
■漫才のようなやり取りに思わず笑顔。アイディアで勝負する関西ならではの企画
新型コロナウイルス収束の出口は遠く、暑い日もまだまだ続きそうだ。面白いテレビを見て過ごすのは、賢い選択だろう。各バラエティー番組にとっては、新しい企画がより求められる時期だ。
だが番組によっては、「もう少しポジティブな工夫してよっ!」とツッコミたくなるほど守り一方なものもあって、ガッカリさせられることも時にある。関西のテレビは、「お金はないけど知恵はある!」的な斬新な企画を生んできた。その流れを今あまり実感できないのは、少し寂しい。頑張れ、関西!
そんな中、魅力的な番組や企画に出会えると嬉しくなる。たとえば、やすよともこの代表的番組「やすとものどこいこ!?」(テレビ大阪)。8年前のスタート当時は2人の初冠番組だったが、いまや関西を中心にひっぱりだこだ。大阪のおばちゃんの特徴を見事に捉えた彼女たちのファン層は幅広く、年代・性別を超えて人々に愛されている。
毎週ゲストとともに関西各地に出掛けて、気の向くままショッピングをするという、シンプルでどこかホッとする「どこいこ!?」は、やすともの気取らないキャラクターにマッチし、姉妹の自然な仲の良さや、他者に対する優しさが、見る者を笑顔にしてきた。
買い物ロケが難しくなった現在、ゲストとトークを楽しみつつ料理を作るコーナーがメインとなってしばらく経つ。こちらもいい雰囲気だが、私が一番気に入ってるのは、新コーナー「ポチっと検索!お買い物」だ。
同じパソコン画面を2人で見ながら、あ~でもない、こ~でもないと検索を続け、時に思わぬモノを購入している。次回の収録で実際に届いた商品を紹介するのもいい。一連のやり取りが、そのままやわらかな漫才のようで最高だ。番組スタッフのアイディアも讃えたい。
■今回の紹介番組
「やすとものどこいこ!?」
(テレビ大阪 毎週日曜15:00~16:00)
【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。
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