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フランスがアジア太平洋で活動強化のワケ フリゲート艦「ヴァンデミエール」の役割

  • 2018年7月7日
  • 乗りものニュース

フランス海軍艦艇がアジア太平洋地域、とりわけ南シナ海での活動を活発化させています。その背景には、一体どのような目的があるのでしょうか。

フランス海軍艦艇が南シナ海でパトロール

 2018年に入り、フランスはアジア太平洋、特に南シナ海における存在感をつよめてきています。その分かりやすい例が、2018年3月20日にフランス海軍が発表した、フリゲート艦「ヴァンデミエール」による南シナ海でのパトロール活動の実施です。

「ヴァンデミエール」は、フランスが保有する海外領土の防衛や、その周辺海域における違法行為の取り締まり、さらに有事が発生した際の自国民の避難を行うことを目的として建造された「フロレアル級哨戒フリゲート」と呼ばれる種類の艦艇の5番艦(同型艦は全部で6隻)で、1993(平成5)年に就役し、1996(平成8)年からオーストラリアの隣に位置するフランスの海外領土のひとつ、ニューカレドニアの首都であるヌメアを母港としています。

 このように、もともとアジア太平洋に配備されている「ヴァンデミエール」が南シナ海でパトロールを実施したからといって、フランスが活動を活発化させたといえるのか疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、注目すべきはフランス海軍が発表したパトロール活動の目的です。フランス海軍は、この南シナ海でのパトロール活動は「ヴァンデミエール」をはじめとする哨戒フリゲートにとってあらたな段階の任務の開始を告げるものと発表しています。

任務拡大が意味することとは?

 フランス海軍が発表した、「ヴァンデミエール」をはじめとする哨戒フリゲートの新たな任務とは、「国際法に従い、領土問題などをかかえる係争地域で海と空における移動の自由の原則を確認する」ことです。

 つまり、従来は海外領土の防衛やその周辺の治安維持などを主たる任務としてきた哨戒フリゲートが、そこからさらに発展して「航行の自由(領海の外側にある海や空の上ならばだれでも自由に移動できるという国際法の原則)」を確認することも同様に任務とするようになったということです。

 では、この任務拡大にはどのような背景があるのでしょうか。

背景にフランスのアジア太平洋に対するまなざし

 実は、フランスはアジア太平洋と非常に強い結びつきを有しています。

 まず、フランスは南太平洋やインド洋などにニューカレドニアやポリネシアといった広大な領土を有していて、そうした領土の周辺に広大な排他的経済水域(EEZ:領土の周囲200海里以内に設定し、そのなかにある資源を自国が排他的に開発できる水域)を保有しているために、フランスの排他的経済水域はアメリカに次ぐ世界第二位の広さを誇っています。

 また、フランスの領土である以上、そこには当然多くのフランス人が居住していて、フランス国防省が公表している資料によれば、その総計はなんと約150万人にものぼります。

 さらに、フランスからアジア太平洋への輸出や、逆にアジア太平洋からフランスへの輸入といった経済的なつながりもあります。

 つまり、フランスにとってアジア太平洋は自国から遠く離れた地域などではなく、まさに自国が直接面している地域なのです。

地球の裏側も他人事ではないフランスの事情

 そのアジア太平洋地域において、フランスは先ほど説明した「航行の自由」の重要性を強く認識しています。なぜならば、もし航行の自由が確保されなければ、輸送船や航空機がアジア太平洋内を自由に行き来できなくなり、フランスのみならず世界経済に大きな影響を与えることになるからです。

 また、フランスにとっては自国の民間船舶や航空機、軍艦や軍用機が同地域を自由に航行できなければ、海外にある領土とヨーロッパにある本国とのアクセスや、アジア諸国とのアクセスが阻害されてしまい、国益を大きく損なうことになってしまいます。

 こうした問題が発生することを防ぐために、フランスは南シナ海で人工島の造成とその軍事化を進め、周辺地域の航行の自由を制限するおそれのある中国に対して、そうした行動を認めないという自国の姿勢を示すために「ヴァンデミエール」によるパトロールを実施したと考えられます。

 これまで南シナ海では、アメリカ海軍が単独で「航行の自由作戦」を実施してきましたが、現在ではそこにフランス海軍も加わってきました。今後の南シナ海情勢を見極めるためのキーワードとして、フランスの存在感はより一層強まっていくでしょう。

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