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『ガンダムエース』20年の軌跡、編集長に聞く「ガンダム漫画ヒットの方程式」

  • 2021年11月3日
  • Walkerplus

2021年6月、ガンダムシリーズの専門誌として創刊した『ガンダムエース』が20年の節目を迎えた。本誌は、アニメ「機動戦士ガンダム」(1979年放送)のキャラクターデザインを担当した安彦良和氏による漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や、小説作品からアニメ化された『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』、アニメ化への期待も高い『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズなど、数多くの人気作を生み出してきた。そこで今回、この20年の歩みをつぶさに見守ってきたガンダムエースの編集長・財前智広氏にインタビューを実施。創刊時のエピソードから、自身のほろ苦い失敗談まで、名作誕生の舞台裏を聞いた。

■安彦良和氏の漫画を掲載するために作られた雑誌だった

――『ガンダムエース』創刊の経緯を教えてください。

【財前編集長】当時、安彦(良和)先生の執筆でファーストガンダムを漫画にしよう、というビッグプロジェクトがありました。ただ、当時の角川には安彦先生の漫画を掲載する雑誌が無かったため、「それならガンダムの専門誌を立ち上げよう!」という機運が高まり、『ガンダムエース』を創刊に至りました。

――安彦さんの「THE ORIGIN」を掲載するために作られた雑誌だったと。ちなみに、財前さんは当時何をされていましたか?

【財前編集長】創刊当時は福島県いわき市でアニメ関係のお仕事をしていて、たまたまで本屋で見つけて「すげぇ時代が来た!」ってビックリしたことを覚えています。私はその1年後の月刊化準備号の時にアルバイトとして編集部に入って、それから19年、『ガンダムエース』に携わってきました。編集部に入った時は一番の若手でしたが、今では一番の古株です。

■初担当作品は1年でクビ…その後のヒットを生み出したガンダム漫画“勝利の方程式”

――19年!まさに『ガンダムエース』の生き字引ということですね。そんな財前編集長が初めて担当された漫画は何でしょうか?

【財前編集長】「宇宙(そら)のイシュタム」です。創刊してから1年目でしょうか、当時の編集長から「飯田馬之介さんが漫画を描くから担当しろ!」と言われたんです。漫画のネーム、入稿のやり方、デザイン出しもやったことがなく、右も左もわからないド新人の状態で担当になって、「宇宙(そら)のイシュタム」の連載スタートから1年ほどでクビを宣告されました(苦笑)。でも、イシュタムではたくさんの経験をさせてもらって、今となってはそれが大きな財産になっています。

――財前編集長にもそんな過去が…!まさに「人に歴史あり」ですね。その後、数多くのヒット作を生み出してきたわけですが、その秘訣というのは?

【財前編集長】『ガンダムエース』の創刊時、名前を聞けば誰もが知っているようなレジェンド作家がたくさん名を連ねていたんです。言うなれば、ガンダムの漫画を描ける人、描くべき人という作家はフルメンバーで揃っている状態。ですが、個人的にはガンダム漫画に“新しい風”を取り入れたくて「ガンダム×〇〇」という裏テーマで連載をスタートさせました。

――ガンダムと“別要素”を掛け合わせたということでしょうか?

【財前編集長】はい。例えば「ガンダム×ヤンキー=オレら連邦愚連隊」「ガンダム×探偵=機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー」「ガンダム×日常=シャアの日常」「ガンダム×都市伝説=ジョニー・ライデンの帰還」といった掛け合わせから“新しいガンダム漫画”が誕生しました。この手法は今でも“勝利の方程式”として成立しています。

■20年続いているのは、“新しいガンダム漫画”を生み出してきたから

――20年の歴史の中で『ガンダムエース』にとってのターニングポイントを教えてください。

【財前編集長】やはり、安彦先生の「THE ORIGIN」、福井(晴敏)先生の「機動戦士ガンダムUC」といった大ヒット作品に恵まれたことがターニングポイントになっています。『ガンダムエース』は「THE ORIGIN」の連載が終わったら無くなるんじゃないかと言われていましたし、編集部内でも冗談めかしてそんな話をしていました。でも、こうして雑誌が存続しているのは、“新しいガンダム漫画”を生み出してきたからだと思います。

――ということは、今後の成長のためにも“新しいガンダム”が必要なわけですね。

【財前編集長】「閃光のハサウェイ」や「ガンダムUC2」、先日発表された「ククルス・ドアンの島」など、宇宙世紀作品に関しては先々まで決まっています。我々としては、宇宙世紀をはじめとした既存のシリーズはもちろん抑えつつも、それとは全く違うガンダムの世界観を描いていきたいと思っていて、具体的に新連載も控えています。これはライトノベル「さくら荘のペットな彼女」や「青春ブタ野郎」シリーズなどで知られる鴨志田一先生の脚本による「機動戦士ガンダムエイト」という作品になります。

■「ネタが尽きてしまうのでは」という危惧は常にある

――ガンダム作品は宇宙世紀ものに偏りがちなので、新しい世界観の作品というのは新鮮です。ちなみに、この20年でさまざまなガンダム漫画が誕生したわけですが、ネタに困るようなことはあったのでしょうか?

【財前編集長】『ガンダムエース』はご存知の通りガンダム縛りなので、「ネタが尽きてしまうのでは」という危惧は常にあります。私としては、それらの打開策としては、『ガンダムエース』が20年にわたって蓄えたガンダム漫画のデータにあると思っています。

――ガンダムに特化した20年分のビッグデータがあるわけですね。

【財前編集長】はい。そのデータを今後どう活かしていくのか。それが『ガンダムエース』発展のカギになります。簡単にいうと市場動向、クオリティ管理、マーケットへのコネクション…そういったものをベースに“新しいガンダム漫画”を創造していきます。その流れとして、20周年を記念した4つの新連載をスタートさせました。

従来のガンダムエース読者に向けた「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズの新連載「機動戦士クロスボーン・ガンダム X-11」。宇宙世紀ファンに向けにクリスチーナ・マッケンジー目線で「0080」描く「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」。ガンダムエースと共に20年を迎えるガンダムSEEDの外伝作品「機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE」。アクシズショック後の世界を舞台に、20歳になったキッカがアムロの軌跡をたどるコアファン向け作品「機動戦士ガンダム ピューリッツァー -アムロ・レイは極光の彼方へ-」の4作品となります。

――新機軸の「ガンダムエイト」に4つの新連載。どれも今後が気になります。

【財前編集長】「ガンダム」という世界は日々進化し拡張しています。今回お話しできなかったネタも数多く水面下で進んでいる状態です。我々、編集部はガンダムというコンテンツが“ジオンと連邦の和平交渉”の様な終戦を迎える日まで邁進していきます。


(C)創通・サンライズ

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