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駅弁ならぬ高速バスのお供「バス弁」 2018年は大物ルーキーも登場、定着なるか

  • 2018年10月27日
  • 乗りものニュース

鉄道の「駅弁」にならう形で、空港には「空弁」、高速道路SAでは「速弁」などが販売されていますが、高速バスの利用客向けに「バス弁」も存在します。しかし、なかなか定着しないのはなぜでしょうか。

由緒ある老舗料亭も参入!

 2018年の春から秋にかけて、高速バスに乗車する旅客向けに、「駅弁」ならぬ「バス弁」の販売を始めた事業者があり、一部で話題になりつつあります。

 まずひとつは、福島県会津若松市の会津バスターミナルで販売されている「会津バス弁当」です。調製元(製造者)は、木を加工した容器に盛り付けられる「わっぱ飯」を考案した地元の料亭「田季野」。「会津輪箱飯(わっぱめし)」などの弁当を2018年3月に発売しました。

 田季野といえば、定期観光バスのコースに組み込まれるなどバスとの関係も深く、会津を代表する有名料亭です。10月現在は前出の「会津輪箱飯」(1280円)のほか、「会津ソースカツ弁当」(1230円)、「ミニ輪箱飯」(750円)、そして日や週によりおかずが変わる「おまかせ弁当」(540円)の4種類が展開されています。

 そして7月には、岐阜県に本拠地を置く濃飛バスが、飛騨の料理を集めた「濃飛バス弁当」を発売しました。フォトフレームにもなる高速バス型の容器に入った弁当にはお品書きが添えられ、飛騨牛コロッケ、なつめ煮付けなど、飛騨で親しまれる料理が詰め込まれています。

 この弁当を調製している平湯温泉バスターミナル(高山市)内のレストランは、昭和30年代から営業している老舗です。ここから、高山市中心部の高山濃飛バスターミナルにも運ばれ、いずれも数量限定で販売。早めに売り切れる場合もあるとのことです。

 そもそも、「バス弁」自体が聞きなれない言葉かもしれませんが、駅弁と同じように、高速バスのターミナルやバス車内で販売し、移動中に食べることを想定して考案された弁当です。じつは過去にも、このような弁当は存在していました。

バスに乗らないと食べられなかった「バス専用」弁当も

「バス車内で食べる弁当」として最初に一定の知名度を得たのは、2004(平成16)年に登場した西鉄天神バスセンター(現・西鉄天神高速バスターミナル)の「バス弁」です。九州全域へ1日約1400本のバスが発車するターミナルの売店で売られていたこの弁当は、明太子、かしわめし、鶏料理など九州の味をぎゅっと詰め込んだものでした。

 発売当初は話題を呼び、一時期は「松」「竹」「梅」の3種類が大きなスペースをとって販売されていましたが、近年販売を終了しています。

 また、特殊な例としては、静岡を中心に高速バスを運行する、しずてつジャストラインの弁当が挙げられます。新静岡ターミナルを発車する高速バスの乗客に向けて、2014年に「バス弁・静岡名産弁当」を発売しました。

 ここまで挙げた他のバス弁と違うのは、「特定の高速バス路線に乗らないと弁当を予約できない」システムをとっていた点です。バス弁を予約できたのは「静岡〜甲府線」「駿府ライナー(静岡〜新宿線)」などの4路線で、静岡駅にて運転手がスタッフからクーラーボックスを受け取り、弁当を乗客に渡していたのです。この引き渡しの際、運転手はアルコールスプレーで手を念入りに消毒し、手袋を装着するといった念の入れようでした。

 コンパクトなバス型の弁当容器に、桜えびの混ぜ込みご飯、黒はんぺんなど、静岡名物が目白押し。あっさりとした味付けも、高速バスユーザーのあいだでおいしいと評判だったようです。その調製元は、静岡の名門駅弁業者である東海軒でした。

 バスターミナルで売られている「バス弁」はバス利用者以外でも買うことができますが、本当の意味で「バス専用」弁当といえるのは、このしずてつジャストラインの「バス弁」が日本初といえます。2015年にはラインナップを4種類に増やすなどして販売が続けられましたが、2018年4月に発売を終了しました。

どうして「バス弁」は定着しないのか

 鉄道の「駅弁」は、日本中に数多く存在します。折詰に入った現在のような「駅弁」としての販売が始まった時期には諸説ありますが、日本鉄道構内営業中央会など古くからの業界団体もあり、常に新作が提供され、一定の市場ができています。

 近年、空港で販売される「空弁」や高速の道路のサービスエリアで販売する「速弁(はやべん)」(NEXCO中日本の商標)も登場し、徐々に知名度を上げていますが、バスに特化した「バス弁」は、そこまでの大きな流れにはなっていません。いまのところ、それぞれの事業者が小規模で販売している状態です。

「バス弁」が定着しない理由はいくつか考えられますが、まず、大きなバスターミナルは鉄道駅の近くにあることが多いため、そのような弁当を買おうとすれば、駅弁のほうをすぐに買えてしまうという点があるでしょう。さらに、多くのターミナルにはコンビニなどがあったり、立ち食いそばなどの食事処もあったりするので、弁当にこだわる必要もないわけです。

 また、鉄道や飛行機に比べて揺れやカーブ通過時の影響などがあるバスでは、弁当を食べること自体が選択肢に入りづらいかもしれません。コンビニなどの普及で、列車内で駅弁を食べる機会すら減っている時代にあって、新たに「バス弁」を普及させる難しさもあるでしょう。

 とはいえ、全国の百貨店で行われる「駅弁大会」でも、過去に阪神百貨店でバス弁が扱われた例があります。鉄道、飛行機、SAに続いて、高速バスの「バス弁」が定着するか、今後が注目されます。

※記事制作協力:風来堂、oleolesaggy

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