5月17日(月)開催のChou単独イベント「Chou会」、5月23日(日) 開催のチームKⅣ「制服の芽」公演がHKT48劇場での最後の公演。そして、5月29日(土)、北九州ソレイユホールで行われる【HKT48コンサート みんな 元気にしとった? ~森保まどか 卒業式~】にて、グループから卒業するHKT48の森保まどか。森保にとって、アイドル人生のすべてを詰め込んだ、最後となる写真集『HKT48 森保まどかラストフォトブック スコア』が5月26日(水)に発売される。
HKT48の1期生メンバーとして過ごした10年を振り返っている写真集ではあるが、振り返ったといってもアーカイブをまとめた写真集ではない。森保の10年間の思いを、濃密な3日間で撮影した写真と、自身の書いたエッセイで構成し、一冊にまとめたフォトブックだ。
ほかにも、10年間を振り返ったスペシャルインタビュー、森保自身がキャプション(写真の解説文)を書いた私物のオフショット、1期生&Chouのメンバー11名との直筆によるメッセージ交換、「ピース!!」と直筆で書いたピース18連発カット、裏表紙には直筆サインと直筆メッセージと、これでもかと森保の魅力が詰まった内容になっている。
森保のファンを思う強い希望により、撮影は、HKT48の本拠地である福岡ですべて撮り下ろされた。森保に『スコア』の制作に対する意気込みや、込めた思いを聞いた。2回に渡ってお届けします。前編です!
■最後のフォトブックになるということで、私のやりたいことをやろうと思った
――フォトブックに関する記事を何度もお届けしてきましたが、いよいよ今回が最後のインタビューということになりますね。まずはフォトブックの出版が決まったときのお気持ちを教えてください。
【森保まどか】こちらこそ記事をたくさん掲載してくださって本当にありがとうございます。フォトブックの出版については、マネージャーさんから「写真集の撮影が決まるかもしれない」と聞きました。とてもうれしくて、まだ決定したわけでもないのに、SNSで「うれしいお仕事が決まりそう。だけど、どうなるかな?」とファンの皆さんに報告してしまったくらいです。
――フォトブックの出版はいつ決まったのでしょうか?
【森保まどか】急遽決まって、卒業発表した3月6日の1カ月ぐらい前でした。それで卒業発表の3日後には撮影していました(笑)。
――卒業発表をした日のSNSに「卒業までに皆さんが喜んでくれそうなこともアレコレ計画中なのでお楽しみに!」のあれだったわけですね。まどらー(森保のファン)の間でも最後に写真集を出して欲しいという声はかなり多く上がってましたね。
【森保まどか】はい。最後のフォトブックになるということで、私のやりたいことをやろう、さらに私のファンの皆さんが喜んでくれることをフォトブックに掲載しようと思いました。編集担当の方にぜんぶ叶えてもらえなくても、お願いするだけお願いしてみようと思っていました。
――撮影に向けて準備したことはありますか?
【森保まどか】膝の怪我のこともあって、激しい運動やジム通いは難しかったので、ダイエットしました(笑)。露出もあるかなと思ったので、意識して生活していました。夜ご飯は基本的におかずだけで、夜はお腹空いた状態で寝る。食べる順番も気をつけて、海藻や野菜から食べてというのを、普段から気を付けてはいるんですけど、さらに意識してました。
――タイトルの『スコア』に込められた意味を教えてください。
【森保まどか】秋元先生が付けてくださったタイトルです。何案かいただいた中から私が好きなものを選ばせてもらいました。“総譜”“楽譜”という意味で、『スコア』という言葉の響きが気に入りました。
――秋元康さんの帯コメントにも「美しいコンチェルトのSCOREに思えて来た」と書かれてありましたし、ネットニュースでも“音を奏でる写真集”と紹介されていました。
【森保まどか】私のピアノを通じて、秋元先生が私を見てくださっているんだなと感じました。
■表紙は、撮ろうと意気込んで構えて撮ったものじゃない
――表紙の写真はどうやって決まったのでしょうか?
