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副社長が語るF-2後継問題 ボーイングが描く未来の「日本の空」

  • 2018年12月13日
  • 乗りものニュース

ボーイングは2018年の「国際航空宇宙展」にて、改修F-15や新型練習機など、未来の日本の防空を左右するかもしれない、いくつかの出展をしました。またF-2後継機問題に関し副社長が発言、やる気と自信を覗かせています。

旅客機だけじゃないボーイングの、いくつかの提案

 2018年11月28日(水)から30日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで「国際航空宇宙展2018東京」が開催されました。

「国際航空宇宙展」は、航空宇宙工業に関わる企業などによる民間公益団体「日本航空宇宙工業会」が1966(昭和41)年から開催している、航空宇宙産業の総合展示会です。今回の同展は、日本でのビジネス拡大を図る海外企業と、航空宇宙産業への参入を希望している国内の中小企業の要望を受けて開催されたもので、アメリカ航空宇宙産業の巨人であり、日本の航空宇宙産業との結びつきも深いボーイングも、大きな展示スペースを設けて、同社の製品に関する展示を行ないました。

 ボーイングと言えば、大量航空輸送時代を切り開いた、「ジャンボ」の愛称でお馴染みの747や、日本が機体製造の35%を分担している787といった旅客機が連想されるかもしれません。同社は今回の「国際航空宇宙展」でも、2019年に飛行試験を実施し、2020年に引き渡しの開始が予定されている新型旅客機777Xなどの模型や787シミュレーターの展示を行なっていますが、同時にF-15「イーグル」戦闘機の最新仕様や、航空自衛隊も導入する空中給油/輸送機KC-46A、2018年10月にアメリカ空軍の次期練習機として採用が決定した、T-Xなどの模型も展示されました。

 ボーイングは第二次世界大戦後、KC-135空中給油機といった、旅客機をベースとする軍用機を開発する一方で、陸上自衛隊と航空自衛隊が運用しているCH-47輸送機を開発したヘリコプターメーカーのヴァートル、B-1爆撃機を開発したロックウェル・インターナショナルの航空宇宙部門、F-15戦闘機や陸上自衛隊も運用するAH-64「アパッチ」戦闘ヘリコプターを開発したマクドネル・ダグラスといった、大手防衛企業を次々と買収してきました。この結果、現在のボーイングは、民間航空機部門と防衛 宇宙 セキュリティ部門を経営の二本柱とする企業となっています。

F-15J/DJは2040年の空も飛ぶの?

 今回の「国際航空宇宙展」にボーイングが出展した防衛関連の製品の中で、ひときわ注目を集めたのが、AIM-120「AMRAAM」空対空ミサイルを18発搭載したF-15の模型と、アメリカ空軍の次期練習機として採用されたT-Xの模型でしょう。

 防衛省は2018年8月31日(金)に発表した「平成31年度防衛予算」の概算要求に、航空自衛隊が運用するF-15J/DJ戦闘機に大幅な近代化改修を行なうため、2機ぶんの改修費101億円と、設計変更などの経費439億円を計上しています。この改修では空対空ミサイルの搭載数の増加が計画されていますが、ボーイングがアメリカ空軍の「F-15C」戦闘機の近代化改修計画に提案している「F-15C 2040」にも空対空ミサイルの搭載数増加が盛り込まれており、今回の「国際航空宇宙展」への模型の展示は、F-15J/DJの近代化改修に、ボーイングが積極的に協力する姿勢を示したものと考えられます。なお同社によると、前述した予算の1機あたりの改修費で、航空自衛隊が保有する初期型を含むどのF-15J/DJに対しても、近代化改修が可能とのことです。

 アメリカ空軍の次期練習機に決定したT-Xは、ボーイングとスウェーデンのサーブが共同開発した新設計の練習機です。T-Xのコクピットに設置されたディスプレイは、F-22やF-35といった、様々な戦闘機のディスプレイ表示を再現できる仕組みになっているほか、地上のシミュレーターと接続した訓練も行なえるため、戦闘機パイロットの訓練効率の大幅な向上が見込まれています。

 また新しい戦闘機や訓練環境が登場した際にも、機体を改修することなく、ソフトウェアのアップデートだけで対応できるほか、多くの工具を使用せずに機体の分解や組み立てを可能とする構造も採用されており、運用コストを低減するための技術も多数盛り込まれています。

「国際航空宇宙展」のために来日した、ボーイング防衛 宇宙 セキュリティ部門のトミー・ダナヒュー国際セールス担当副社長によれば、すでにT-Xには10か国以上が関心を寄せており、また導入国からの希望があれば、ライセンス生産にも前向きに対応したいと述べています。

 航空自衛隊の「T-4」練習機の後継機選定は、まだかなり先の話になると見られていますが、ダナヒュー氏の説明を聞いて、ボーイングのT-XはT-4後継機の有力な候補のひとつになり得ると筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は感じました。

そして気になるF-2後継機、ボーイングはどう出る?

 2018年12月に予定されている次期防衛大綱と中期防衛力整備計画の発表の直前に開催された今回の「国際航空宇宙展」では、防衛装備庁から航空自衛隊のF-2戦闘機を後継する戦闘機について情報提供を求められた海外企業が、これに関する何らかの展示を行なうのではないかとの観測もなされていました。

 防衛装備庁から情報提供を求められたと報じられている、ボーイング、ロッキード・マーチン、BAEシステムズの3社とも、結局のところ今回はF-2後継機に関する展示を行ないませんでした。しかし、ボーイングは会期中の29日(木)に、ダナヒュー副社長が複数のメディアとジャーナリストに対して、防衛 宇宙 セキュリティ部門全般に関する会見を行なっており、そこでボーイングのF-2後継機に関する考えを聞くことができました。

 F-2後継機で、日本主導による新型機の国際共同開発という手法が採用された場合、ボーイングは競合他社に対して何が強みとなるのか、という筆者の質問に対してダナヒュー氏は、同社はF-15戦闘機やCH-47輸送ヘリコプターのライセンス生産などを通じて、日本企業との良好な関係を築いていることと、F-22とアメリカ空軍のATF(先進戦術戦闘機)の座を争った「YF-23」の開発で大きな役割を果たし、現在もF-15やF/A-18E/F「スーパーホーネット」戦闘機の改良などで、戦闘機の開発経験を蓄積し続けていること、さらに戦闘機に限らずあらゆる航空機や兵器の開発で最も困難な、個別に研究開発された技術を統合する「システムインテグレーション」を得意としていることの、3点が強みであると述べています。

 日本は、機体に使用する複合材料などの要素技術では高い水準にあり、またF-15のライセンス生産などで生産技術も蓄積していますが、戦後、航空産業がいったん白紙となってのち、新戦闘機の開発経験はロッキード・マーチンと共同開発したF-2を含めても2例しかなく、システムインテグレーションの経験は不足しています。F-2後継機の方向性はまだ定まっていませんが、仮に日本主導でF-2後継機を国際共同開発する手法が採用された場合、システムインテグレーションを得意とするボーイングは、F-2後継機の共同開発における強力なパートナーとなると筆者は思います。

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