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カナダはどこを向いている? 日米共同統合演習「キーンソード」へ初参加、その背景

  • 2018年11月11日
  • 乗りものニュース

「キーンソード」は「鋭利な刀」といった意味になりますが、その名を冠する日米軍事演習にカナダが参加しました。30年以上続く同演習で初めてのことですが、どのように読み解けるのでしょうか。

最大級の共同演習「キーンソード」とは

 2018年10月29日(土)から11月8日(木)にかけて、自衛隊とアメリカ軍は大規模な共同演習「キーンソード19」を実施しました。これまでは自衛隊とアメリカ軍の部隊のみが参加してきたこの演習ですが、今回初めてカナダ海軍の艦艇2隻が参加しました(ほか、オブザーバーとしての参加が数か国あります)。

 そもそも「キーンソード」演習とは、1986(昭和61)年から毎年を目安に実施されている日米共同演習で、実際に人員や航空機、艦艇などを動員する実動演習と、有事に部隊をどのように動かすかといった事項をシミュレーションする指揮所演習のふたつの種類の演習を1年ごと交互に実施するというものです。

 今回実施されたのは前者の実動演習で、これは、日本周辺の海空域や陸上施設をはじめ、そこから遠く離れたグアム島周辺までを含む広大なエリアを舞台に、日米の部隊が実戦を想定した非常にハイレベルな訓練を実施するという大規模演習です。自衛隊からは人員約4万7000名、艦艇約20隻、航空機約170機、アメリカ軍からは人員約9500名に加え、原子力空母「ロナルド・レーガン」をはじめとする多数の艦艇や航空機が参加しました。ちなみに、これは2018年度に自衛隊が参加した演習としては最大の規模です。

 このように非常に大規模かつ実戦的な演習である「キーンソード」ですが、今回はこれまでとは少し趣が違ったようです。というのも上記のように、日米の部隊に加え同演習史上初めて日米以外の国であるカナダから、フリゲート艦「カルガリー」と補給艦「アストリクス」という2隻の艦艇が参加したのです。そこには一体、どのような背景があるのでしょうか。

カナダってどんな国?

 本題に入る前に、そもそもカナダとはどのような国なのか、おもに安全保障の面から簡単に見てみます。

 カナダは、日本と同様に世界の主要な先進国からなる「先進7か国(G7)」の一員で、アメリカと同じく北米大陸に位置する国です。北には北極海、西にはアラスカ、そして南ではアメリカと国境を接しています。

 そうした地理的理由もあって、以前からカナダはアメリカと安全保障面における密接な協力関係を構築しています。たとえば、北米大陸を防衛するために警戒監視などを実施している「北米防空司令部(NORAD)」は、アメリカとカナダが共同で設立、運用しているもので、慣例的にNORADの副司令官はカナダ軍から選出されています。

 また、カナダはアメリカと欧州各国との相互防衛の仕組みである「北大西洋条約機構(NATO)」の加盟国でもあります。

 さらに、近年では日本との関係も深まっています。たとえば、2017年にはカナダ海軍のフリゲート艦「オタワ」と「ウィニペグ」が日本を親善訪問したほか、同年アジア太平洋地域に展開したカナダ海軍の潜水艦「シクティミ」が、海上自衛隊の護衛艦と日本近海で対潜水艦戦(ASW)訓練を実施しました。

カナダの活動を読み解くカギは新たな国防方針にあり

 それでは、今回の「キーンソード」演習にカナダ海軍が初めて参加した背景とは、一体なんでしょうか。それを読み解くカギは、2017年に公表されたカナダの新たな国防方針に有ります。

「強固・安全・従事 カナダの国防方針」と題されたこの方針において、カナダはアジア太平洋地域に面する国家の一員として、同地域がカナダの安全と繁栄にとって重要になってきていることを踏まえ、この地域における国々にとって自国が信頼できるパートナーとなることを示しています。これを実現するための具体的な方法として、アジア太平洋地域の主要な国々との領土紛争や安全保障などに関する意見交換といった「戦略的対話」が挙げられ、その一環として「地域における演習への参加などを通じたアジア太平洋地域における継続したプレゼンス(存在感を示すこと)」が示されているのです。

 さらに、アジア太平洋地域の安全保障問題について、カナダはアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドといった従来からのパートナーと緊密に連携していくことも示しました。つまり、今回の「キーンソード」演習への参加は、まさにこの国防方針に沿って実施されたものだったといえるわけです。

 また、カナダ海軍の公式発表によれば、先述したカナダ海軍フリゲート艦の訪日や潜水艦を用いた訓練の実施といった海上自衛隊との連携も、まさにこの国防方針を支持するための行動だったそうです。こうした一連のできごとを踏まえれば、カナダの新たなアジア太平洋地域における方針において、日本はまさに戦略的対話の対象となるような重要な存在として位置づけられていると見ることもできそうです。

 今後、カナダがアジア太平洋においてどのような活動を行っていくことになるのか、日本としても他人事ではない以上、注目していく必要があるでしょう。

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