【森保まどか】糸島の別荘の軒下で撮影した写真です。白いビスチェの上にパジャマシャツを羽織っていて、次の衣装に着替えなければと思いながら、パジャマシャツを脱いだ瞬間をカメラマンさんが撮影したものです。表紙を撮ろうと意気込んで構えて撮ったものじゃない、その肩に力が入ってない自然な感じが逆によかったんじゃないかと思います。右手に脱ぎかけのパジャマシャツも少し写っています(笑)。
実は、自分でこの顔を見て大丈夫かなと不安だったんです。自分じゃないみたいというか、自分から見たら、ちょっと言い方は難しいんですけど、不健康な感じに見えないかなって、最初心配だったんですよ。でも何回も見ているうちに、確かに何個かあった候補の中で、一番なんか訴えかけるような、中身を開いてみて欲しいなぁみたいな顔の表情をしているかなと思いました。カメラマンさんも、背景も含めて選ぶことが多いので、自分では選ばない、編集の担当者が顔の表情を見て表紙の候補に選んだカットだと言ってました。
最初の扉ページの花を持った写真もすごくアンニュイで気に入ってます。しっくりきて、この写真が表紙でもいいなと思ったくらいです。インスタっぽい写真だなっと思ったので、すぐにインスタのアイコンにしました!実は糸島で撮影した水着カットも表紙でもいいなと思っていたくらい、表紙候補の写真がいっぱいありました!
――扉の写真は手の位置がちょっと不思議な感じになってますね。でも顔と花に目が行くので、パッと見た目は気が付かないかもしれません。
【森保まどか】そうなんです!お母さんに「手はどうなってるの?」って聞かれました。私はぜんぜん気がつきませんでした(笑)。
――フォトブックの出版について家族の反応は?
【森保まどか】「最後に出せるんだ。よかったねって」「ありがたいねって」と父はすごく喜んでくれて。母は、私がダイエット期間になると、食べたいけど我慢しなくちゃ!ってピリつくので、「ああ大変になるね」っていう感じでした。撮影日はいつなの?ってすぐに聞かれました(笑)。
――3日間とも福岡で撮影ということは毎日自宅に帰宅していたんですか?
【森保まどか】そうなんです。全編福岡で撮影で、そもそもグラビア撮影を福岡でするっていうのは、いままであまりなかったです。初日から、撮影終わりに家に帰るっていうのが、なんかすごく新鮮で不思議でした。母もそういう姿を間近で見ているので、できあがったフォトブックを見たら、きっとほめてくれると思います。そう信じています!
――先日放送された“Fまど”(HKT48 渡辺通1丁目 FMまどか ~まどかのまどから~)では、編集の担当とこんな風に制作を進めていったというお話をされてましたね。相手の渕上舞さんも「素敵!」と言ってました。編集の担当者とはどんな風に相談しながらフォトブックの制作を進めていったのですか?
【森保まどか】まずは事前に打ち合わせをさせていただき、どこに行きたいか?何をしたいか?どんな衣装を着たいか?など、正直に自分のしたい願望をすべて書き出してみました。HKT48の10年を振り返るページがあるので、「私物の写真を掲載しよう」というお話をいただいたときは、実はおぼろちゃん(森保の愛猫)との2ショット写真も掲載したい!とお願いしたんです(笑)。
――森保さんの希望が叶ったフォトブックになっているんですね!
【森保まどか】はい。元々そういう企画のフォトブックではなかったハズですけど、編集担当の方が私の意見をいろいろ聞いてくださいました。全体のテーマ、タイトルや表紙の写真、帯の色や、カバーを外した表紙(本体表紙)の色まで、私に選ばせてくださいました。カバーを外した表紙は、HKT48劇場の写真なんですけど、何色になっているかぜひ見てみてください。
私がしたいと思った願望はすべて叶えてくださいました。まずは、撮影場所は福岡にこだわりました。HKT48メンバーとして10年間過ごしてきた福岡の風景が私といっしょに写り込むことで、ファンの皆さんが私を思い出しながら、フォトブック片手にその場所に行けるのがいいなと思いました。コロナが落ち着いて、フォトブックに掲載されている場所に、聖地巡礼をしてもらいたいという思いからです。すべて行くことができるスポットですので、福岡のガイドブックとも言えます!
