ラストのオチを考察すると戦慄が走る兎屋まめ(@usayamame)さんの「ギオンの家」。本作は、ホラー漫画家と編集者が曰くつきの怨霊スポット、京都祇園にあるような通称「ギオンの家」で起きる怪奇現象を取材に訪れたところから始まる。2人とも霊感はなく、不気味な長屋をリサーチするも「何にもない」と、取材は不発に終わるはずだったが…。本作は、ホラー漫画家としても活躍する兎屋さんがTwitterで公開した短編漫画だ。さまざまな伏線のあるラストに「続きが気になる」という声もあり、今回は制作理由や本作の魅力を伺った。
――兎屋さんは、普段からホラー漫画をよく描いているのでしょうか?
怖がりながらもホラーは好きなジャンルでちょこちょこ作っています。昨年初めて出版して頂いた商業単行本もホラー漫画でした。
――好きなホラー映画や漫画家さんはいらっしゃいますか?
映画はクリーチャーがストレートに出てくる洋のホラーより、じんわり恐怖が侵食してくるような怪談めいた和のホラーが好きです。「残穢」や「女優霊」あたりでしょうか。好きな漫画家さんは、伊藤潤二先生です。突き抜けた発想とおどろおどろしい画面はもちろんですが、普通に出てくる男性や女性の造形に色気があってたまらなく大好きです。現在漫画を描かせて頂いている「Nemuki+」という雑誌で伊藤潤二先生と同じ紙面に載ってしまっていることに夢心地だったりします!
――「ギオンの家」を描くきっかけはなんだったのでしょうか?
実は密かに進めているホラー企画がありまして…。そのプロトタイプという位置付けで、今回の「ギオンの家」を作りました。
――ホラー漫画という枠組みですが、絵がきれいで怖すぎず、いろいろな伏線が回収される最後が面白かったです。ラストは最初から決まっていたのですか?
ホラーは個人的にはオチが大事なジャンルだと思っていますので、あのラストありきで作り始めました。
――ラストの方にセリフをなくした場面があります。どのような意図があるのでしょうか?
(S宮の推察にはなりますが)「ギオンの家」の謎が解けた状態で改めて異様な家の全貌を見せる際に、登場人物ではなく読者さんに色々な事を想像して貰いたかったので、(効果音はあれど)文字による情報は邪魔と判断してセリフを無くしました。
――編集者のS宮のキャラクターも魅力的ですし、ラストの「突然亡くなった友人のS宮ちゃん」というくだりで、ますます続きが気になる終わり方になっていますね。本作の続編の予定はありますか?
ネタはいくつか考えてあるので、機会があったら作りたいと思っています。
兎屋さんのTwitterでは今回のような試作版「ギオンの家」の他にも、「リカワリ星人」という宇宙人と暮らす不定期連載「わたしのお母さん」などの漫画を読むことができる。気になる方は、ぜひTwitterをチェックしてみよう!
取材協力:兎屋まめ(@usayamame)