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中国戦闘機「大躍進」までの艱難辛苦 安かろう悪かろうなイメージ 実際のところは?

  • 2020年9月8日
  • 乗りものニュース

「中国製戦闘機」といえば、これまでポジティブなイメージはなかったかもしれません。実際のところはどうだったのでしょうか。半世紀以上にわたる中国の、戦闘機開発の道のりを振り返ります。

ソ連製戦闘機の「劣化コピー」どころではなかった中国製戦闘機

 粗悪品、劣化コピー、安かろう悪かろう……中国製戦闘機を語る際、こうしたネガティブな単語が使われてしまうことは少なくありません。

 実際、中国製戦闘機の質はどのようなものでしょうか。事実として長いあいだ、中国製戦闘機がソ連製戦闘機の劣化コピー、粗悪品であったことは疑いようがありません。

 中国における戦闘機国産化への取り組みは1950年代半ばより始まり、まずソ連から技術支援を受けMiG-17をJ-5(殲撃5型)としてライセンス生産しました。日本も同時期にアメリカの技術支援を受けF-86のライセンス生産を開始しており、この時期の日中は似たような状況であったといえます。違ったのは、日本のように教師との良好な関係と社会の安定を得られなかったことです。

 J-5に続き中国はMiG-19をJ-6(殲撃6型)としてライセンス生産することを決定。ところが1957(昭和32)年、このころから始まった「中ソ対立」によって、ソ連はMiG-19の設計図だけは譲歩し売ってくれましたが、何も手助けしてくれなくなり、生産に関する全てを中国自身で賄わなくてはならなくなります。

 1958(昭和33)年には早くもJ-6の初飛行に成功。技術的に未完成ではあったものの量産化が決定します。このとき、本来ならば量産を遅らせ時間をかけ完成度を高めるべきでしたが、時は「大躍進政策」真っただ中であり、生産ノルマの達成は絶対です。そのため約100機のJ-6Iが生産されました。このJ-6Iをひと言で表すならば「とりあえず飛行機に見えるアルミの塊」であり、飛行能力さえ無いとみなされたため廃棄されます。

つちかったノウハウを灰燼に帰さしめたのは…?

 次に中国は、MiG-21のライセンス生産を企図したJ-7(殲撃7型)に取り組みますが、やはりソ連は設計図しか売ってくれなかったため自力で開発しなくてはなりませんでした。しかしこの時期、開発現場にとってはいいニュースもありました。ソ連との不仲の一因である毛沢東が失脚し、数千万人の餓死者を出した大躍進政策が終わったのです。

 J-7の開発ではJ-6のノウハウが活かされる……かに見えましたが、1966(昭和41)年のJ-7初飛行直後、毛沢東復権を目的とした「文革」こと「文化大革命」が発生。毛沢東派は近代的な航空機工場を反革命的と見なし、ようやく問題を解決し実用化されつつあったJ-6の工場ともども破壊してしまいます。文革の影響は長く残り、J-7の量産化は70年代にまでずれ込んだ上に、次に挑んだ中国初のオリジナル戦闘機J-8(殲撃8型)もまったく開発が進みませんでした。

 その後、J-7やJ-8は何度も高性能化が行われる成功作となり、中国の開放政策への転換もあって、欧米製電子機器の搭載も計画されるようになります。これは中国にとって現代型戦闘機を手にする大チャンスでした。ところが1989(平成元)年、「六四天安門事件」発生。以降、欧米は中国に対する武器輸出に厳しい制限を課すようになってしまいます。

 やがて東西冷戦が終結した後、中国はロシアのスホーイSu-27を取得すると、なかば公然にコピーを開始します。ロシアは地下資源と戦闘機しか外貨獲得手段が無いため、コピーされると分かっていても売るしかなく、中国はSu-27、Su-30、Su-33といった各タイプを「自分のもの」としました。

もはやかつての印象を払拭した「中国製戦闘機」

 以上のように、中国の戦闘機産業は何度も何度も危機に直面し、潰されもしました。その過程で生まれた戦闘機のほぼ全てが劣化コピーの粗悪品だったといえるでしょう。日本は中国とは反対に政治的に恵まれ、長い期間、戦闘機開発技術においてほぼ確実に優位でした。

 しかし、それは「過去の話」です。中国はすでにF-16相当の飛行性能を持った完全オリジナルの戦闘機J-10の開発に成功しており、J-10B/Cでは高性能レーダーの搭載などによって高い戦闘能力を有していると推定され、2020年現在、数的主力を担いつつあります。またステルス戦闘機J-20は、実戦に耐えうる完成度があるのかは不明ですが、少なくともすでに量産体制に入っており、ステルス技術実証機X-2を1機生産しただけに留まる日本に先んじています。

 中国は、ロシアやアメリカへ追いつこうとする強い意欲を持ち、そして莫大な開発費を投じています。中国の戦闘機開発技術はいままさに「大躍進」を遂げています。

 大躍進後の中国がかつての中国ではない事実は、日本人ひとりひとりが直視しなければなりません。近々、本格的にプロジェクトが開始されると見られる航空自衛隊次期主力戦闘機開発では、総合力で中国には勝てない以上、何かを実現するためには何かを諦める必要があります。もし今後も多くの日本人が中国を侮り続けたならば、その取捨選択に失敗し、「粗悪品」を生み出してしまうことも十分に考えられます。

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