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「離島の旅」人気は本当か 世界遺産登録でさらに注目? 国も支援するワケ

  • 2018年7月7日
  • 乗りものニュース

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録もあり、「離島の旅」に注目が集まっています。政府も新たな振興策を打ち出し、旅行会社も離島の旅行商品を強化していく構えです。離島の旅、どのような魅力があるのでしょうか。

世界遺産登録の長崎だけではない「伸び」

 2018年6月30日(土)、バーレーンで開催されたユネスコ世界遺産委員会において、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産へ登録されることが決定しました。

 長崎県と熊本県の本土および離島に点在するスポットから構成される文化遺産ですが、日本の離島地域を含む世界遺産は、これで6件目(沖縄本島を除いた数)です。直近では福岡県の「宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産に登録されているほか、小笠原諸島や屋久島といった自然遺産も存在します。

 全国の離島振興を推進する日本離島センター(東京都千代田区)は、「特に世界遺産登録の前後で顕著ですが、雑誌などで全国の離島特集が組まれるなど露出が増え、旅行会社も近年離島の旅に注力していると感じます」と話します。旅行大手の阪急交通社も、今回の長崎および天草地方の世界遺産登録へ向けた動きもひとつの追い風となり、近年全国の「離島の旅」に関する旅行商品の企画・販売を強化しているとのこと。

 阪急交通社の2017年度における「離島の旅」の送客人数は、2016年度に比べて107%増加し、2018年度もその傾向は続いているそうです。伸び率の大きなところでは、長崎の壱岐島で前年度比130%、鹿児島の屋久島で118%、香川県の小豆島・直島で115%、北海道の利尻島・礼文島で111%、それぞれ増えているといいます。

「離島の旅」はどのような点が魅力なのでしょうか。阪急交通社に聞きました。

――どのような点が魅力なのでしょうか?

 島固有の文化や風習、手つかずの自然、食材などでしょう。また、さえぎるものがない雄大な景色といったフォトジェニックな要素も大きな魅力です。当社としては、もともと個人旅行よりも、添乗員が地域の魅力を深堀りしていくツアーを得意としていたこともあり、こうした観光資源をアピールし、地域に滞在しながら体験していくツアーに注力しています。

 お客様からの満足度も高く、「その土地の珍しさが目を引く」「行ってみないとわからない」「もっとアピールしないと」といったお声があります。

島のキャパには限界も 全国的に観光客は増えたのか

――行きづらくありませんか?

 個人で手配していくと面倒なことは確かです。しかし、行きづらいことは旅行会社にとってはある意味チャンスとも言えます。しっかりとルートを確保してお客様にご提供することが重要です。

 たとえば北海道の利尻島・礼文島が伸びたのは、フジドリームエアラインズのチャーター機を確保できたことが大きいでしょう。離島においては、たとえばフェリーが新くなって所要時間が短縮される、などといったことも客足に大きく影響する傾向です。

――今後もっと客足が増えていくでしょうか?

 離島の場合はキャパシティーに限界がありますので、一概には言えないかもしれません。まず、その地域に宿泊できるかできないかでも大きく変わってきます。たとえば、世界遺産となった教会群のある五島列島なども、爆発的に人が増えるかといったら難しい側面もあるでしょう。それら教会などを拝観するにも予約が必要になってきます。また、たとえば夏の利尻島・礼文島などは観光が特定の季節に集中しますので、今後はオフシーズンの魅力を引き出していくことも必要でしょう。

※ ※ ※

「LCCが就航した奄美大島(2014年、バニラエアが就航)や、沖縄の宮古島など、近年観光客が急増している地域もあります。また、ネコが多い島(全国的に存在する)では、フェリーがいっぱいで臨時便を運航しているといった状況も聞かれます」と話すのは、前出の日本離島センターの担当者です。

 ただ、このように特定の地域では観光客数の伸びが見られるものの、全国的には必ずしも増えているわけではないとのこと。「最新の統計数値が2014年度のものですが、そのころにはむしろ微減の傾向です。今後はもしかしたら統計上の数値も増加を示すようになるかもしれません」(日本離島センター)といいます。

「離島の旅」を後押しする政治的な背景

 日本離島センターによると、離島の振興に新たな法律が施行されたことでも、今後が期待されるといいます。その法律とは、2017年4月施行の「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」(以下、特定国境離島法)です。

 同法は、人口が減少している国境近くの有人離島(8都道県15地域、71島)の地域社会を維持し、日本の領海や排他的経済水域などを適切に管理・保全する目的をもった議員立法です。「住み続けていくために、島を元気にするための新しい振興法」(日本離島センター)として、交通、観光、物流、雇用などを支援する交付金制度が設けられています。

 阪急交通社も、特定国境離島法の施行が「離島の旅」を後押ししているといいます。「自治体においても国の交付金を活用したいろいろな制度が始まっています。たとえば長崎県では『しま旅滞在促進事業』として対馬、壱岐島、五島列島に宿泊し、島内での体験メニューを組み込む旅行商品の開発や販売について、県と旅行会社が連携して取り組んでいます」と話します。

 特定国境離島法の交付金には、おもに島民に向けた航路あるいは航空路の運賃負担といった使い道もあります。日本離島センターによると、「島民以外の渡航費負担は難しい側面もありますが、2018年度からは、島での宿泊体験プログラムを含めたツアーなど、島にお金がいきわたるような形で、外部の観光客に対しても渡航費補助ができるようになりました」とのこと。今後さらに、「離島の旅」への注目が高まっていくかもしれません。

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