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新型HC85系「特急ひだ」に試乗 ハイブリッド車初の120km/h運転 "新感覚"あちこちに

  • 2022年5月24日
  • 乗りものニュース

まもなくデビューするJR東海の新型特急車両「HC85系」。現在活躍中の「キハ85系」と同じ番号であり、共通点もあるものの、大きく進化した点もあります。実際に乗車し、その特徴を体感してきました。

先代・キハ85系からは「正常進化」?

 いよいよ2022年7月にデビューとなる、JR東海の新型特急車両「HC85系」。5月24日(火)、関係者向けの体験乗車が行われ、特急「ひだ」のルートとなる名古屋〜岐阜〜高山で、約2時間40分の旅をしてきました。

 この新型車両は、1988(昭和63)年にデビューしたキハ85系の後継として送り込まれます。車両名が同じ番号を冠した「HC85系」であることは、「進化形」であることを象徴しています。

 先頭形状こそ流線形ではなくなったものの、車体はステンレスに白の塗装とオレンジのライン。最高速度は120km/hで、特急「南紀」「ひだ」として走ります。窓のサイズは「ワイドビュー」として登場したキハ85系と比較して、同程度とのこと。日除けは同じ横引きカーテンです。

 しかし、HC85系はキハ85系からさまざまな進化を遂げています。その最たるものはディーゼルエンジンで発電し、モーターを回して走る「ハイブリッド車両」であること。車種記号も電車と同じ「モハ」「クモロ」などと、モーターを意味する「モ」が付いています。ちなみに「HC」は「Hibrid Car(ハイブリッドカー)」の略です。

 キハ85系がエンジン2基体制であるのに対し、HC85系ではエンジンは1基。数は半減しても、バッテリーからの電力でパワーを補うことで、同じ120km/h運転を実現しています。バッテリーは旅客用鉄道車両では国内最大容量を誇り、最高速度120km/hもハイブリッド車両では国内初となります。

 エンジンの数が減ったことで、まずはCO2排出量が約3割、NOx排出量は約4割減少。環境負荷を大きく低減するほか、エンジンの唸りや振動も低下し、より快適な乗り心地となっています。

 さらに、車両貫通部上の案内ディスプレイにも、こうしたハイブリッドならではの駆動方式を楽しむ工夫も。「次は 岐阜」などの案内とともに、いま現在エンジン出力なのか、エンジン出力をバッテリーがアシストしているのか、逆にバッテリー充電モードなのかが、リアルタイムで図示されるのです。

新幹線の技術も注入!

 さらなる進化点として、新幹線や在来線の313系電車などに採用されている「セミアクティブサスペンション」が搭載。急カーブなどで右に左に車体が振れるショックを、吸収度合いごとリアルタイム制御することで、高速運転を実現しながら揺れの体感をマイルドにします。

 実際に乗車してみると、駆動系の面では「電車」であると感じるものでした。山間部ではエンジンが稼働し続けているものの、平地ではモーター音が目立ってきます。さらに減速時や下り坂では、車輪の回転を利用して発電する際の「キュルキュル…」というモーター回生音。JR東日本のハイブリッド気動車「HB-E210系」のように、気動車と電車の2つの音を同じ車両で耳にする、不思議な感覚ですが、先代のキハ85系と比較して、明らかに静かでした。

 この静けさは、二重の床や防振構造の増強など、足回りにも工夫がもたらしていると思われますが、さらにグリーン車は床面にカーペットが敷かれ、より消音性を高めています。カーペットはN700A新幹線と同じ編み方を採用しているそうです。

座席番号の「0列」ってなんだ!?

 近年の新型車両ならではと言える特徴が、最新のバリアフリー基準に対応し、車いす用スペースを設けていることです。車いす利用者と介助者がふたり並べる”1列席”と、車いす利用者が窓側を利用できる”0列席”が、左右に配置されています。

また、トイレのバリアフリー仕様も先代から進化し、部屋を円柱形にすることでワイドドアを実現。それにともない、車両間の通路は円弧を描く形になっています。

 旅を終え、高山で車両の先頭部を見てみると、「おでこ」にあたる部分に、横長に取り付けられたライトが取り付けられていることに気づきました。このライトは前進時は白色、後退時は赤色に光ります。下部にあるヘッドライト・テールライトと連動して、この「おでこライト」がなかなかの存在感を放っており、HC85系のキャラクターと言えるものになっていました。夜間に見ると、見開かれた目が闇を切り裂いていく……そんな光景が見られるかもしれません。

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