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成田空港アクセス競争、新局面に スカイライナーVS成田エクスプレスの攻防、鍵はLCCか

  • 2019年10月26日
  • 乗りものニュース

成田スカイアクセス線の開業で、都心部から成田空港までの所要時間が1時間を切った京成スカイライナー。JRのN'EXとの競合で、利用率に大きくかかわるのは訪日客です。そんななか、近年増加するLCC利用者がカギを握っています。

LCC就航で増加する空港利用者

 成田空港へのアクセスが、新たなステージに突入です。京成電鉄は2019年10月26日(土)のダイヤ改正で、京成上野および日暮里と、成田空港を結ぶ「スカイライナー」の運行本数を従来の1.4倍に大幅増便しました。

 これまでは日中に40分間隔の時間帯がありましたが、ダイヤ改正後は5時40分から17時40分まで20分間隔の運行になり、最終列車も従来の京成上野発18時20分の後に、19時00分、19時40分、20時20分の3本が増発されました(このほかに本線経由の「イブニングライナー」を運行)。7時から19時まで30分間隔で運行するJR東日本の「成田エクスプレス(N'EX)」に対し、運行本数でも大きく優位に立った格好です。

 京成電鉄が成田空港へのアクセス強化に乗り出した背景には、成田空港利用者の増加があります。2010(平成22)年の羽田空港再国際化によって、成田空港の利用者は一時、大きく減少しましたが、2012(平成24)年ごろから格安航空会社(LCC)の就航が相次ぎ、2015年にはLCC専用の第3ターミナルを整備しました。現在では外国人旅客が日本人旅客を上回り、2018年の国際線旅客数は開港以来最高となる年間3500万人を記録しました。

 成田空港を運営する成田国際空港(NAA)は、長期的に発着回数と旅客数を現在の2倍まで増加させるとしており、空港アクセスの重要性は今後、ますます高まると予想されます。

空港まで1時間を切った成田スカイアクセス線の開業

 東京都心から約60kmに位置する成田空港は、開港以来交通アクセスが大きな課題とされてきました。京成電鉄は1978(昭和53)年の開港から「スカイライナー」を運行していますが、当時の成田空港駅はターミナルビルに乗り入れていなかったため、駅で連絡バスに乗り換える必要がありました。

 1991(平成3)年、ようやくJR東日本と京成電鉄が空港ターミナルビルの直下に乗り入れを果たし、空港アクセス手段として鉄道が存在感を発揮するようになります。当時はN'EXの東京〜成田空港間と、「スカイライナー」の京成上野〜成田空港間の所要時間がともに約60分で、主要ターミナルと成田空港を乗り換えなし結ぶN'EXに対し、「スカイライナー」は1000円ほど安い価格面で対抗していました。

 NAAが実施する「アクセス交通等実態調査」によると、2010(平成22)年3月の成田空港へのアクセス手段別シェアはJRが14.7%(うちN'EX10.6%)、京成電鉄が24.2%(うち「スカイライナー」7.7%)と、全体では京成電鉄が倍以上のシェアを獲得するも、「スカイライナー」の利用率はN'EXに約3ポイント離されていました。

 しかし、2010(平成22)年7月の成田スカイアクセス線開業で、京成電鉄の空港アクセスは大きな飛躍を遂げます。「スカイライナー」の所要時間は最速41分(京成上野〜成田空港間)に短縮。さらに押上〜成田空港間を約50分で結ぶ、追加料金不要のアクセス特急が新設され、N'EXに対して価格だけでなく速達性でも優位に立ちました(ただし値上げによりN'EXとの価格差は約500円に縮小)。この結果、2018年7月の調査ではJRが18.5%(うちN'EX13.8%)、京成電鉄が27.8%(うち「スカイライナー」12.9%)と、「スカイライナー」の利用率が大きく上昇したことが分かります。

アジア圏のLCC利用者を狙う

 一方でJRのシェアも伸びていますが、これは外国人利用者の増加が影響していると思われます(国際線旅客数は2010(平成22)年の日本人1741万人、外国人877万人に対し、2018年は日本人1425万人、外国人1736万人)。外国人旅行者の4分の1は、約3万円(大人1人)でJR全線の新幹線・特急を含む普通車(一部列車を除く)を7日間乗車できる「ジャパン・レール・パス」を利用しており、JRを中心に移動する傾向にあるからです。

 実際、国際線出発旅客(第1・第2ターミナル利用者)のシェアを見ると、日本人はJRが17.1%(うちN'EX12.7%)、京成電鉄が27.3%(うち「スカイライナー」12.9%)と京成電鉄が圧倒的に優位ですが、外国人はJRが23.3%(うちN'EX19.6%)、京成電鉄が23.4%(うち「スカイライナー」13.4%)とJRのシェアが高く、特にN'EXの利用率が多いことが分かります。

 では、京成が狙うべき顧客層はどこにあるのでしょうか。LCC専用の第3ターミナル利用者に焦点を絞ると、そのヒントが見えてきそうです。空港利用者の中でも、特に価格面を重視するLCC利用者は、JRが18.6%(うちN'EX13.4%)に対して、京成電鉄が39.1%(うち「スカイライナー」18.2%)とダブルスコアを付けており、「スカイライナー」利用率はN'EXを大きく上回っています。外国人旅行者も、JRが20.1%(うちN'EX14.9%)に対して、京成電鉄が40.8%(うち「スカイライナー」20.6%)とN'EXを上回る利用を得ています。

 LCCが就航するアジア圏の旅行者は、「ジャパン・レール・パス」を利用する長期滞在・周遊型の観光客から短期滞在型のリピーター層へと切り替わりつつあります。京成電鉄は価格感度の高い彼らを、「スカイライナー」の新たな顧客にしようと考えていることでしょう。今回の「スカイライナー」20分間隔化は、日本人利用者のみならず、こうした新たな顧客層に「使いやすい」「分かりやすい」をアピールしたいという、強いメッセージがあったように思われます。

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