
心霊、ミステリー、人怖系など、実体験を募集して忠実に描いた漫画をブログやInstagramに投稿している、漫画家のババレオさん。投稿へのコメントは1万件を超えることもあり、読者から恐怖に怯える声が殺到している。2020年9月にウォーカープラスで紹介した際には大好評で、今でもその記事は多くのユーザーに読み続けられている。
今回は、ババレオさんに2020年を振り返ってもらい、今まで描いてきた作品に関するエピソードと共に印象に残った作品を紹介する。
■「コロナ禍での暇つぶしになればいい」
――昨年はコロナ禍によっていろいろなシーンで影響が出てきたと思うのですが、ご自身に何か変化はありましたか?
「唯一コロナ禍で意識したのは、作品を描くことによって“誰かを傷付けないか”ということです。この状況で1番大変な職業の人たちが登場する作品を投稿したのですが、読者の方から『今、こんな作品を描くのは不謹慎だ』とお叱りを受けました。読者のなかには擁護してくださる方もいたのですが、時代が変われば配慮すべき部分も変わっていくのだなと、襟を正す思いになりましたね。最近は私の作品で気休めというか、『いい暇つぶしになればいいな』と思っています」
■ババレオさんが選ぶ印象的だった作品
――では、昨年ババレオさんが印象に残った作品を教えていただけますか?
「1番は、むっちゃんさんという方からいただいた話です。人工透析をされている奥様とキャンピングカーに乗って日本中を旅されているのですが、作品を投稿すると多くの反響をいただきました。同じ治療を受けている方々から『勇気をもらえました』といった言葉をいただき、漫画を描く上での原動力になりました」
――最も印象に残っているのが、ホラーではないというのが意外でした。昨年は、ホラー以外もたくさん描かれていましたね。
「そうなんです。泣けるものや笑えるものまで幅広く描きました。読者の反応も多様でおもしろかったです。ちょっと笑えて子供の頃を思い出す作品として、『海底に眠る財宝』という話も印象的でした」
――子供らしい期待や妄想があふれ出ていて思わず笑ってしまいました。たぶん、私も同じシチュエーションなら同じような行動をとったと思います。ホラー作品では印象に残ったものはありましたか?
「『本当にこんな人がいるんだ』と背筋が冷たくなったのが、『ヤバいママ友の話』です。Instagramに1話分を先行公開し、自身のブログで続きを投稿しているのですが、続きを読まれた回数はこの作品が1番多かったです。みなさん、先が気になって仕方がなかったようですね」
――身近にこんな人がいたら、立ち直れなくなるくらい怖いですよね(笑)。では最後に、今後の意気込みについて教えていただけますか?
「いろんな話を描いてきましたが、結局反応がいいのはホラーか感動的な話だということがわかりました。おそらく、僕の絵柄と相性がいいのかなと思っています。なので今後はこの2つを中心に描いていこうと思っています」
怖い話も感動回も、どちらも魅力的なババレオさんの作品。これからも恐怖と感動で絶叫させるような作品を期待したい。
取材・文=橋本未来