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【漫画】大学で漫画を学び、商業誌デビュー。新人漫画家・しなぎれが描く異世界ファンタジーがおもしろい!

  • 2022年1月27日
  • Walkerplus

かわいい絵柄と独特の世界観が注目を集めている漫画家・しなぎれさん(@sinanohaka)。Twitterでイラストや漫画を投稿しているほか、『ウルトラジャンプ』などの大手商業誌でも次々に作品を発表している。

実はしなぎれさんは、京都芸術大学のマンガ学科で学ぶ現役の芸大生。今回はしなぎれさんの作品を紹介すると共に、大学で漫画を学ぼうと思ったきっかけや創作活動について聞いた。

■キャラ作りの原点は友達との「ごっこ遊び」
――大学在学中に商業誌デビューされたとお聞きしています。在学中に描いてこられた作品について教えてください。

「大学に入って初めての作品は『ゾンビと暮らす』というタイトルで、黒潮マンガ大賞で賞をいただくことができました。今見返すと恥ずかしいですが(笑)。『オワリのはじまり』という作品でウルトラジャンプの佳作をいただき、2020年にデビューしています。1番新しい作品は『宇宙留学生モル』で、2021年12月発売の『ヤングジャンプヒロイン』に掲載されています」

――漫画を描き始めたのはいつからですか?

「1番古い記憶は幼稚園の時ですね。3歳上の兄が漫画を描いていて、それを真似していました。将棋盤みたいな四角いマス目を描いて、その中に絵を描くんです。4、5歳くらいだったので字はまだ書けなくて、絵だけだったと思います」

――ずいぶん小さい頃から描いておられたのですね!

「なんとなく絵を埋めていただけだったのが、続けていくうちに1マス目にタイトルが入って、フキダシが入って、キャラクターが増えて…ゆるやかに漫画になっていきましたね。小学3年生くらいまで、そんなふうに描いていました」

――キャラクターやストーリーも自分で考えていたんですか?

「はい、全部オリジナルでした。小さい頃って、友達と”ごっこ遊び”をしますよね。その時に演じるキャラクターが大好きで、『もっと動いているところを見たい』と思って描いていたんです」

――「ごっこ遊び」が原点なんですね!

「塀の上で、指をこうやって…(ピースサインを逆さまにしてテーブルに指をくっつける動作)。2本指を足に見たてて歩かせたりしながら、名前をつけて遊んでいるうちにキャラクターができて、それを後で漫画にする感じです」

――何気ない遊びが漫画になるとは。

「でも途中で恥ずかしくなっちゃって、ごっこ遊びと共に漫画を描くのは一旦卒業したんです。小学校でたくさん描いて、中学で中断して、高校でまた再開しました」

――高校で漫画を再開したのは、何かきっかけがあったのですか?

「美術コースがある高校に通っていたんですが、同じクラスの漫画が好きな友達から『一緒に賞に応募しない?』と誘われたのがきっかけです。1人1本ずつ描いて応募したら、たまたま小さな賞をいただくことができて。評価してもらえたのがうれしかったですし、久しぶりに漫画を描いたのがすごく楽しくて、高校卒業後も学び続けられたらいいなと思いました。専門学校も考えましたが、担任の先生に勧めもあって、京都芸術大学のマンガ学科に進学しました」

■大学入学時は会社員志望。プロになりたいと思ったきっかけ
――大学で漫画を学ぼうと思ったのは、プロの漫画家を目指すためでしょうか?

「いえ、入学当初は普通に就職するつもりでした。大学では年に2回、出版社の方に作品を見てもらう”出張編集部”というイベントがあるのですが、そこで編集者の方に『この作品をうちに出してくれたらデビューできますよ』と声をかけていただいたんです。そう言ってもらえるなら、本格的に漫画家を目指してみたいなと」

――大学ではどんなことを学んでいるのですか?

「”考える術”を教えてもらいましたね。入学前は何も考えず好きなように描いていたんですけど、実際は漫画を描き始める前にやるべきことがいっぱいあるんです。プロット(筋書・構想)やネーム(コマ割りやキャラクターの配置、セリフなどを大まかに描いたもの)の存在も知らなかったので、本当にイチから教えてもらいました。今はしっかり構想を練ってから描いていますよ」

――しなぎれさんの作品は絵柄がとてもかわいらしくて、SNSにもたくさんのファンがいらっしゃいますね。今の絵柄になるきかっけや、影響を受けた作品はあるのでしょうか?

「よく聞かれるんですが、自分では全然わからないんです…。描いているうちに自然と今の形になりましたね。兄の影響もあって、漫画は子供の頃からいろいろ読んでいました。友人からは『星のカービィ』にちょっと似てると言われたことがあります。そういえば、大好きだし昔模写していたなって(笑)。ちなみに今1番好きな作品は『ねじまきカギュー』(ヤングジャンプコミックス)です」

――漫画を描くうえでこだわっていることは何でしょうか?

「唯一決めているのは、”人間と人間じゃないモノのお話を描く”ということだけです。ヴァンパイアや魔法使い、宇宙人といった、人以外と人が交流する話がずっと好きで。そこを軸にストーリーを考えると、どん底にいる主人公が成長していく物語になっていくんです」

――作品づくりで苦労していることがあれば教えてください。

「実はネーム作りがもう本当に苦手で…(笑)。1年生の時に出張編集部でネームを見せたら、開口一番『壊滅的だね』と言われたほどです。『言ってることがめちゃくちゃだ』とか『キャラクターの背景がわかりにくくて感情移入がしづらい』など、いろんなアドバイスをいただいて直し続けましたね。今はだんだんと直しは減っていますが、まだまだです」

――そうなんですね!昨年Twitterで公開されて大きな反響があった『魔法の使えない女の子と臆病な男の子の話』では、「ストーリーもキャラクターも全部好み」というリプライがたくさん寄せられていたのですが…。

「ありがたいことに、『この話が好き』『キャラクターがかわいい』と感想を寄せてくださる方はいらっしゃいますね。アラはあっても、わかりやすい話にまとめられたのが良かったのかもしれません。励みになりますし、とてもうれしいです!」

――近況や次回作の予定を教えてください。

「今は連載の準備をしています。1話分のネームを描いて、編集者からOKをもらえるまで直し続けています。キャラクターの性格や世界観の設定はできていて、あとはそれぞれの立ち位置と何が起きるかを考え続けています。めちゃくちゃ大変です(笑)」

――次はいよいよ連載なのですね!最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか?

「言うのは恥ずかしいんですけど、いずれは自分の作品をアニメにしたいです。作品の中のキャラクターたちがすごく好きなので、ぜひ動くところを見たいですね」

――なるほど、やっぱり動かしたいんですね(笑)。連載もアニメ化も楽しみにしています!

大学で漫画を学び、在学中にデビュー。そう聞くと夢のような話のように思えるが、しなぎれさんの作品の裏側には、幼い頃からの漫画愛と自分の作品と向き合い続ける努力があった。今後は一体どんな作品が世に放たれるのか、楽しみで仕方ない。

取材・文=油井やすこ
撮影=松井ヒロシ

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