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サニーサイドアップグループ次原社長に聞くSDGsの意義「一人ひとりの行動は小さくても、人が動けば世論のうねりになる」

  • 2021年10月22日
  • Walkerplus

貧困、紛争、気候変動、感染症など、人類は、これまでになかったような数多くの課題に直面している。このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなるという危機感から2015年、193の国連加盟国すべてが「誰一人取り残さない – leave no one behind -」をスローガンとし、2030年までに達成すべき具体的な目標を設定。それが持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」だ。

世界的に「SDGs」への関心が高まるなか、各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、具体的にはどのようなことが行われているのだろうか――。そこで今回、7月2日に著書『2030年を生き抜く会社のSDGs』を上梓したサニーサイドアップグループ代表取締役社長・次原悦子氏にインタビューを実施。2000年代初頭から社会的貢献活動に取り組んできた次原氏に、その取り組み内容と活動への想いを聞いた。

■PRの仕事は人の心を動かし、世の中を変える手伝いができる

――昨今、SDGsに力を入れる企業や自治体が増えています。一方で、2001年にまとめられた2015年までの国際目標であるミレニアム開発目標「MDGs(Millennium Development Goals)』がありましたが、国民レベルでの“課題への認知拡大”と“目標達成のための実践”という点ではうまくいかなかった印象です。ただ、個々の活動を見ると2005年のホワイバンドプロジェクトのようなムーブメントもありました。

【次原悦子】サニーサイドアップは、MDGsの活動の一環として、2005年に貧困撲滅の世界的アドボカシー活動「ホワイトバンドプロジェクト」を日本で展開しました。「3秒に1人、貧困のせいで子供が死んでいる」というセンセーショナルなメッセージは多くの人の心を動かし、意思表示のアイテムとして発売され、日本での「ホワイトバンド」は最終的に約600万本近くの本数を売り上げました。

――キャンペーンの効果というのは?

【次原悦子】「アドボカシー(政策提言)」と「啓発」です。世界中で行われたホワイトバンドプロジェクトは、世界の貧困に対して国民の関心を集めることで各国の政府にプレッシャーをかけ、その後の政策決定に影響を与えたのは明らかでした。一人ひとりの行動は小さくても、キャンペーンによって人が動き「世論のうねり」が形成されて世の中の仕組みが動くことが分かりました。

――非常に大きなムーブメントになったのを覚えています。貧困撲滅の意思表示として手首に白い布など(ホワイトバンド)を巻き、メッセージを発信しました。若者を中心にファッションアイテムとして気軽に身に着けられる点が良かったですね。

【次原悦子】サニーサイドアップはPRが仕事なので、うまく活用できれば人の心を動かし、世の中を変えるお手伝いができるということを私は実感しました。

――他にはどのような取り組みをしてきたのでしょうか?

【次原悦子】SDGsでは1つ目の目標として「貧困をなくそう」となっていますが、貧困の大きな理由として気候変動の問題があります。それで2007年には、日本郵政グループに「カーボンオフセット年賀」を提案させていただいて、実現できました。

――カーボンオフセットとは?

【次原悦子】カーボンオフセットとは、排出してしまった二酸化炭素の量を何らかの方法で埋め合わせして、地球全体として二酸化炭素の排出を実質ゼロに近づけようという発想です。つまり、出した側がクリーンエネルギーの開発事業や森林保護・植林活動にお金を払うことで、排出した二酸化炭素(カーボン)を相殺(オフセット)するという考え方です。

――オフセットするための方法として年賀状を活用したわけですね。

【次原悦子】通常の年賀はがきの定価は50円ですが、カーボンオフセット年賀はがきの販売価格は55円で、うち5円が地球温暖化ガス削減への貢献に限定した寄付金となるというものです。そのはがきのデザインも、ホワイトバンドをしてくださったアートディレクターの信藤三雄さんにデザインをしていただいて製作しました。

――年賀状は国民的行事ですから、その効果は大きいです。

【次原悦子】初年度の2008年は1500万枚がたくさんの人の手元に届きました。た。1枚あたり5円の寄付金なので単純計算で7500万円です。大きな数字とはいえないかもしれませんが、この年賀状を受け取った人の一部は「カーボンオフセットってなに?」と疑問に思い、自分で調べた人もいたでしょう。買った人と受け取った人の数を考えると、「啓発」として金額以上の役割を果たしたと思います。

