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既視感がスゴいエアバス最新無人機、こんな見た目で数十日間、高度2万mを飛ぶ!

  • 2018年12月16日
  • 乗りものニュース

エアバスが提案する最新鋭の無人偵察機は、多くの日本人にとって実に見覚えのある姿カタチでしょう。しかし、飛ぶのは琵琶湖の湖面からはるか上空2万m、滞空時間も数十日と、まったくの別モノです。

見たことあるような、でも中身は最新鋭!

 エアバスは、東京ビッグサイトにて2018年11月29日より3日間の日程で開催された「国際航空宇宙展2018東京」へ、ブースを出展しました。そのなかに、どう見ても琵琶湖の湖上を飛ぶ人力飛行機のような姿かたちをした模型が展示されていました。最新の航空宇宙技術が集結する会場のなかで、なんだか場違いな空気を漂わせていると思いきや、実はこれこそがエアバスの開発する、従来とは発想がひと味違う最新鋭無人機「ゼファー」でした。

 たとえば国際線旅客機の飛行(巡航)高度はおよそ1万mですが、この「ゼファー」は、旅客機よりもはるかに小さく、見た目は骨組みと翼だけで、機体重量も75kgという華奢な構造ながらも、約2万mという超高高度まで自力で飛翔、飛行することができます。

 さらに、翼の上面に備えられたソーラーパネルでバッテリーを充電することにより、数十日間、一度も地上に降り立つことなく連続して飛行することが可能です。現在「ゼファー」は、途中で一度も地上に降りず、また燃料補給も受けずに飛行する「連続飛行時間」の世界記録を保持しています。最新の記録は2018年8月に達成された25日と23時間57分とのことで、つまり1か月近く大空を舞っていたことになります。

 しかし、「ゼファー」が目指す飛行時間はこの程度ではありません。エアバスの担当者は、目標飛行時間は100日間、3か月以上の連続飛行が目標といいます。

 また、当然ですが「ゼファー」は、単に超高高度を長期間飛行することだけを目的に開発された無人機ではありません。機体先端部には高解像度の可視光カメラと赤外線カメラを搭載でき、つまり超高高度から地上の様子を昼夜問わず監視できることから、平時から有事にかけての他国の動向監視や、災害時における被災地の情報収集など、非常に幅広い活躍が期待されています。

強みは「高さ」と「安さ」

 先述したように、「ゼファー」は地上からはるか2万mという超高高度を飛行することができます。これにより、天候に左右されず飛行できること、そしてほかの航空機の飛行を妨げない、といったメリットが挙げられます。通常、民間航空機などは先に述べたように、高度1万mのあたりを飛行しており、また、天候を左右する雲や流れの激しい気流も、高度数千mから1万数千mあたりで発生します。つまり、「ゼファー」が飛行する高度2万mには、それら飛行を妨げるものが極めて少ないのです。

 また、敵国のミサイルや戦闘機に対しても、「ゼファー」の飛行高度は有利に働きます。仮に高度2万mを飛行する「ゼファー」を撃墜しようとした場合、射程数千m程度の安価な機関砲や地対空ミサイルなどでは当然、届きません。

 さらに戦闘機で対応しようにも、たとえばF-15「イーグル」の実用上昇限度(30m上昇するのに1分かかる高度のことで、それ以上の上昇は現実的ではないとされる限度)はおよそ1万8000m弱、そのほかの多くが1万数千m程度で、F-22「ラプター」でも公称2万m未満とようやく届くか届かないかというレベルであり、対応はとても困難です。

 本格的な長射程地対空ミサイルシステムなどであれば撃墜可能かもしれませんが、つまり、安価な「ゼファー」を撃墜するためには、はるかに高価な高性能対空ミサイルなどを使用せざるを得ないというわけです。

 エアバスの担当者は「高高度を飛行する『ゼファー』は、さらにその機体の小ささも相まって、相手のレーダー上では極めて小さなものとしてしか映し出されません。そのため、捕捉自体も困難であり、かつ撃墜しようとすれば、相手に大きなコストを強いることになります」と説明します。

 そうしたことから、「ゼファー」は情報を収集される相手国にとって、「極めて厄介な存在」といえます。

無人機「グローバルホーク」が導入されるけど…?

 エアバスの担当者はさらに、ほかの無人機との連携に関する利点も挙げています。たとえば、日本も導入を決定したノースロップ・グラマンの無人機「グローバルホーク」について「『ゼファー』にとっての競争相手という視点では見ていません」といい、「むしろ、これらはお互いに補完しあう存在です。たとえば、どこかを監視するためにまず『ゼファー』を飛ばしておいて、そこで何か動きがあれば『グローバルホーク』を飛行させるという形で連携させることなどが考えられます」としています。

 つまり、数か月間連続して活動することができる「ゼファー」で日常的な情報収集を行い、何か大きな動きがあれば「グローバルホーク」などほかの無人機で確認する、といった作業分担が可能となり、より効率的な継続監視が行えるというわけです。

 2018年11月末現在、「ゼファー」はイギリス国防省から発注を受け、またオーストラリアには初の運用拠点が整備されるなど、世界の舞台で着実に歩みを進めています。

 広大な領海、領空を抱え、不審船や国籍不明機もしばしばやってくる日本にとって、「ゼファー」は非常に魅力的な無人機といえるでしょう。そして、それこそが今回「ゼファー」を出展したエアバスの動機なのではないかと、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は感じます。

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