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コーヒーで旅する日本/九州編|地方都市のロースタリー「COFFEE COUNTY」が先端である理由

  • 2021年11月30日
  • Walkerplus

全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。
九州編の1回目は、全国各地のカフェやコーヒーショップから熱視線を送られ、昨今のコーヒー業界で極めて刺激的なロースター、生豆のバイヤーとして認知されている森崇顕さんが営む店「COFFEE COUNTY」にフォーカス。福岡の地方都市、久留米市に拠点を置いた理由、なぜコーヒー豆の生産国に足を運び続けるのか、そして森さんが考えるコーヒーの本質とは。

Profile|森崇顕
1980(昭和55)年、宮崎県延岡市生まれ。大学卒業後、札幌のコーヒー専門店に就職。九州に戻り、福岡市内の老舗喫茶を経て、福岡市・千代のタウンスクエアコーヒーロースターズ(現在閉店)でショップマネージャー兼ロースターとして働く。2013年11月、久留米市にて「COFFEE COUNTY」をオープン。

■コーヒー農園で働いた体験が原点
久留米市に本店兼ロースタリーを構える「COFFEE COUNTY」。もともと、福岡市のコーヒーショップで働いていた森さんがなぜ久留米市を開業の地に選んだのか。

「深い意味はなくて、その当時住んでいた家が筑後地方だったから。家から近い場所で、比較的人の流れもあると考えると久留米市がちょうど良かった」と森さん。

一般的に考えると、独立・開業を決断する際、経営の継続や利益を最優先した選択をするのがセオリーだが、森さんにとって場所はそこまで重要ではなかったようだ。

「もともと前職を辞める際、独立志向もなくて。ただ、コーヒーとともに生きていきたいな、とは思ってはいました。そう考えると、コーヒー豆の産地を一度は見ておきたいと思い、ニカラグアに3カ月間滞在して、コーヒー農園で働いたんです」

その経験こそが「COFFEE COUNTY」の原点となった。
「COFFEE COUNTY」の普遍のアイデンティティは、森さんが自ら生産地に足を運び、仕入れる生豆。店のテーマに掲げている「Vibrant flow in you(あなたの心を震わせたい)」を体現する個性的な味わいと香りは、まさにこの生豆から生まれているというわけだ。

■酸の質、明るさを重視した焙煎
Acidity(アシディティ)。コーヒー用語で酸の質や明るさを指す言葉だ。森さんが現地で生豆をセレクトし、さらに焙煎する際に大切にしている点で、「フルーツと同じように、甘味を引き立てるために酸味が必要」と森さん。さらに、焙煎した豆を挽いたドライの状態でのアロマ(香り)も、お客に届けたいか否かの大きな判断基準になるという。

5、6年前の「COFFEE COUNTY」の豆は、浅~中煎りをメインにラインナップし、一口目からフルーティーさが広がり、鮮烈で華やかな酸味を持ったコーヒーが多かったように感じた。もちろん今も浅煎りが中核をなすのは変わらないが、やや深めの焙煎度合いの豆も用意。その代表格がTHE ETHIOPIAN ROASTだ。

2020年、エチオピアのコーヒー農園で、コーヒーセレモニー様式で淹れたコーヒーに感銘を受けたシングルオリジンで、強い火力で焼き切ることで力強く、野性味にあふれる味わいが表現されている。この傾向はほかの豆にも見て取れる。

例えば、Colombia Finca La Maria Dark Roastは文字通り深煎りで、浅煎りが主体の「COFFEE COUNTY」の印象を一変させる。ただ森さんは「深煎りにおいても生豆が持っている素材の力は損なわれることはありません。ローストに負けない力強い個性を感じていただけるはず」と話す。

2021年11月現在、店頭やウェブショップで販売しているのは、ナチュラルプロセスのニカラグア エンバハーダ農園(浅煎り)、ウォッシュドプロセスのグアテマラ サンファン農園(中煎り)、ハニープロセスのエチオピア カヨカミノ農園(浅煎り)など、生産処理方法も焙煎度もそれぞれ異なる6種。ただ、飲み比べてみれば、森さんがコーヒーに求める香りや味わいを感じることができるはずだ。

■旗艦店であるCOFFEE COUNTY Kurume
現在、「COFFEE COUNTY」は久留米市に1店舗、福岡市に2店舗を展開している。今回取材した久留米の店舗は焙煎所を兼ねたコーヒーショップで、豆購入をはじめカフェ利用もOK。ドリンクメニューはハンドドリップコーヒー(450円~)、アメリカーノ(450円)、カフェラテ(500円)など定番に加え、スパイスをプラスしたカルダモンミルクコーヒー(550円)、爽やかなテイストのエスプレッソソーダ(550円)も用意している。

コーヒー豆を購入するとドリンク1杯サービスになることからもわかるようにメインは豆売りだが、久留米の店舗はデリカテッセン&ペイストリーの「マツノブデリ」を併設。「マツノブデリ」のスイーツとのペアリングを楽しめるのも魅力だ。ちなみに2階には「マツノブデリ」のレストランもあり、木曜~土曜のみランチ営業も行っている。

■生産地との結びつきをより強固に
2013年11月の開業から丸8年経ち、今や全国区の知名度を得るロースタリーとなった「COFFEE COUNTY」。今後、どう変わっていくのだろう。最後に展望を聞いてみた。

「開業時と比べてなにか変わったかと問われれば、売り上げが伸びたこと、一緒に働いてくれるスタッフが増えたことぐらいでしょうか。コーヒー農家や商社など関わる人たちの真摯な思いを伝える役割を僕らが担っているという自負はずっと変わりませんし、味わいに関してもその土地の持つ個性や品種の味わいをストレートに表現することを目標にやってきました。今後もそこは変わらないと思います」と森さん。

店舗をさらに拡大するなど、経営者としての側面はどうだろう。「今はあまり考えていませんね。タイミングと縁に恵まれれば、可能性はあるかもしれませんが、例えば当店で働いてくれているスタッフの独立を支援するとか、そういった広がりがあった方がいいと考えています。僕自身は、生産地ともっと直接的に結びつくような取り組みに力を入れていきたい。今考えているのは、自社農園を持つこと。そうすれば、よりオリジナリティという価値が付加されるでしょうし、純粋に仕入れられる生豆の量も増える。そうやって手に入れた生豆をほかのロースタリーに積極的に卸せるような体制も整えていきたい」と話してくれた。

■森さんレコメンドのコーヒーショップは「Filles et Garçons」
次回、vol.2で紹介するのは福岡市・大手門にある「Filles et Garçons(フィーユ エ ギャルソン)」。
「もともと、TWEENER COFFEE SHOPというカジュアルなスタイルのお店でしたが、2021年9月にリニューアルというか、まったく違うお店としてオープンしました。今まで福岡になかったようなお店で、コーヒーと自然派ワインを柱に据えています。僕自身、ワインが好きですし、コーヒーとワインは通ずるものがあると思っています。そんな視点から、これからどんなお店になっていくのか、純粋に興味を持っていますね」(森さん)

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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