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陸から海へにらみ 石垣島など駐屯地新設で注目の「地対艦誘導弾」、どんな装備?

  • 2018年11月10日
  • 乗りものニュース

石垣島など南西諸島に陸自の駐屯地が新設されます。配備されるのは最大射程150kmとも200kmともいわれる地対艦ミサイルの部隊と見られ、その範囲内にはあの尖閣諸島も含まれます。そもそも、どのような装備なのでしょうか。

石垣島に新駐屯地建設へ! いま注目の地対艦誘導弾を配置

 防衛省が、今年度末から、石垣島における陸上自衛隊駐屯地建設を開始します。2018年11月2日(金)に土地造成工事の入札を公示し、具体的なスケジュールが明らかとなりました。2019年2月より着工する見込みです。これまで、日本南西諸島部には、空自レーダーサイトこそありましたが、沖縄本島にのみ第一線戦闘部隊を配置していました。

 中国軍の増強、軍拡にともない、脅威が高まっていることを受け、防衛省はこれまでの北方防衛重視の考え方を改め、南方防衛重視としました。その流れの一環として、これまで「防衛空白地帯」と言われてきた沖縄地域の防衛強化を図っていきます。

 まず、2016年3月、与那国島に駐屯地を開設、そこに沿岸監視隊を置きました。この部隊の任務は、洋上を行く艦船を偵察、監視することです。

 引き続き、石垣島、宮古島、奄美大島にも駐屯地を建設する計画を打ち出しました。このなかで最初に建設されるのが石垣島となったのです。尖閣諸島から約110kmしか離れていないことを考えれば、最初にこの島が選ばれたのは当然といえます。ほかの島々に関しても、2019年内に動きがあると思われます。

 新しくできる駐屯地に配置されていくのが、地対艦誘導弾を主たる武器とした部隊です。誘導弾とは、ミサイルのことです。敵艦が侵略の意思を持って日本領海に侵入してきたら、陸地からミサイルで攻撃する任務となります。

地対艦ミサイル部隊の配備が偏っているワケ

 陸自には、現在第1から第5まで番号の振られた5個の地対艦ミサイル連隊があります。

 東西冷戦当時、多くの巡洋艦や駆逐艦、そして揚陸艦を保有していたソ連海軍は脅威でした。揚陸艦を使い、北海道へと戦車を主力とした地上部隊が着上陸することだけは、何としても阻止する必要がありました。そこで、陸上から洋上の敵艦艇を攻撃する「88式地対艦誘導弾」が開発されました。

 この新しい装備を運用するため、1992(平成4)年から1994(平成6)年にかけ、北海道に、第1地対艦ミサイル連隊(北千歳駐屯地〈北海道千歳市〉)、第2地対艦ミサイル連隊(美唄駐屯地〈北海道美唄市〉)、第3地対艦ミサイル連隊(上富良野駐屯地〈北海道上富良野町〉)が新編されました。続いて、1996(平成8)年に第4地対艦ミサイル連隊(八戸駐屯地〈青森県八戸市〉)、1998(平成10)年に第5地対艦ミサイル連隊(健軍駐屯地〈熊本県熊本市〉)、2001(平成13)年に第6地対艦ミサイル連隊(宇都宮駐屯地〈栃木県宇都宮市〉)が新編されていきました。北海道に3個、東北に1個と、日本北方に4個連隊を配置したことからも、北方重視であったことが見えてきます。

 東西冷戦が終結すると、地対艦ミサイル連隊の存在が見直されることとなり、脅威の度合いが最も低い太平洋側を守る第6地対艦ミサイル連隊が、2011(平成23)年に廃止されてしまいました。

 現在、注目されているのが、唯一九州に配置されている第5地対艦ミサイル連隊です。この部隊が九州・沖縄エリアの地対艦ミッションすべてを請け負っています。最新鋭の艦艇で構成される中国海軍に対するため、ほかの部隊に先駆けて、最新式の「12式地対艦誘導弾」が配備されました。

