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軍艦フロムカナダ、艦内重要区画まで大公開 「カルガリー」艦長に聞くその目的、意義

  • 2018年11月26日
  • 乗りものニュース

米海軍横須賀基地に寄港したカナダ海軍のフリゲート艦「カルガリー」と補給艦「アストリクス」が取材陣に公開されました。その目的や意義、自衛隊との今後の関係について解説します。

日米合同演習から瀬取り監視まで、4か月の長旅の途中に

 2018年11月21日(水)、神奈川県にあるアメリカ海軍横須賀基地において、カナダ海軍のハリファックス級フリゲート「カルガリー」と、洋上で他の艦艇に燃料や物資などを提供する補給艦「アストリクス」の内部が取材陣に公開されました。

 この2隻は、アジア太平洋の国々との親睦を深めることを目的とした、同地域への4か月間の展開の一環として今回、日本を訪れました。横須賀への停泊に先立って、2隻は10月末に西太平洋上で実施された日米共同演習「キーンソード」に参加したり、また2隻のうち「カルガリー」が、北朝鮮との違法な物資のやり取りである「瀬取り」に対する監視活動を東シナ海において実施したりしました。今後2隻は九州の佐世保へと移動したのちに、オーストラリア、ベトナム、韓国を訪問する予定です。

 この4か月にもおよぶ長期の展開による影響から、艦の内部ではいつもとは異なる状況が生起しているようです。

「現在この『カルガリー』には約240名の乗員が乗船しています。通常ならば乗員の数は約220名ほどなのですが、今回は各国との共同訓練を実施することなどを鑑みて、通常より乗員の数が多いのです。(階級が高い)士官も現在35名ほど乗船していますが、これも通常より多い人数です」(「カルガリー」艦長ライアン・サルテル中佐)

 陸上にある建物と比べれば決して広いとは言えない軍艦の中に、通常よりも多い数の乗員が乗り込むというのはそれだけでも大変なことだと思いますが、一方で、今回のような展開にはそれだけ人員が必要になるということもいえそうです。

カナダ海軍はアジア太平洋で何を目指すのか

 今回の取材では、カナダ海軍がアジア太平洋で今後どのような活動を実施していくのかという点にも注目が集まりました。

 まず、カナダのアジア太平洋地域に対する認識とは、どのようなものなのでしょうか。これについて、「カルガリー」艦長のライアン・サルテル中佐は「カナダは海洋国家であり、貿易や通商などの面から太平洋など海洋の重要性を認識しています。そのため、カナダ海軍はアジア太平洋地域に継続的に艦艇などを展開させています」と説明します。

 これは2017年に改訂されたカナダの新たな国防方針においても、「カナダの繁栄の大部分は、貿易と通商のための国際水域への自由で開かれたアクセスの維持に依拠しているため、カナダは自国の沿岸から遠く離れた場所へ戦力を確実かつ効果的に投射できる組織と規模の海軍を必要としています」という表現によって明らかにされています。つまり、カナダにとってアジア太平洋地域とは、自国の繁栄や安全保障にとって必要不可欠な存在なのです。

 そのため、今後カナダはアジア太平洋地域での継続したプレゼンス(存在感)を示していく姿勢を明らかにしていて、そのために必要な態勢をカナダ海軍も整えているようです。

「カナダ海軍は、アジア太平洋地域へ継続的に部隊をローテーション派遣するのに十分な規模の人員と艦艇を有しています」(「カルガリー」艦長ライアン・サルテル中佐)

 また、先述したように、今回取材した2隻の艦艇は共に日米共同演習「キーンソード」に参加しました。今後カナダは、このようなアジア太平洋地域における演習などに積極的に参加することや、艦艇や航空機を他国へ派遣することによって、同地域におけるプレゼンスを示していくこととなりそうです。

カナダ海軍と海上自衛隊との関係はどうなっていくの?

 カナダ海軍がアジア太平洋地域におけるプレゼンスを示していくこととなれば、気になるのは日本の海上自衛隊との関係です。これについてサルテル中佐は「カナダ海軍と海上自衛隊との協力関係については、これをより発展、深化させていきたいと思っています。具体的には、艦艇同士や組織同士での協力を増やしていきたいと思っています」と述べています。

 この文脈に照らせば、今回の「カルガリー」と「アストリクス」の日米共同演習への参加や訪日は、日本とカナダのあいだの相互理解を深めることとなり、まさしくカナダ海軍と海上自衛隊との協力関係を発展させるための重要なできごとだったといえます。

 また、この点を考えるにあたって筆者(稲葉義泰:軍事ライター)が重要だったと考えるのが、2017年に実施された海上自衛隊とアメリカ海軍、そしてカナダ海軍の間で行われた共同演習です。実は、この演習に参加したカナダ海軍の艦艇というのは、機密情報の塊である「海の忍者」こと潜水艦の「シクティミ」だったのです。

 潜水艦が他国の海軍と共同演習を行うというのは、水上艦艇が同様の演習を行う場合と比べて意味合いが異なってきます。海のなかを密かに進みつつ、平時から有事にかけて情報収集を行なったり、必要とあれば敵艦艇を攻撃したりすることを任務とする潜水艦にとって、誰にも発見されないための隠密性は最も重要な要素です。そのため、自国の潜水艦が海中を進む際にどのような音を出しているのかといった情報を他国に探られるのは、そうした潜水艦の特性上非常に大きな問題となります。

 つまり、裏を返せば潜水艦が他国と共同訓練を行う場合、その相手国は自国にとって信頼のおける国であるということを意味していると言えるでしょう。ゆえに、先述した日米合同演習への潜水艦「シクティミ」の参加は、カナダ海軍が日本の海上自衛隊をどう捉えているのかを考えるための、重要な指標になるというわけです。

 今回の取材では、通常は公開されないような艦艇の内部を細かく取材をすることができましたが、一層厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を考えれば、カナダが日本をどのようなまなざしで見ているのか、今回の公開はそれを反映したものだったといえるのかもしれません。

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