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陸自の華、空挺降下支えるC-130はどんな飛行機? 半世紀越え活躍するベストセラー機

  • 2018年6月25日
  • 乗りものニュース

「空挺」とは、飛行中の輸送機や輸送ヘリからパラシュートで降下することですが、これを実施する陸自の空挺部隊は、隊内でも最精鋭部隊のひとつとして知られます。そうした彼らの空挺を裏から支えているのが、輸送機C-130です。

まさに縁の下の力持ち、輸送機C-130

「キャメル、現在コース良し、そのまま進入。キャメル、コース良し、コース良し、用意、用意、用意。降下、降下、降下!」

 会場内に放送される陸上自衛隊第1空挺団降下誘導小隊の誘導音声。その音声誘導に従い、多くの空挺隊員を乗せて飛来してきたのが、航空自衛隊のC-130H輸送機です。定められたポイントに向けて正確に飛行してくる大型輸送機と、機体後部にある左右の扉からパラシュートを装着し降下してくる空挺隊員の姿の組み合わせは、C-130H輸送機を最も魅力的に見せます。

 時と場所を選ばず、多くの物資を空輸することができる輸送機として、多くの国で活躍しているのがこのC-130大型輸送機なのです。

 海上自衛隊も同型機を運用していて、全国のイベントなどでその勇姿を見ることができます。どのような輸送機なのでしょうか。

 C-130輸送機は、1956(昭和31)年にアメリカで運用され始めた輸送機です。初期型のA型から最新のJ型まで、多くのバリエーションがあります。なかには、重武装したAC-130という対地攻撃能力を持った機体も存在します。

 航空自衛隊ではC-130Hというタイプを14機、空中給油装置を備えたKC-130Hを2機保有しています。導入当初はC-1中型輸送機の後継になるのではないかと言われていましたが、C-130Hの方が大きく、国内を機敏に動き回るにはC-1の方が都合良いとの理由で、航空自衛隊では2種類の輸送機を用途に応じて使い分けています。

 海上自衛隊ではC-130Rというタイプを運用しています。海上自衛隊では、C-130R導入決定時にYS-11M/M-Aというタイプの輸送機を運用していましたが、東日本大震災の救援活動などにおいて、YS-11の急激な飛行回数の増加がありました。そのため個々の機体に定められた運用限界の飛行時間に早期に到達してしまうことが予想されました。

新幹線に乗った状態で東京タワーの上からGO!

 YS-11が飛行限界に達してしまった場合、海上自衛隊は自前の輸送機を持っていない期間が生じてしまいます。こうした動きのなかで、海上自衛隊はC-130Rの導入を決めたのです。最終的には6機が運用されて、海上自衛隊の輸送体制を確立させるといいます。

 航空自衛隊では完成品の新品を輸入していましたが、海上自衛隊では米海軍が保管していた中古のKC-130Rを、米国内で可動できる状態にまで整備して、空中給油装置を取り外して日本に持ち込みました。そのため、必要とあれば、海上自衛隊のC-130Rは空中給油装置を取り付けてKC-130Rとして復活することができるかもしれません。

 航空自衛隊のC-130Hを操縦するパイロットたちに話を聞くことがありました。多くの空輸任務をこなす彼らのなかでも、陸上自衛隊第1空挺団の空輸支援は物資空輸とは違った緊張感とやりがいに満ちているそうです。

 第1空挺団の隊員たちは、パラシュートを背負い、高度約340m、速度210km/hから降下します。たとえるならば、新幹線に乗った状態で、東京タワーの頂上から飛び降りるような感じだといいます。この210km/hという速度は航空機からすると、遅い飛行速度といわれますが、短距離離着陸性能を持つC-130Hは、この様な低速状態でも安定して飛行し続けることができるそうです。

 機内から飛び出す空挺隊員たちからの信頼も厚く、C-130Hのクルーたちも空挺隊員たちを安全に目的地上空まで運ぶのだという強い信念を持っていると聞きます。

 そのため、お互いが強く信頼しあっているのですが、空挺隊員側の気持ちが強く出てしまったエピソードをご紹介します。

数秒の空白でザワザワ?

 第1空挺団が航空機から降下するときには、降下隊員たちのなかに降下長というまとめ役の隊員が必ず同乗しています。降下長は、降下する隊員たちに対して責任を持っているため、彼らが安全に降下できるように常に隊員たちを指導し監督しています。

 空挺隊員たちを乗せて飛び上がるC-130H輸送機。しばらくすると、降下予定地点上空に差し掛かります。

 降下長は、降下する直前に開放されたC-130Hのドアから周囲を確認し、隊員たちのパラシュートなどの装備品の最終確認をします。ドアの横には赤と青のランプが取り付けられています。このランプは降下するタイミングを示すもので、降下前には赤く点灯しています。

 地上から航空機を誘導する降下誘導小隊の「降下!」の合図と共に赤いランプが青く点灯します。青く光ったランプを確認すると降下長は先頭で待機していた降下隊員を降下させるのです。全ての隊員が降下したあと、降下長は最後に忘れ物が無いか機内を確認したあとに自分も降下します。

 ある時、A降下長は、C-130Hのクルーたちに感謝の気持ちをこめて「ありがとうございました!」と敬礼してから降下したそうです。たった3秒程度のやり取りだったのですが、時速210km/hで3秒進んだとすると、約175mも進んでしまいます。また、降下のタイミングは約1秒間隔で飛び出さなければならないため、地上にいた隊員たちは「降下長が降りてこない」と一瞬ざわついたそうです。約3秒後に機内から飛び出してきたA降下長。安全に着地したのですが、皆に合流するまで重い荷物を持って、かなりの距離を移動したそうです。

 お互いに強い信頼関係で結ばれているからこそ、空挺隊員たちはC-130H輸送機から飛び出すことができるといいます。C-130Hのほかにも、C-1輸送機も空挺降下で活躍しますが、筆者(矢作真弓:軍事フォトライター)の個人的な意見だと、4発のプロペラを持つC-130Hの方が迫力に勝ります。

 各地のイベントで空挺降下を見学することができますが、一番のオススメは毎年1月に行われる第1空挺団降下訓練始めです。一般の方の見学も可能ですので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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