主人公のネズミが、何気ない日常を過ごすなかでさまざまな経験をし、楽しさだけでなく寂しさやむなしさ、悲しみを感じながら成長していく漫画「ネズミのアミちゃん」。作者の「aandp(エーアンドピー)」さん(@aandp1989)がInstagramとブログにて配信している作品で、コメント欄には「私も同じような経験をしました」「めちゃくちゃ笑いました」など共感とアミちゃんを応援する声が多く寄せられている。
今回は、aandpさんにインタビューし、「ネズミのアミちゃん」(最新71話)のなかからイチオシの話とそのエピソードを教えてもらった。さらに、この作品が誕生したきっかけなども聞いてみた。
■“クソ男”を成敗する主人公にスッキリ
aandpさんイチオシの話、1つ目はアミちゃんが合コンに行く話。気合いを入れておしゃれして合コンに向かったアミちゃんだが、いろいろと馬鹿にされて収穫もなし。ヤケ酒をしてトボトボ一人で帰っていると、合コンに居合わせた男性から「お茶しませんか?」と声をかけられ舞い上がるも、実際はホテルへ誘われてしまう。
「世の中にはびこる“クソ男”を成敗する主人公が描きたくて。ちなみに、嘔吐物を自らのバッグに入れたまま捨てるタイミングが見当たらず数駅電車に乗ったという友人の話を思い出し、ストーリーに入れ込みました。『嘘でしょ!?笑』というコメントが何件かきましたが、本当の話です(笑)」
■東京での一人暮らしのリアル
2つ目は、田舎から上京したアミちゃんが、自由で楽しい生活が待っているとウキウキするも、実際はそうでもなかった…と気付く話。
「個人的に、ネズミのアミちゃんのなかで一番描きたかった話。私自身が田舎出身のおのぼりさんなので、上京した当時の心境をそのまま描きました。実家でぬくぬく育った人からすると、一人暮らしは本当に大変。段ボールの上にテレビを置いたり、カップラーメンが晩ご飯だったり、リアルに描いています」
■またも“クソ男”と戦うアミちゃん
3つ目は、アミちゃんがアプリで出会った男性と初めてデートをする話。その男性はイケメンで包容力もあってパーフェクトかと思いきや、実際は体目当ての男だった。あの手この手で危機から脱出しようと奮闘するアミちゃんが描かれている。
「これもいわゆる“クソ男”を登場させたかったので描きました。現実世界にもこういう人はけっこういると思います(知らんけど)。かなり下品な内容ですが、個人的には好きな話です(笑)」
■ふと気付く幸せに切なさがこみ上げる
最後は、アミちゃんが上京した後、初めてお母さんと弟が家に遊びにきた話。お母さんはくどくど文句を言うが、なんだかんだ家族全員で過ごしていた日々が幸せな事だったと気付き、寂しくなったアミちゃんだった。
「おもしろさはあまりない話ですが、一番気に入っています。『泣きそうになった』『涙腺弱くなったかも』とたくさんコメントをいただきました。描いたきっかけは自分自身が母親になったことが大きいです。きっと、娘がいくつになっても心配し続けるんだろうな、と想像しながら描きました」
■「ネズミのアミちゃん」はストレス発散から生まれた!
――SNSやブログに漫画を投稿し始めたきっかけはなんですか?
「独身の頃、仕事のストレス発散のために、毎日しょうもない漫画を紙に書いているのを当時付き合っていた今の夫が偶然発見。『SNSに投稿したら?』と勧められて投稿し始めました」
――連載中の「ネズミのアミちゃん」は、どうやって誕生したのですか?
「もともと創作漫画に興味があって、たまたま昼寝をしている時に夢でネズミの主人公がいろんなトラブルに巻き込まれる物語を見たのが、誕生のきっかけ。自分や家族、友人の体験を参考に、読む人がなるべく嫌な気持ちにならない内容を考えて描いています」
――「ネズミのアミちゃん」に登場するキャラクターたちにモデルなどはいますか?
「モデルがいたりいなかったり。海外のドラマや映画を観るのが好きなので、そこからキャラクターのヒントを得たり、実際に会ったクセの強い人をモデルにしてみたり。アミちゃんは、自分もしくは妹にすごく似ている気がします(笑)」
――今後の目標ややってみたいことは?
「あと少しでネズミのアミちゃんが終わる予定なので、次はスピンオフの『コバトのマリちゃん(仮)』なども描こうかな…と模索中です!」
――最後に、ファンの方々へメッセージをお願いします。
「いつもインスタやブログを見てくださり、本当にありがとうございます!コメント欄を見て爆笑することも多々あり、漫画を描き続ける大きなモチベーションとなっています。これからもおもしろいことがあれば漫画にしていきますので、楽しみにしていてください」
ポップな画風なのに、どこか闇を感じ、人生について考えさせられる「ネズミのアミちゃん」。どうか、アミちゃんが幸せになれますように、と願いながら、最終回を待ちたい。
取材・文=重藤歩美(関西ウォーカー編集部)