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九州豪雨でも活躍中の自衛隊「人命救助システム」とは 自衛隊装備で初 外国軍にも供与

  • 2020年7月7日
  • 乗りものニュース

災害派遣時、陸上自衛隊は迅速に出動できるよう、救援資機材をコンテナに収納し、ユニット化した装備を全国の駐屯地および部隊に配備しています。人命救助専用装備の誕生は20世紀末に起きた大規模災害がきっかけでした。

国防がメインの自衛隊では珍しい人命救助に特化した専用装備

 2020年7月上旬、活発な梅雨前線による豪雨が九州南部を襲い、甚大な被害をもたらしました。自衛隊も陸路と空路の両方で救援活動にあたっています。陸路での救援においてメインとなるのが陸上自衛隊でその主要装備というと、小銃や機関銃、戦車や戦闘ヘリなど、戦闘行動を想定した武器が多いですが、そのなかで数少ない人命救助専用の装備「人命救助システム」が、今回の災害でも用いられています。

「人命救助システム」は、様々な救助資機材をひとつのシェルターコンテナにユニット式でひとまとめにしたもので、エンジンカッターや削岩機、投光器といったものから、がれきの中を覗くためのファイバースコープやエアジャッキ、背負い式消火ポンプ、伸縮ハシゴ、折畳式リヤカー、そして担架や医療器具セット、簡易トイレなども含まれます。

 2020年現在は全国の駐屯地や部隊に配備されている「人命救助システム」ですが、誕生のきっかけは1995(平成7)年1月に起きた阪神淡路大震災でした。

 阪神淡路大震災の前から、陸上自衛隊は災害派遣活動を経験していたものの、被災地域の広さと被害規模の大きさ、その両面において、この震災は別格でした。

 そこで阪神淡路大震災を教訓に、陸上自衛隊はすぐさま救援救助活動専用の装備品の開発に取り掛かります。それに際し、市販のものを最大限流用する形がとられ、専用品の開発は必要最小限に抑えられました。

阪神淡路大震災を契機に誕生した装備は東日本大震災でも重用

 こうして完成したのが「人命救助システムI型」です。専用台車に積載されたコンテナは左右側面が伸縮式で、広げると救護所や隊員の待機所などに使えるようになっており、内部にはユニットタイプのトイレやシャワー室を設置できるほか、隊員約100名分の装備が収納されていました。

 人命救助システムI型は、さっそく1996(平成8)年度から調達が始まります。しかし、部隊で運用を始めてみると様々な欠点が見つかりました。

 そのなかで最も大きかったのが、専用台車に乗った状態で大型トラックで牽引する、いわゆるトレーラー構造でした。この形状だと、牽引する大型トラックを運転する隊員にもけん引免許が必要になり、相応の技量が求められるほか、走れる場所も限られてしまいます。

 そこで、収納する資機材を約半分の50人分に減らし、それに合わせてコンテナも小さくすることで大型トラックの荷台に積載できるようにした「人命救助システムII型」が2000年代に開発されました。

20年余りのあいだに3回も大改良 使用実績から海外供与品にも選定

 そののち、東日本大震災や熊本地震などでの使用実績をフィードバックし、さらなる改良が加えられたのが「人命救助システムIII型」です。これは2018年ごろから部隊配備されている最新型で、基本構造は従来の人命救助システムII型とあまり変わっていないものの、積まれた各種資機材が新しいものになり、水害救助器材なども含まれるようになったのが特徴です。

 また、近年では航空自衛隊においても「人命救助システム」の名称で配備が進められており、すでに主要な基地で運用されています。

 なお、2019年には外国軍に供与する初の自衛隊装備にも選ばれています。選定の理由は非戦闘用装備で、かつ有用なものだからこそで、日本と同じく台風や豪雨などの自然災害に悩まされるフィリピン軍に対して、早ければ2020年度にも引き渡しが始まる予定です。

 このほかにも2019年にはパプアニューギニアとフィジーの軍人を日本に招いて人命救助システムの研修を行っており、政府はフィリピン軍での運用結果を見極めたうえで他国への供与も検討していくとしています。

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