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「路線バス廃止→無料バスにする」って? 2022年3月廃止の路線バス【西日本】 大再編相次ぐ

  • 2022年3月31日
  • 乗りものニュース

2022年3月に廃止されるバス路線をまとめました。単なるバス路線の廃止にとどまらず、柔軟な運営のためにあえて補助を受け取る枠組みを外れるケースもあります。

“一気に廃止”がますます進行 岐路に立つ路線バス

 2022年3月にも全国で多くの路線バスが廃止されます。この記事では西日本の廃止路線をいくつかピックアップします。なお紹介するバスは特記以外、3月31日(木)最終運行、4月1日(金)廃止です。

路線バスにとって変わるのは「無料バス」?〜北陸編

●北鉄奥能登バス:大谷A線・狼煙飯田線など、珠洲市営バス:若山線など(2事業者計8路線、石川県)
・廃止区間:ずずなり館前〜町野、すずなり館前〜木の浦ほか
(3月27日〈日〉最終運行、3月28日〈月〉廃止)

 石川県珠洲市は、のと鉄道 能登線が2005(平成17)年に廃止になって以降、代替バスへのフィーダー(乗り継ぎ拠点)を積極的に整備、国土交通省から表彰を受けたこともあります。しかし2022年3月、そのモデルケースであった路線網のうち、8路線が一般路線バスとして廃止となります。

 これまでは北陸鉄道系列の北鉄奥能登バスが、珠洲市の路線バス運営を担ってきました。しかし年々深刻になる運転手(大型免許保持者)の不足と平均の収支率が約10%という利用の低迷に悩まされ、市や県が同社に拠出していた約5000万円の補助金では、損失を補填しきれない状態に陥りつつありました。

 新しく整備される市営バスは平日のみ無料で運行され、市内の2か所(狼煙・大谷)に乗り継ぎ拠点を設けつつ、ダイヤや運行ルートはほぼ引き継がれます。一般路線バスでなくなることから国や県の補助からは外れますが、代わりに小型車両の導入や、朝晩のみの利用であったスクールバスを日中に活用することなどを検討し、ランニングコストを従来のバス事業者への補助金以下に抑える見込みです。

 無料運行であればこれ以上支出が増えず、かつ路線バスの形態では行えなかった車両の運用やダイヤの変更も柔軟に行えることがメリットと言えるでしょう。しかし地域の協議会では、珠洲市の泉谷満寿裕市長が「ここまでしないと(バスを)持続できない」と語るなど、苦肉の策とも言えます。

 なお、珠洲市は近年ではアニメ化・実写化を控えた人気漫画『スキップとローファー』『君は放課後インソムニア』に相次いで登場したことで注目されつつあり、訪問者の増加も期待されます。のと鉄道の転換バスや金沢から珠洲へ直通する特急バスは引き続き運行されます。

好調な「村のタクシー」に役目を引き継ぐバス〜近畿編

●南山城村営バス:高山大河原線(京都府)
・廃止区間:松笠〜月ヶ瀬口駅前〜やまなみホール

 京都府の南東の端に位置する相楽郡南山城村は人口約2600人、高齢化は50%弱。かつての三重交通バスの路線を引き継いだ村営バスが廃止となります。2021年4月に村が新しく開始したサービス「村タク」に、バスの利用が大きく傾いたためです。

 この「村タク」は予約が必要で、利用は平日8時30分から19時まで。サービス開始当初は1台利用で村内移動が300円(のちに1人あたりに変更)で、隣の笠置町へも一人500〜800円でした。バス停留所と比べ利用できる箇所がかなり増えたとあって、1日の利用者数はバスの3〜4倍にものぼり好調を維持しています。この状況を受けた南山城村は、バスに要する年間900万円の予算を「村タク」に振り向ける決断を下しました。

 また現在、南山城村からの利用が多い東隣の笠置町も「村タク」参画に興味を示しているようです。もし自治体の壁を超えた「村タク」整備が実現すれば、南山城村・和束町・笠置町の共同運営による広域の路線バス(相良東部広域バス・JR月ヶ瀬口駅〜JR加茂駅)も含めた再編に発展するかもしれません。

 しかし「村タク」は、経費節減のため運転手の一部をボランティア(協力運転員)に頼っています。車両の購入は企業版ふるさと納税により賄えましたが、南山城村は現在、コロナ禍で村内のゴルフ場からの税収減に悩まされており、運行にかかる経費や、担い手の高齢化などの問題も残ります。

