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カーフェリー復権なるか 「休息できる」トラックで盛況 高速道路からの転換加速

  • 2018年3月26日
  • 乗りものニュース

カーフェリーの需要、特にトラックを中心とする自動車の輸送実績が伸びています。フェリー業界は近年、高速道路との競合などで大きく需要を落としていましたが、復調の背景には何があるのでしょうか。

トラック会社も「船を使え」

 片道300km以上を運航する長距離フェリーの需要が伸びています。

 長距離フェリーは全国に8社14航路(離島航路を除く)、このうち5社8航路が九州に発着しています。九州運輸局が2018年1月に発表した、5社8航路の2017年度上半期輸送実績によると、前年同期と比べて旅客は3.6%、車両は4.3%増加。うち車両については2015年度同期から3年連続で増加し、9年ぶりに60万台を突破しました。なお2016年度1年間の輸送実績としては、5社8航路合計で旅客約160万9000人、自動車約117万5000台です。

 大阪〜別府、神戸〜大分、大阪〜志布志(鹿児島県)の3航路を運航するフェリーさんふらわあ(神戸市東灘区)によると、「特に平日は、全便でトラックの枠がほぼ埋まっている状態」とのこと。好調の背景を聞きました。

――輸送実績は旅客、自動車ともにどう推移しているのでしょうか?

 自動車の多くはトラックで、ここ数年増え続けています。旅客については、2016年に発生した熊本地震や、神戸〜大分航路に就航している2隻のうち1隻(「さんふらわあぱーる」)が長期欠航している影響などもあり、増えたり減ったりです。ただ、当社が独自で行っている「弾丸フェリー」などの格安プランをご利用されるお客様は、そうした影響があっても増え続けています。

――トラックの需要が伸びている背景には何があるのでしょうか?

 ドライバー不足や、「働き方改革」の関係でしょう。トラックドライバーは、連続して運転する場合に所定の休息時間を取る必要がある(編集部注:勤務と勤務のあいだに継続して8時間以上の休憩を取ることが法律で定められている)ので、フェリーであればゆっくり休むことができるのです。

 実際にトラックドライバーの方にお話をお聞きしたところ、最近は原油価格が上がってきていることもあり、たとえば高速道路を利用して関西から九州の目的地まで行くのと、フェリーを利用するのとで、コストがあまり変わらなくなっているそうです。「会社からも『船を使え』と言われています」とおっしゃっていました。

※ ※ ※

 たとえばNEXCOの料金検索サイト「どらぷら」で、神戸港に近い阪神高速の六甲アイランド北入口から大分ICまでの所要時間を検索すると、8時間27分(平日17時30分出発で渋滞を考慮しない場合)。対してフェリーさんふらわあの神戸〜大分間航路では、11時間20分から11時間30分です。

「高速道路の大幅割引」で需要減 持ち直してきた10年

 前出の九州運輸局による各年度上半期の輸送実績で、自動車の輸送実績が最後に60万台以上を記録したのは2008(平成20)年度のこと。2009(平成21)年度上半期には一気に52万4000台へと下がり、そこから持ち直してきました。およそ10年間でどのような変化があったのか、長距離フェリー協会(東京都千代田区)に聞きました。

――2009(平成21)年度ころに大きく輸送実績が下がったのはなぜでしょうか?

 2005(平成17)年から高速道路の法人利用者に向けたETC利用料金の「大口・多頻度割引」が始まり、フェリーの業績が下降傾向にありましたが、2009(平成21)年にはさらにETC利用車の平日全車種3割引き、土日・祝日の軽自動車・普通車「上限1000円」といった割引制度が拡大したことを受け、この年さらに大きく落ち込みました。高速道路におけるこれら大幅な割引は終了しましたが、大口・多頻度割引は継続しています。

――その後はどう推移したのでしょうか?

 原油価格の高騰により、2012(平成24)年から2013年にはもう一度苦しい時期を迎えました。その後、原油価格が落ち着いたことで、少し余裕が出たことから、新造船を建造してより大型化する事業者が出てきました。

――近年持ち直してきた要因は、どのような点でしょうか?

 お話した新造船による大型化や、物流業界のドライバー不足により「モーダルシフト(輸送手段の転換)」が図られてきたことにあります。最近は再び原油価格が高騰しつつありますが、フェリーは安く抑えざるを得ません。陸路による物流コストが上昇するなかで、「それならば休息できるフェリーを」ということでお選びいただいているのだと思います。

――好調を受け、フェリー会社はどのような取り組みをしていますでしょうか?

 やはり新造船の建設が進んでいます。フェリーの償却期間はおよそ15年とされていますが、20年を超えて使ってきたものも多く、いまのうちにできるだけ更新しようという流れが続いています。

短・中距離フェリーは?

 短・中距離路線ではどうでしょうか。たとえば、三浦半島の久里浜港(神奈川県横須賀市)と房総半島の金谷港(千葉県富津市)のあいだを約40分で結ぶ東京湾フェリーによると、航路の北側に並行する東京湾アクアラインが2009(平成17)年以降、ETC普通車で800円、大型車で1320円という割安な通行料金となったことで需要が大きく減少し、以後も「トラックの輸送量は横ばいで、増えてはいません」とのこと。東京湾フェリーの片道自動車航送運賃(運転者1名の旅客運賃含む)は、長さ12.0m未満の大型車で1万1800円です。ただ、乗用車や観光バスなどは、房総半島の観光需要とともに伸びてきているといいます。

 中距離フェリーのひとつに、神戸港と香川県の高松港を4時間15分から4時間45分で結ぶジャンボフェリーがあります。阪神発着の長距離フェリーが盛況するなか、「当社は明石海峡大橋を含む神戸淡路鳴門道と競合するため、条件が非常に悪い」とのこと。橋などと競合する路線では、依然として状況は厳しいようです。

 ただ、ジャンボフェリーの場合、昨今のトラックドライバー不足を受けて荷物は増えているといいます。

「当社は明石海峡大橋が開通する20年前から、コンテナとシャーシ(コンテナを載せる車体)の『無人航送』に注力しており、それが近年伸びてきています。国際貨物が集まる神戸港へ、当社がコンテナを取りに行き、フェリーで高松へと運び、そこでさらに当社のトレーラーヘッドにつないで四国各地の荷主へと輸送、あるいは同様に四国から神戸へと輸送するサービスです。神戸港から四国へと陸路でコンテナを運んでいた事業者がドライバー不足になるなかで、当社にお任せいただく機会が増えています」(ジャンボフェリー)

 ジャンボフェリーによると、トラックが来るのを「待つ」のではなく、自分たちで荷物を「取りに行く」姿勢で輸送量を確保しているといいます。「四国は国際貨物が集積される大きな港がなく、多くの貨物がまず神戸に集められてから四国へと運ばれる点も、神戸〜高松という中距離航路を活かせるポイントです。これが九州や京浜港であれば、国際船は直接そちらの港へ荷物を運ぶでしょう」と話します。

【図】日本の長距離フェリー、最長は?

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