東京2020オリンピック・パラリンピックを支えたパートナー企業の“知られざる裏側”を紹介するWEB動画『THE BACKGROUND』に、住宅設備機器・建材製品を開発・製造・販売する業界最大手のLIXILが登場。東京2020 オリンピック・パラリンピック推進本部長の佐竹葉子氏が出演し、今大会の“聖火トーチ”に関わる驚きのプロジェクトについて語った。
■仮設住宅のアルミニウムを使用「聖火トーチとして生まれ変わらせました」
LIXILは、東京2020オリンピック・パラリンピック聖火リレートーチの「素材の製造」を担当。東日本大震災での役割を終えた仮設住宅の窓などのアルミ建材を回収・再利用し、桜をモチーフにした聖火トーチ(1万1000本)の素材として提供した。佐竹氏は「東日本大震災で被災された方々の生活を守るために多くの仮設住宅が建てられたのですが、それが役割を終えて解体されたときに、当社は仮設住宅で使われていた窓やアルミを回収して、聖火トーチとして生まれ変わらせました」と解説。仮設住宅のアルミニウムを約30%も使用したという。
また、この聖火トーチに込めた想いついても、佐竹氏はコメント。「東日本大震災のときに、世界中の人々から受けた支援に対して、感謝の気持ちを伝えるということと、今の復興の状況をお伝えするということが復興オリンピック・パラリンピックの目的。多くの方がお住まいになっていた仮設住宅は、本当に被災地の方々の命の基盤、生活の支えでした。その方々の想いがたくさん詰まった住まいの一部であるアルミニウムを、今度は希望の光を灯すトーチに変えるというのがこのプロジェクトで、これを通して、被災者の心の復興にも貢献することができました」と語った。
■大会組織委員会、解体業者の協力を得て、長い時間をかけてプロジェクトを実現
しかし、トーチが完成するまでの道のりは困難の連続だったそう。前例がなかったために「仮設住宅からアルミニウムを回収するという構想を実際に実現するのが難しかった」とのこと。自治体から協力を得るために、同社の担当者は何度も福島・岩手・宮城に足を運び、話し合いを重ね、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の協力、解体業者の協力を得て、長い時間をかけてプロジェクトを実現したという。ちなみに、アルミニウムは仮設住宅約800戸から回収した。
トーチを持ってランナーが走る聖火リレーは、本来であれば沿道で観覧したり、ランナーを応援したりすることができる。このコロナ禍ではそういったことを控えなければならなかったが、同社はそれでも“盛り上げたい”と、デジタル上でパラリンピック聖火リレーを応援できる「エールの火」キャンペーンを実施した。
これは、パラリンピック聖火ランナーへの応援メッセージをLIXILのホームページに投稿すると、メッセージがページ上に「火」となって登場する…という試み。応援メッセージが増えれば増えるほど大きな「火」となり、各地から集まったパラリンピック聖火が1つになっていく仕組みだ。「コロナ禍でできなくなったこともありますが、そのなかで考え、できるようになった取り組みというものがあります。この取り組みはその1つです」と、前向きな姿勢を見せる佐竹氏。
この他、全国の小学生に向けた「ユニバーサル・ラン<スポーツ義足体験授業>」(全国238校が受講)も実施するLIXILは、“多様性・心のユニバーサル”を尊重するさまざまな取り組みを立ち上げ、継続していることを伝えた。