東海エリアのユニークな取り組みや話題を徹底取材する「街の仕掛け人に直撃!」が東海ウォーカーで連載中。第4回は若手農家が主体で取り組む成長中のプロジェクト「恵那山麓野菜」に注目。恵那山麓で当たり前に農業を続けられる状態を目指す、新たな地域ブランドの試みとは?仕掛け人である一般社団法人ジバスクラム恵那 事務局次長 横光 哲さんに、その舞台裏を聞いてみた。
■地域ブランドの立ち上げは高く売るのが目的ではない
岐阜県恵那市で持続可能な地域づくりに取り組むジバスクラム恵那。2020年1月の設立以来、〝地域商社〞と〝観光業の育成〞という2つの役割を担って奮闘中だ。
地域商社とは、観光資源や特産品などをブランド化し、地域内外に販売する組織のこと。「当団体は、行政や観光協会、農業協同組合などの既存の組織と程よい距離感を保ちながら独立しています。そのため、マーケティング戦略に基づいた効率的で小回りがきく活動ができるのが特徴です」と横光さんは話す。現在力を入れている事業の一つが、恵那市や中津川市など恵那山周辺の農家の野菜を販売する、恵那山麓野菜だ。
「地域ブランドというと、付加価値を付けて高値で販売するイメージが強いと思いますが、私たちの目的は高く売ることではないんです」と横光さん。中山間地域が人口減少や耕作放棄地などの問題に直面する今、目指しているのは「この恵那山麓で、当たり前に農業を続けられる状態」だと言う。「そのために、自然環境を守りながら、ここで作られた農作物を適正な価格でいつでも買えるようにする必要があります」。
■地産地消に取り組みつつ今後はネット通販に注力
そこで、持続可能な農業という趣旨に賛同する農家を集めて、恵那山麓野菜として共同出荷をする試みをスタート。まずは地産地消を進めるため、地元のスーパーや飲食店などの販売協力店を増やすことに。地道に営業を重ね、現在は20ほどの販売チャネル(経路)があると言う。さらに今後はインターネット通販に力を入れる。「現在はECサイト『食べチョク』に出店していて、テレビで紹介されたこともあり受注数が伸びています。今年8月には、直営の通販サイトを立ち上げる予定です」。
注目が集まる一方で、課題も多いと横光さん。「農家から届けられた野菜をいかにスムーズに出荷するか、お客様のニーズに合わせてどのように商品化していくかなど、仕組みを構築している最中。設備も人手もこれからです」。
まだまだ成長段階と横光さんは話すが、着実にファンを増やしている恵那山麓野菜。そのみずみずしさを一度味わってみては。
「食べチョク」での恵那山麓野菜の展開はHP参照
https://www.tabechoku.com/producers/22030
■今回の仕掛け人はこの人!
1977年生まれ、岐阜県恵那市出身。2000年恵那市役所入庁。恵那市農林部農政課課長補佐。ジバスクラム恵那立ち上げに伴い派遣により現職に。ステイホーム中は家庭菜園とDIY、そして晩酌が日々の楽しみ。
■販路を確保するさまざまな試み
■直営のアンテナショップとWEBサイトがオープン!
7/1、恵那駅前にジバスクラム恵那直営のアンテナショップ、Aeru SHOP(住所:岐阜県恵那市大井町293-9)がオープンした。8/1(日)には通販や宿泊予約ができるWEBサイト、Aeruもリリース予定だ。
■新たな地域の担い手が活躍。情報発信にも力を入れる
持続可能な農業を目指し、生産方法にこだわった若手農家が中心。それぞれのスキルや経験を生かしアイデアを出し合っている。
■地元の販売店を増やしながらマルシェなどイベント出店も
毎月第3土曜に開催される、たべとるマルシェ(会場:恵那市中央図書館 住所:岐阜県恵那市長島町中野2-2-5)をはじめ、さまざまなイベントに出店する。
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。