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米軍機事故の「クラスA」とは? 「最も重大」だが「落雷での死亡」も含まれるワケ

  • 2018年12月12日
  • 乗りものニュース

高知県室戸岬沖で発生した米軍機どうしの接触と見られる墜落死亡事故が、米軍基準で最も重大である「クラスA」に認定されました。とはいえこの事故基準、駐機中の落雷での死亡もクラスAとか。どうなっているのでしょうか。

室戸岬沖、空中給油中の事故は「クラスA」

 2018年12月9日(日)、沖縄県に司令部を置くアメリカ海兵隊 第3海兵遠征軍は、同月6日(木)に高知県室戸岬沖においてF/A-18D「ホーネット」戦闘攻撃機およびKC-130J「スーパーハーキュリーズ」空中給油機が空中給油訓練中に墜落した事故について、アメリカ軍標準の事故基準で最も重大であることを示す「クラスA」にあたることを、公式に発表しました。

 クラスA事故認定にあたり、各メディアは「最も重大である」という事実を報じていますが、そもそもこの「クラスA」とは、いったい何を意味する基準なのでしょうか。

 アメリカ軍は、職務中において発生した事故および災害などについて、「発生した損害額」ないし「人員の死亡や負傷(病気)の度合い」から「クラスA」「クラスB」「クラスC」「クラスD」という4つの区分を定めています。物価などの影響により見直しが行われることもありますが、現行の基準は2011(平成23)年に定められ、以下の通りとなっています。

・「クラスA」:航空機の全損ないし200万ドル(約2億円)以上の損害。または死亡ないし全身にわたる永久的障害が残る重度の怪我。

・「クラスB」:50万ドル(約5000万円)以上、200万ドル(約2億円)未満の損害。または部分的な永久的障害を負う怪我または3名以上の入院。

・「クラスC」:5万ドル(約500万円)以上、50万ドル(約5000万円)未満の損害。1日以上の欠勤をともなう療養が必要な負傷。

・「クラスD」:2万ドル(約200万円)以上、5万ドル(約500万円)未満の損害。クラスA/B/Cに分類されない負傷。

死亡事故は即「クラスA」

 今回の事故は、なんらかの原因によって両機が接触したことによって発生したと見られ、F/A-18Dの前席搭乗員は救助され生還、後席搭乗員は救助されたものの死亡が確認されています。そしていまなお、KC-130Jの搭乗員5名が行方不明となっています(編集部注:12月11日〈火〉、在日米軍および防衛省は行方不明だった5名の捜索救助活動を打ち切った)。

 事故の全容はいまだ明らかではありませんが、少なくとも事故が発生したその日のうちに2機が全損したことと、1名が死亡していることは確認されていたので、事故調査の結果から損害の査定を行うまでもなく、自動的に「クラスA」に分類されたと見られます。

「クラスA事故」は最も重大とはいえ、その「重大さ」はかなり広い範囲におよび、単純に「クラスA事故」だから深刻かつひどい事故であったと、言うことはできません。

 墜落や不時着といった事故は、機体そのものが失われたり乗員が死亡したりすることが多く、ほぼ「クラスA事故」となります。一方で比較的安価な航空機では、大きい事故であっても200万ドル以上の損害はほぼ出ないため、墜落以外の「クラスA事故」は発生しにくく、逆に戦闘機など高価な航空機は、電子機器のダメージやエンジンの故障などによって、「クラスA事故」が発生しやすい傾向があります。

機体から転落死しても「クラスA」

 たとえば2018年9月4日には、F-35C「ライトニングII」において「クラスA事故」が発生していますが、これは空中給油中、空中給油機側のドローグ(漏斗)の一部が破損、F-35Cのエアインテーク(吸気口)内部に破片が吸い込まれエンジンを損傷したことが原因でした。

 F-35Cは無事に着陸し機体に損傷はなく、パイロットに怪我もありませんでした。このように、同じ空中給油中の「クラスA」分類の事故とはいえ、F/A-18DとKC-130Jが墜落した今回の件と、エンジンの損傷のみで済んだF-35Cでは、まったく深刻さは異なります。

 なおF-35Cの事故において給油装置を破損した空中給油機は、「バディポッド(空中給油装置)」を搭載したF/A-18F「スーパーホーネット」でしたが、こちらについては「クラスC事故」として報告されました。

「クラスA事故」は、ほかにも「整備中落雷によって死亡」「機体から自ら飛び降りたことによる転落死」など、墜落以外にも様々な要因があり、「最も重大」とはいえ、あくまで損害の額面や負傷の度合いによって分類されているに過ぎず、ひとつひとつの事故の詳細を見ていかなければ、どれだけ重大であったのかを正しく評価することはできません。これは「クラスB/C」においても同様です。

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