近畿では今年9月滋賀県大津市に初登場して話題になるなど、ポケットモンスター(ポケモン)がデザインされたマンホール蓋「ポケふた」が全国に次々と設置されている。そこで、設置を進める株式会社ポケモンの「ポケふた」担当者に、ポケふたを作ったきっかけや、今後の展開などについて聞いてみた。
■地域活動の一環として設置され地元の人に愛される存在に
まずはポケモンが描かれた「ポケふた」を作って設置をはじめた理由を、株式会社ポケモンのプレイヤーリレーション部・秋山さんに尋ねた。
「ポケふたは、地域とポケモンの双方の魅力を発信する「ポケモンローカルActs」という活動の一環として行っています。その中で、『ポケモンらしく、地域を冒険してポケモンを探す喜びを体感できる企画が何かないか?』と思ったのがきっかけです。
1枚1枚が世界にひとつだけのデザインですので、1枚見てくださった方は『別のポケふたも見てみたい』と近くのポケふたを探しに行くことで、地域を巡っていただけるのではないかと思っています」
続いて設置した反響を聞くと、「それぞれ設置された場所では、時期を問わず多くの方が訪れてくださっているというのは伺っています。中でも、北海道比布町のアローラロコンとポッチャマのポケふたは、『日本一過保護なマンホール』としてSNSでも話題になりました。
町役場の方がマンホールにテントを張り、スコップやほうきを設置して雪に埋もれないようにしてくださったり、地元の方が真冬のマンホールにカイロを供えてくださったり、近所の少年が週に何度もほうきではいてくれたり…。さまざまな人が訪れてくれること以上に、地元の方からも愛着を持っていただけているようで、とてもうれしく思います」と、ほっこりするローカル秘話を教えてくれた。
■全国100か所以上に設置。多くの人が訪れるスポットに
2018年12月に鹿児島県のJR指宿駅前に、「イーブイ」の絵柄のポケふたを設置したのが最初。
「イーブイ+好き→いーぶいすき→いぶすき(指宿)という語呂合わせです。指宿市には現在『イーブイ』以外にも、その進化形のポケモンたちを描いた全9種が市の新たな観光スポットとして、訪れる人にポケモンと地域の魅力を伝えています」と秋山さん。
2020年9月末時点で、全国10都道県に110か所設置。そのうち横浜市の4枚は期間限定の設置のため終了していて、現存としては106枚になる。都道府県別でまとめると、鹿児島県指宿市9枚、岩手県13枚、宮城県15枚、香川県17枚、神奈川県横浜市5枚(現存1枚)、鳥取県19枚、東京都町田市6枚、福島県9枚、北海道15枚、滋賀県大津市2枚となる。
この全国的な展開について秋山さんは「業界団体によると、同じコンテンツで、これだけ多くの自治体にまたがって設置されているのも、これだけの異なる絵柄のマンホールが設置されているのも初めてとのことです」と話す。
■ポケモンGOのポケストップにもなる予定
今後の展開について、「長期にわたり集客が見込める施策は、さまざまな地域で求められていることだと思います。マンホールは一度設置すれば基本的に数十年は交換の必要がありません。ポケふたの取り組みも、単発、短期的な施策ではなく、今後何年、何十年にもわたり続ける予定です。
『路上の芸術』とも言われるマンホール蓋は、実物で見ると、画面を通して見るのに比べてまったく迫力が違います。まずは1枚、お近くのポケふたを訪れていただき、実物の迫力に触れていただければうれしいです」とのこと。
設置されたポケふたは、順次、スマートフォン向け位置情報ゲーム「Pokémon GO(ポケモンGO)」のポケストップになる予定。今後もいろんな場所に設置を予定しているので、ぜひ見付けにでかけてみて!
取材・文=下八重順子
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