ウィットに富んだ名言や、ユニークかつ妙に納得感のある言葉を、美しい文字で書きつづり、「今日の書き散らし」として日々SNSで発信する書きちらし(@kakichirashi)さん。美しい文字とユーモアある言葉とのギャップに胸を打たれる人が続出し、中にはTwitterで20万を超えるいいねが寄せられた作品も。今回は、書きちらしさんにインタビューを行い、「今日の書き散らし」をはじめたきっかけや、作品作りにおけるこだわりを聞いた。
――最近では「人間は 焼肉で癒えない ほどの痛みを 抱えるべきではない」の投稿に18.7万いいねが寄せられるなど、書きちらしさんの投稿はたびたびSNSで話題になっています。反響はいかがでしょうか?
「ありがたいことに、ここ数カ月は一層多くの方々にご覧いただけています。僕自身、日々『面白い』『なるほど』と思わず膝を打つ言葉を集め、書いているのですが、皆さんのご反応からその感動を共有できていると実感があります」
――書きちらしさんがSNS上で「今日の書き散らし」を始めたのはいつですか。またそのきっかけがあれば教えてください
「今のかたちは、1年ほど前からです。もともとボールペン字には、大学に進学したころに興味を持ち、SNSで活動されている美文字な方々の字を参考に、独学しておりました。同じくらいの時期に instagram (@kakichirashi)で自分の字の投稿を始め、現在に至ります」
――「今日の書き散らし」はユニークな文章が印象的ですが、どのようにして文章を考えていらっしゃいますか?
「日々いろいろな方面から集めた言葉をお手本に書いております。一般に美文字投稿は、偉人の名言であったり、詩の一節であったりを題材にしたものが多いように思います。個人的には、そのような美しい言葉も好きなのですが、一方で、 広告コピーやバズツイートによく見られる『ウィットに富んでいてキレのある短文』に、日本語の奥深さ・良さを感じます。書く練習をするなら後者の方が楽しいと考え、そういう言葉を日々探しては、お手本にしてつづっています」
――作品作りにおけるこだわりや、思いなどがあれば教えてください
「『日本語の面白さを共有したい』『手書きの魅力を広めたい』この2つを心に投稿しております。また、字を書く際は『読みやすいが、クセがある』手書きを意識しています。基本は整然とした文字ですが、 文字と文字のつながり(連綿)をところどころ作ったり、あえて崩した字を1文字入れたりするなど、テキストで打ち込んだ文章には出せない、手書きらしい変化や表情が出るように努めています」
――ご自身が一番気に入っている作品とそのポイントを教えてください
「僕自身お酒が好きということもあり、飲酒関連のユニークな言葉は度々お手本にさせていただいてます。中でも『アルコールは 脳細胞を破壊するが それで死ぬのは 弱い脳細胞だけなので 酒を飲むと少数精鋭の 脳細胞が生き残って 結果的に頭が良くなる』という言葉が面白く、また妙に納得してしまいました。毎週末の晩酌のたび思い出すお気に入りの言葉です」
――今後の展開や目標を教えてください
「今のボールペン字は完全に独学ですので、どこかで教室に通い、ちゃんと学ぼうと思います。将来は、このような活動で注目をされた自分だからできる伝え方で、ペン字の魅力を教える講師として活動することが目標です」
取材協力:書きちらし(@kakichirashi)