●江若バス:龍華線 近江鉄道:瀬田循環線・大江循環線(滋賀県)
・廃止区間:小野駅〜上龍華、瀬田駅〜ロイヤルオークホテル〜瀬田駅など

 いずれも大津市内の路線です。北西部を走る江若バス・龍華線は住民の要望もあり、大津市デマンドタクシー「光ルくん」路線に転換します。

“瀬戸芸”と“大門警部殉職の地”へのバスも廃止〜中国・四国編

●両備バス:宝伝久々井線 東備バス:虫明愛生園線(岡山県)
・廃止区間:西大寺バスセンター〜東宝伝、邑久駅〜愛生園など

 岡山市宝伝から瀬戸内市牛窓地区にかけての海沿いは、高台からの見晴らしもよく、瀬戸内海の多島美と夕焼けの美しさから「日本のエーゲ海」とも呼ばれています。そうした地域へ向かう2路線が廃止されます。

 風光明媚な宝伝久々井線は風情のある港町の狭隘路線としても知られ、かつ西宝伝の港から出る犬島への連絡船へのアクセスの役割の役割も果たしていました。3年に1度開催される瀬戸内国際芸術祭には、銅の精錬所跡にできた「犬島精錬所美術館」へ向かう人々も多く、このバスも賑わったといいます。ただ週末を中心に岡山駅から港への直行バスが運行されているため、アクセス手段が完全になくなったわけではありません。

 なお犬島は美術館以外にも、かつての人気刑事ドラマ「西部警察」最終回で、渡 哲也さん演じる大門警部が壮絶な殉職を遂げた場所としても知られています。

●鳥取市有償バス:西郷線・江波赤波線など(鳥取県)
・廃止区間:河原口〜北村など

 並行する日の丸自動車のバス路線の運行がない時間に運行されていましたが、地域の運転手の高齢化も廃止の原因となりました。

●美馬市営バス:穴吹木屋平線、穴吹・道の駅うだつ線(徳島県)
・廃止区間:穴吹駅前〜川上、穴吹駅前〜道の駅うだつ

 剣山への登山口として知られる旧・木屋平村へ向かう路線と、藍染の町として知られ、今でも人口1万人強を擁する旧・脇町エリアへ向かう路線が、デマンドタクシーに転換となります。

●宇和島バス:城辺久良線など3路線(愛媛県)
・廃止区間:城辺営業所〜久良公民館前〜コモズラなど

 愛媛県の南西端・愛南町の城辺バスターミナルから発着する3路線が廃止となります。

市営バス消滅から3年、進む路線の整理〜九州編

●西鉄バス:脇山線・三軒屋線・野方博多線・小倉急行線など(福岡県)
・廃止区間:天神〜金武営業所、天神〜野方、小倉〜直方など
(3月18日〈金〉最終運行、3月19日〈土〉廃止)

 西鉄バスは今回の改正で福岡市内の都市高速経由の11路線で運賃の改定を行い、同時に3路線を廃止しました。運賃に関しては、もともと一般道経由よりも割安だったものを2〜3割(上限運賃の枠組みの上限)値上げ、という、都市高速の利用料金を考えれば妥当な改正です。

 廃止路線はいずれも一般道経由のバスが多く運行されていますが、野方線、三軒屋線などはいずれも市街地でよく渋滞にかかり、営業所を始発で出るはずのバスが、まだ営業所に到着もしていない、などということも。野方・三軒屋はいずれも地下鉄空港線・七隈線の駅に近く、乗り換えを伴う経路変更を考えても良いかもしれません。

●西肥バス:水産市場線など13路線(長崎県)
・廃止区間:水産市場入口〜水産市場前、佐々役場〜見返橋など

 西肥バスは、2019年に歴史に幕を閉じた佐世保市営バス(佐世保市交通局)の流れを汲む路線について、今回のダイヤ改正で大幅な変更に踏み切りました。利用実態に合ったルート(例:楠泊江迎線で黒石地区を経由しなくなるなど)への改変や、本数の見直しなどが行われます。市営バス時代からの路線網を、いまの実態に即した改編するものといえるでしょう。

●南国交通:大口〜本城、幸田〜鹿児島空港線など6路線(鹿児島県)
・廃止区間:大口〜鹿児島空港、木場〜帖佐駅など

 南国交通は郡部の路線廃止と併せて、2020年に鹿児島市交通局から移管された明和循環線、明和線などの減便も実施します。移管時には「可能な限り3年間は減便を行わない」としていましたが、コロナ禍による乗車実績の大幅な落ち込みによって「バス事業の継続も危ぶまれる」(同社ホームページより)として、鹿児島市と協議の上でやむなく減便に至ったそうです。

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