――卒業して森保さんに会えなくなっても、フォトブックさえあれば、森保さんをいつでも思い出すことができるし、森保さんが立ったその場所に行き、思い出すことができるのは、ファンの気持ちを第一に考えた森保さんの優しさですね。撮影場所について詳しく教えてください。
【森保まどか】私が希望した撮影場所は、中洲川端駅周辺(初期のレッスン場があったからです)、唐人町駅から劇場へ向かう川沿いの道(“オタロード”と呼ばれているファンの皆さんにとって馴染みのある道だからです。「ここかい!」って思って欲しいです!)、HKT48劇場、ピアノがある場所(ファンの皆さんから、ピアノを弾く姿を見たいと言っていただけるからです)、あとは、ドレスが映えそうなところ(女性の憧れの気持ちです)です。
■撮影してる!って思いながら、ウィンクしちゃったカットも掲載
――撮影場所については、後ほどさらに詳しく聞かせていただくとして、どんなことがしたいとリクエストをしたのですか?
【森保まどか】実はエッセイにも書いているんですけど、行きたい飲食店or食べたいものとして、希望を書きました(笑)。唐人町の「い志い」という海鮮のお店(中学生の頃から、近くに劇場があってよく行ってたので)に行って、海鮮蒸しシュウマイが食べたい!まだ行ったことのない屋台に行ってみたい!大好きなおっきい肉まんを食べたい!とお願いしました。
――だから食べるシーンが多く掲載されているんですね。
【森保まどか】撮影中はいっぱいいろんなものを食べましたね。海鮮蒸しシュウマイが付いた刺身定食に、さつま揚げ、あんまん(肉まんが食べたかったのですが、海鮮蒸しシュウマイを食べたすぐあとだったので、甘いあんまんを)、そのすぐ後にはメロンパン(昔よく買って食べていたお店のもの)も。
あとは、初めての屋台で焼きラーメンともつ煮込み。フォトブックには載っていませんが、スタイリストさんが差し入れしてくれた塩プリン(塩をかけて食べるんです。糸島の名物です!写真を撮っておけばよかった!)、ハンバーガー(食べたいもの希望に書こうかどうか迷って肉まんと書いたので、ハンバーガーを食べるシーンを撮影すると聞いたときは驚きました!)と、いろんなものをいっぱい食べました。
おなかいっぱいなのに、編集担当の方がどんどん勧めてくるんです(笑)。おなかが渦巻いてました。3日間を通して、こんなに美味しいものをいっぱい食べられたことがいちばん印象的でした。だから、フォトブックの“食べているシリーズ”は4分割率が高いです!
――衣装についてはいかがでしょうか?
【森保まどか】ドレスを着たい!(ピアノを弾くシーンでドレスを着ています!)、劇場では自前レッスン着で撮影したい!女の子が好きそうな雰囲気もあったらうれしい!と好きなファションの写真をお見せして打ち合わせしました。
――確かに、表紙の写真も白いビスチェを着てたり、巻頭ページはかなりのボリュームで、ビスチェやパジャマシャツ、ボディスーツなどを着ていて、女性ファッション誌のような雰囲気になっていますね。
【森保まどか】女性ファッション誌を担当しているスタイリストさんが衣装を用意してくれたんです。東京からスーツケースふたつで現れたので、こんなに!?って思って。ふだん私が好きで着ているような私服に近い女の子っぽい洋服がいっぱいでした。シーサイドももちや屋台で着ているアウターやゆるめのパンツなどは、私服に近いコーデで、自分の家にある服を着たような感覚でした。
ボディスーツも個人的に2着持っているんですが、スタイリストさんが用意してくれたボディスーツは何着も選択肢があったので、好きな色のベージュのドット柄を選びました。私服だとなかなか着られないようなドットのボディスーツに、白いニーハイソックスをあんな風にコーデするとは思っていなかったので、撮影ならではで、かわいいなと思いました。
メンバーからも「ドットのボディスーツ着てたね」って驚かれました。真っ白なバスタブに入って撮影したのですが、柔らかい光のなか、白のニーハイもいい感じで、女の子に喜んでもらえる内容になっていると思います。ポーズをするとき、ふだん使わないような筋肉も使ったので、ちょっと筋肉痛になっちゃいましたね。バスタブに入ったり、鏡越しだったり「めっちゃ撮影してる!」って思いながら(笑)。ウィンクしちゃったカットも掲載されています。
これまでは“大人担当”として水着も一色の大人っぽいものがほとんどでしたが、今回の水着では、上はブルー2色の花柄で袖にフリルがついていて、下は濃紺のドットで、女の子って感じの、これまで着てこなかったタイプなのでうれしかったです。あとはフリンジが付いた麦藁帽子を被って、紐をクルクル回して遊んだり、ベロを出したりしちゃいました(笑)。
小花柄の丈短めのワンピースも着ました!短すぎて急遽、デニムのショーパンを合わせたり。ドレスもオレンジっぽい色の女の子っぽいものを着させていただきました。ぜんぶかわいかったです!
