリックミュージック」と呼ぶことがあるが、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックスやピンク・フロイドなど、現代の音楽にも影響を与えてきた音楽の革命の裏には、そういった幻覚剤があったのだ。

そんなLSDだが、ある事柄がきっかけで、徐々に社会から姿を消していく。CIAによって行われた「MKウルトラ計画」という、LSDなどを使った人間のマインドコントロールを目的とした実験が表に出たのだ。その実験の中で理性を保てなくなってしまった人たちの映像が世界中に流され、法律によってその使用が禁じられることになった。それ以降、研究材料として扱うことも非合法になっていった。

このように、LSDなどの幻覚剤が厳しく取り締まられるようになった、健康への害以外の禁止された理由として、ふと思ったことがある。それは、一部の原住民族の人々がそれまで何千年にもわたって神から与えられた自然の恵みとして、崇高な儀式で使う場合と、現代に生きる普通の人が、見つかったら警察に捕まってしまうとか、バレたらすべてを失ってしまうとか考えて、ビクビク怯えながら使う場合とでは、旅の行き着く先がまったく違うだろうから、ということだ。
そこでCIAは、一種の恐怖を植え付ける目的もあり、わざとそうした映像を流すことで、LSDなどの幻覚剤を取り締まる方向へと世論を誘導したのではないだろうか。

もし、幻覚剤がなければ、宗教や文化は発展しなかった……?

幻覚剤というものが、いつから存在していたのかといえば、少なく見積もっても三千年以上前だ。あるいは有史以前からだという研究者もいる。象形文字などを使って言葉を残す以前から、人々はそれを使っていたのだ。

その名残をとどめるのが、コロンブスがアメリカ大陸を見つける前から、メキシコから南米、あるいはカナダから北米あたりにかけて暮らしていたネイティブアメリカンたちである。また、古代インカ帝国のミイラからコカインが検出されたり、このアジアでも二千五百年前の墓から大麻が見つかったりしている。

人類というのは、かつて非常に弱い生物だった。野生動物と戦ったところで勝つことができない中で、毎日、何かを食べながら生き長らえなくてはいけない。それが食べられるものなのかどうか、身の回りにあるあらゆるものを試したと思う。タコとか、ウニとかを初めて食べようと思った人の気持ちを考えたら、そこら辺に生えている草や変な色のキノコなどを食べることはなんでもなかっただろう。もう、とりあえず口に入れて飲み込めそうなあらゆるものは、片っ端から食べたに違いない。

そんな中で、たまたま初めて幻覚性のあるキノコを食べた人たちは、どれだけ衝撃を受けたことだろう。おそらく脳内には見たことのない景色が広がり、得体の知れない光であふれ、わけのわからない幾何学模様が目の前に現れ、もう夢なのか、現実なのか、天国なのか、地獄なのか、神話なのか、象徴なのかわからないような状況だったのではないだろうか。そして彼らは第三の目を開き、それがきっかけで哲学的な問い、抽象的な概念(愛や真理)といったものを追い求めるようになったのではなかろうか。

それは、地球全土で同時多発的に起きた。そして、各地で最初にそれを口にした人たちが、祭祀とか、占いとか、方術として、そこで授かった英知を人々に伝えていった。それが宗教の始まりなのではないかと僕は思う。

世界各地の伝説には類似点があるとよくいわれるが、それはつまり、似たような方法で授かった知識やビジョンだからだろう。そうして宗教が始まったことで生まれたのが、音楽であり、ダンスであり、アートである。それらを駆使して、昔の人々は儀式を始めたのではないだろうか。

文明や文化が一気に進化する時期と、人々が幻覚剤を手に入れる時期が重なっているんじゃないかと、僕は思ってしまう。一九六〇年代に生まれたのがLSDであり、それとともに自由、平和、愛などを価値とする新しい文化が急速に発展したのではないだろうか。

僕はYouTubeを始めた頃からモンスターエナジーを愛飲している。もし数十年後にカフェインが法律で禁止されたとしたら、孫に「昔は道端で普通に売っててね」「おじいちゃんは毎日キメてたよ」なんて語る日が来るだろうか。

なお、ミルクティー飲みたい氏のニコニコチャンネル「ミルクティーの裏側の世界」は月1回、生配信(月額550円)。チャンネル会員になると、会員限定パートを含む生放送全編を見ることができる。次回は4月21日(木)19:00〜を予定。

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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