■企業がSDGsと向き合っていなかったら、時代に取り残される

【次原悦子】2006年に弊社がマネジメントを担当する元サッカー選手の中田英寿が現役を引退しました。その後、中田さんは2年ほど世界を旅して回るのですが、世界にはさまざまな問題があることに気づいたそうです。そこで、「TAKE ACTION+1」(「なにかできること、ひとつ。」をスローガンに、地球で起こっている多くの問題に対して興味を持つきっかけになることを目指した「+1」キャンペーン)を始めました。2008年の4月15日には、日産スタジアムエキシビジョンマッチ「+1 FOOTBALL MATCH」を開催し、多くのビッグネームが集まり話題となりました。

――その試合は覚えています。前園真聖氏をはじめ、レジェンドである北澤豪氏、澤登正朗氏といったサッカー元日本代表メンバーはもちろん、対戦相手の監督としてジョゼ・モウリーニョ監督(当時セリエA・インテル監督)、選手にはクラレンス・セードルフ(当時・ACミラン所属)選手、エドガー・ダービッツ(当時・アヤックス)選手ら豪華メンバーが集結し大盛況でした。

【次原悦子】他にも、「4時間以上のボランティア活動をすると、著名アーティストのライブに参加できる」仕組みとして、レディ・ガガやリアーナ、MAROON5などのアーティストが協力し、世界9カ国で14万人以上がボランティア参加したことで話題となった「RockCorps」という取り組みも2014年(~18年)に手掛けました。

――さまざまな活動をされてきたわけですが、次原さんは著書『2030年を生き抜く会社のSDGs』で、企業がSDGsに取り組むべき理由を書かれています。強調しておくべき点はどんな点になりますか?

【次原悦子】学校の教科書でSDGsを扱うようになったんです。なので、実は中学生や高校生、大学生といった若者たちの方が大人よりSDGsについて詳しい。弊社の新卒の子たちと話をすると、その辺の大人よりもずっと詳しくて、教育ってやっぱりすごいんだな、大事だなって思いました。つまり、問題意識を持った若い世代がどんどん出てくるのに、企業がSDGsと向き合っていなかったら、時代に取り残されるということです。

■自分なりの「何かできること、ひとつ」を考えることが大切

――SDGsは各メディアで盛んに拡散されはじめています。次のフェーズとして、日本が取り組むべき活動はなんでしょうか?

【次原悦子】SDGsには17の目標がありますが、それを全部解決するというのはなかなか難しいことかもしれません。でも、17の目標に向けて、一人ひとりがほんの少しでも意識を高められれば、一歩だけ前に進めば、今より良くなるんじゃないのかなと思います。例えば、プラスチックのコップじゃなくて、マイボトルを持とうとか、ほんの小さなささいなアクション1つでも、それを世界規模で行えば大きなアクションに結びつく。そうやって考えていくことが大事だと思います。

他にも、貧困、女性活躍推進をテーマにしたプロジェクトを作ったり、PRの力を使って、世の中を変えていくことができるんじゃないかと、弊社に専門の部署としてソーシャルグッド推進室を設立したり、社会課題解決に特化した事業会社「株式会社グッドアンドカンパニー」を始動したりと、グループの企業を横断した活動をやり始めているところです。

また、「女性活躍推進」という国としての大きい命題がありますが、自分もそこに対してはアクションを起こす責任があると思っています。事実、私も37年間この仕事をしてきて、女性で上場会社の女性社長っていうのは全体の1%、創業からの割合は0.1%にも満たないくらいです。

こうした流れを変えていくためにも、ひとつのアクションとして、一社だけでの取り組みのみならず、企業の枠を超えた取り組みにも参画。女性の心身的課題と社会的課題の両面から女性活躍をデザインするプロジェクト「W society(ダブリュー ソサイエティ)」に参画し、この秋から動き始めています。自分自身のカラダを知るきっかけづくりを啓発し、女性と社会に“気づき”を与えるキャンペーン「egg week」を開催。初日10月28日(木)にはアンバサダー登壇型のカンファレンスも予定しています。

わたしたちなりの「何かできること、ひとつ。」が何かと考えながら、これからも少しずつ行動に移していきたいと思います。

【プロフィール】
次原悦子(つぎはら えつこ)
1985年、17歳でPR会社サニーサイドアップを設立。中田英寿などのトップアスリートを世に送り出したほか、「ホワイトバンドプロジェクト」を始めとするさまざまなソーシャルアクションを手がける。2021年6月に経団連ダイバーシティ推進委員会の委員長に就任。二児の母。現在独身。

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