
2021年2月にアイドルグループ・でんぱ組.incでの活動を卒業した成瀬瑛美さん(愛称:えいたそ)。11年間にわたりアイドル生活を送っていた彼女だが、幼少期の夢は「漫画家」だったという。そんな彼女がTwitterに投稿する、日常を描いた漫画が“激しい”“楽しそう”と話題だ。そこで、えいたそさん本人に「漫画」について、「アイドル活動と漫画の関係」について話を聞いた。
―えいたそさんが、漫画を描こうと思ったきっかけは?
「漫画を描き始めたのは幼稚園のころで、当時読んでいた少女漫画のマネでした。毎日ひたすらスーパーのチラシの裏などに描いていましたね。今年の夏ごろから、日常を漫画にしてSNSに投稿し始めたのは、しょうもない理由なんです。「夏の暑い日に道路を走るトラックの影と並走して走ったら涼しいのではないか?と思って実際に走ってみたら、ただただ汗だくになった」…といった文字では伝わらりづらそうな、アホみたいな出来事を漫画の力を借りて、リアルに伝えたかったからなんです (笑)」
―どれぐらいの時間をかけて描いているんですか?
「15分くらい勢いで描いて、15分間くらい寝かせて、最後に30分くらいで手直しをします。なので1ページは1時間くらいですね。時間を置いてから直すのは、客観的に見て伝わるものになっているか確認するため。言葉や表情を分かりやすく的確に変え、最後に絵を直していきます。…ってそんな大層な物は全く描けていないんですけどね(笑)。常にiPadを持ち歩いているので、いつでもどこでも描いています」
―在籍していたでんぱ組.incでのアイドル活動が漫画制作に生きることはありますか?
「めちゃくちゃありますね!私の考えではありますが、でんぱ組.incは常に自らを個性豊かなキャラクターとして捉えて、全体から見た自分の立ち位置を把握していないと、成り立たないグループだったんですよね。なので、まさにキャラクターがたくさんいる漫画の中で生きている感覚で過ごしていました」
―常ににぎやかだったんですか?
「これは行き過ぎた感覚かもしれませんが、メンバーの誰かが転んじゃったりすると、けっこうリアルに目の前に『どててーっ!☆』みたいな書き文字が浮かんできちゃったりするんですよ! 元々持っていた個性ではあるけれど、大好きでコミカルな仲間と一緒に過ごすことにより、一層その感覚は濃くなりましたね(笑)」
―漫画を描き始めて、周囲の反応はいかがですか?
「リプライ等で感想が寄せられたことがすごく嬉しかったです! 漫画の題材として描いた高校の友人(※「初めて髪を染めた日」参照)も、とっても楽しんでくれたみたいです。昔から周囲の人を漫画に描くのが趣味だったので。絶対に人に見せられないですが、でんぱ組.incの百合漫画なんかもありますよ(笑)」
―逆に、漫画を描き始めてから苦労したことはありますか?
「ネコを飼っている方にとっては、超あるあるネタだと思うんですけど、気が付くと家族であるネコが勝手にiPadを操作しちゃっていることです。どうやら肉球に反応するようで、うっかりスリープせずiPadを放置してしまうと、作業に戻った時に画面に謎の筆跡が…。いや、かわいいのでこれはもう苦労ではないです、私は怒らない(笑)」
―これまで描いた中で、気に入っている作品はありますか?
「事務所にある『人感センサーの消毒液』の話は、掲載後に消毒液の置き位置が少し変わっていたので面白かったです。あとはやはり「初めて髪を染めた日」は自分で思い出しながらも、クレイジーだな大丈夫かな…と思ったので好きです(笑)。漫画にしているから盛っているようにも見えますがガッチガチモンの実話です…ヤバ…」
―最後に、これから描いてみたいテーマは?
「これまでの私の人生、短いようで、ミラクルたっぷりの濃く長いものであったので、まだまだ人に言っていない、おもしろいエピソードがたくさん(笑)。「漫画で表現する」ということが常に近くにあったので、これからも、少しずつ漫画で私のハッピー&ポジティブを描いていけたらいいなと思います。ここまでお読みくださり、どうもありがとうございました」
長い年月を共にしていたでんぱ組.incについて「ヲタクの集まりだから趣味に集中していたり、たまに楽屋でネガティブになっちゃうこともあったけど、仲間たちと盛り上がってとっても楽しく過ごしていました!」と話す。アイドルとして過ごしてきた、えいたそさんだからこそ感じる、日常の喜びやおもしろさがあるのかもしれない。