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「西武」が要らない? 西武柳沢駅のナゾ 首都圏「なぜか社名付き駅」を探る

  • 2022年4月11日
  • 乗りものニュース

JRの駅などと区別するため、社名を冠した私鉄の駅は多くみられますが、なかには、類似の駅名が周辺にないケースも。なぜ社名がつくのでしょうか。

西武新宿、西武秩父、西武立川……西武柳沢はなぜ?

 西武新宿線に西武柳沢(やぎさわ、東京都西東京市)という駅があります。田無のひとつ新宿寄り、各駅停車と準急しか停まらない比較的小さな駅です。

 同駅南口からは吉祥寺駅や三鷹駅行きのバスが頻繁に発車するため、バスの行先として認識している中央線沿線の人も少なくないかもしれません。ただ、その行先表示やバス停名は「柳沢駅」で、“西武”はつきません。

 地元でももっぱら「柳沢駅」とだけ呼ばれており、近くに住む30代女性からは、むしろ「なぜ西武がつくのか」という声も聴かれました。

 私鉄の駅がJRの駅などと区別するため、社名を冠しているケースは多々あり、西武線でも西武新宿、西武秩父、西武立川などが挙げられます。しかし西武柳沢については、周辺はおろか関東を見渡しても、区別すべき駅などありません。

 なぜ西武がつくのか、結論から言うと、昔は同名駅があったからでした。

 西武柳沢駅は1927(昭和2)年の開業当時から西武がつきました。この2年前、現在の長野県中野市に河東鉄道の柳沢(やなぎさわ)駅が開業していたためです。この路線はのちの長野電鉄河東線(木島線)で、すでに廃止されています。なお西武柳沢駅のあと、青森県にも十和田観光電鉄の柳沢(やなぎさわ)駅ができましたが、こちらも現在はありません。

 ちなみに、当時の西武新宿線は、現在の西武鉄道とは経営母体が異なる通称「旧西武鉄道」の路線でした。西武柳沢駅は、その後に誕生していく「西武〇〇」駅の元祖です。

20以上ある「京成〇〇」のなかにも…なぜ社名付き?

 社名付きの駅は東武、京王、小田急、京急にもありますが、とりわけ多いのは、JR線と競合している京成です。実に20以上もの「京成〇〇」駅があります。

 京成関屋(東京都足立区)、京成立石(同葛飾区)などは、同駅名が関東にないケースです(関屋駅は新潟県、立石駅は大分県)。なかでも京成臼井駅(千葉県佐倉市)は、福岡県にあった臼井駅が廃止されており、西武柳沢と同様、実質的に社名で区別する必要がなくなっています。

 実は京成では、1931(昭和6)年に省線(国有鉄道)などとの同名駅を一斉に「京成〇〇」へ改称し、その後に開業した駅でも踏襲しています。京成に限らず首都圏では、社名付きの駅が大正後期から昭和戦前にかけて多く登場しました。

 なかには、小田急相模原駅のように、もともと「相模原駅」だったところ、国があとから相模原駅(横浜線)を設けるにあたり、社名付き駅名に改称したケースもあります。

 一方、社名での区別を採用しなかった会社のひとつが南武鉄道、現在のJR南武線です。昭和初期に開業した同社は、武蔵小杉、武蔵中原といったように、同名駅を「武蔵〇〇」で区別しました。東急線は、もともといくつかの会社に分かれていましたが、「東急〇〇」という駅はなく、武蔵小山(目黒線)、武蔵新田(東急多摩川線)といった具合です。

 この時代は電車が発達し、新しい駅が次々と生まれていました。そうしたなか、同名駅と社名で区別するか、旧国名などで区別するかという、当時の各事業者の方針が、現在にまで影響を与えているといえるのではないでしょうか。

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