――これまでの大人っぽい森保さんではなく、素の森保さんがいっぱい詰まった内容になっているんですね。改めて、アイドルとしてステージに立っているときと、モデルとして撮影されているときの気持ちの違いを教えてください。
【森保まどか】全然違いますね。全部が全部、ぜんぜん違って感じます。ステージでは見られてるっていう意識の方が強くて。写真撮影だとなんて言うんだろう...、その視線を一身に浴びてるって感じがしないから、どっちかというと自分からアウトプットするみたいな感じで、どうやって訴えかけたらいいかというのを意識しました。このカットではこの気持ちを伝えたい、という感じです。
今回のフォトブックは、コンセプトを編集担当の方が前もってしっかりと伝えてくださっていたから、やりやすかったというのはおかしいですけど、ふだんの自分でいいのかなと思いながら撮影しました。飾った顔とかもいい意味でしてないのかなと思います。くしゃっと笑っている表情とかは、なかなか見られないですね。
――雑誌のグラビアとはまた違う感じでしたか?
【森保まどか】そうですね。ひとりでの撮影も多いですけど、“なつまど”(松岡菜摘とのペア)ペアで撮影するときも多いので、役割分担を考えながらやるっていう感じでした。
――ほかにはどんなことをお願いしましたか?
【森保まどか】リアル彼女っぽいイメージも撮影したい!と希望を出しました。やりたいことが多すぎるので、どれかが叶うとうれしいとお伝えしたのですが、編集担当の方は、「自分の写真集なのでやりたいことをぜんぶやりましょう!」とすべて叶えてくださいました。これまで、こんなに自分が制作に関わって作ってきたことはなかったので、とってもうれしかったです。
■【森保まどか 背表紙帯コメント】
「たくさんの愛をありがとう。
10年間のアイドル生活を
覗き見してください!」
■【森保まどか ネットコメント】
「リアルな彼女感が楽しめるような写真を撮りたい、女の子が喜んでくれるようなページを作りたい、思い出のお店に行きたい、大きな肉まんが食べたい、アレをしたい、コレを着たい、ココに行きたい…悔いが残らないよう、私の希望を全て詰め込みました! 撮影期間は3日だったけれど、まるで10年を早送りしながら振り返っているような…不思議な時間でした。今回はエッセイにも初挑戦!普段考えていることはもちろん、撮影中に思い浮かんだものもあります。思い出をなぞりながら書いたので、照れくさいですが読んでほしいです。アイドルとして過ごした私の10年間がたっぷり詰まった一冊です!」
■【秋元 康氏 帯コメント】
「彼女から、いつも音楽が聴こえて来るような気がする。
ピアノを弾く姿が目に焼きついているからだろうか。
完成したばかりの写真集をめくっていたら、
いろいろな表情の彼女自身が
美しいコンチェルトのSCOREに思えて来た」
■【プロフィール】
森保まどか:もりやす まどか
1997年7月26日生まれ、長崎県出身、身長165センチ、血液型はA型。2011年7月10日、福岡を拠点とするアイドルグループ、HKT48の第1期オーディションに合格。HKT48チームKIV所属。HKT48選抜メンバーおよびHKT48のビジュアルユニット・Chouのメンバーとして活躍。特技はピアノ演奏で、2020年1月29日に松任谷正隆総合プロデュースによるソロピアノアルバム「私の中の私」をリリースした。2021年5月29日(土)にHKT48を卒業する。
後編に続く(5月16日配信)
撮影・取材・文=野木原晃一