 有事を想定し、部隊を置いている熊本県から、民間のフェリーなどを使い、奄美大島や沖縄本島へと展開する訓練も繰り返し行っています。このように迅速な機動展開を演練してはいますが、ネックとなるのは、どうしても移動に時間がかかってしまう点でした。

 そこで、石垣島、宮古島、奄美大島に、第5地対艦ミサイル連隊の一部(中隊規模と予想される)を常駐させることになったのです。

 なお、これにともない、北海道内の地対艦ミサイル連隊の再編、縮小も行われるかもしれません。さすがに3個連隊も北海道に必要ないという意見も多いからです。

実弾射撃訓練を見てみると…?

 地対艦誘導弾は、日本国内では射撃することができません。試験的な発射はできなくはないのですが、実際に洋上に艦艇などの目標を置いて、それを攻撃するような本格的な実弾射撃は、ミサイルが飛んでいく空域および海域を確保できないため行えません。もし12式地対艦誘導弾を最大射程で撃とうものなら、レンジとして100kmは必要となるからです。そこで、88式地対艦誘導弾が配備されてから、カリフォルニア州にある米軍の訓練施設「ポイント・マグー」を使用してきました。

 2018年7月12日には、環太平洋合同演習「リムパック」の一環として、初めてハワイ州のカウアイ島で12式地対艦誘導弾の実弾射撃を行いました。

 この時の実施部隊は、やはり第5地対艦ミサイル連隊でした。第4中隊を基幹とした2機の発射機が展開しました。標的となったのは、退役した米海軍のニューポート級戦車揚陸艦「ラシーン」です。カウアイ島沖にある「海の射爆場」である、PMRF(Pacific Missile Range Facility/太平洋ミサイル射場)に置かれました。

 多国間訓練らしく、米陸軍第17砲兵旅団の「HIMARS(High Mobility Artillery Rocket Systems/高機動ロケットシステム)」も参加しました。ちなみに、同じシークエンスではあったものの、“別枠”として、ノルウェーのコングスヴェルグ社製地対艦ミサイル「NSM」も発射訓練を行いました。現在米陸軍は、地対艦ミサイルを保有していません。もしかすると、「NSM」が正式配備される可能性もあります。

東京・日本橋から小田原より先の標的へ

 12式地対艦誘導弾は、重装輪回収車をベースとした移動式発射台に乗っています。射撃の際は、誘導弾のランチャーを垂直に立てます。

 日米同時弾着で「ラシーン」を攻撃するのが目標です。12式地対艦誘導弾のスピードが速いため、まず5発のHIMARSが発射されました。続いて、ひとつの発射機から1発ずつ、計2発の12式地対艦誘導弾が発射されました。誘導弾は、爆音と共に、赤い炎を上げながら、キャニスターを飛び出していきました。そのまま真上に飛んでいくと、途中で水平飛行となり、白い煙の尾を引きながら、蒼空へと消えていきました。そして見事、90km離れていた標的艦へと命中しました。

 この日、射撃訓練は2回行われました。最終的に、陸自は2発ずつの計4発の誘導弾を発射し、全弾命中させています。

重要性を増す地対艦誘導弾

 先代となる88式地対艦誘導弾は、航空機から発射する80式空対艦誘導弾ASM-1を地上発射方式へと改造したものです。88式地対艦誘導弾をさらに改造し、護衛艦に搭載可能な90式艦対艦誘導弾SSM-1Bも作られました。

 名前の通り、12式地対艦誘導弾は2012年から配備が開始されましたが、後継となる「12式地対艦誘導弾(改)」の研究、開発も現在行われています。12式地対艦誘導弾をベースにした、90式艦対艦誘導弾SSM-1Bの後継となる17式艦対艦誘導弾も作られました。

 中国もミサイルを必死に作っています。ミサイル開発はまさに日進月歩です。最新技術を盛り込んだミサイル開発の手を休めることはできません。つねに新しい誘導弾を作っていく必要があります。

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