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路線バス乗り継ぎ「大阪〜下関」全記録 乗り換え50回超の山陽路 実は「乗り得バス」多し

  • 2021年9月4日
  • 乗りものニュース

大阪駅から山口県下関市まで、路線バスで乗り継ぐと、どのようなルートが考えられるでしょうか。総計で1週間がかりの旅になりますが、瀬戸内海の絶景や人々の生活を噛みしめるように味わうことができます。

大阪から下関市・彦島まで路線バスで!

 大阪市から本州の西端、山口県下関市までは距離にして500kmほど、JR山陽本線など普通列車だけを乗り継いでも、ほぼ1日で到着します。では、路線バスだけで移動すると、どのようなルートが考えられるでしょうか。バスの車窓は、鉄道のそれとはまったく異なる眺め方・楽しみ方ができます。

 今回は、筆者(宮武和多哉:旅行・乗り物ライター)が2008(平成20)年ごろから9年近くをかけ路線バスで日本列島を縦断した際の乗車区間をもとに、その後に廃止された区間は別ルートを提示するなどのアレンジを加え、2021年8月現在の乗り継ぎルート例を紹介します。なお、有料道路を走らない路線に限定し、それぞれのバス路線は「バス事業者名またはバス愛称名」「系統名または路線愛称(存在しない場合もあり)」「乗車区間」の順に記載しています。

【大阪〜姫路 】乗り継ぎ順調? ルートを選べば1日で

・阪急バス「11」:梅田〜阪急園田(北口)
・阪神バス「22」:阪急園田(南口)〜阪神尼崎(北口)
・阪神バス「尼崎芦屋線」:阪神尼崎(南口)〜阪神西宮
・阪神バス「西宮神戸線」:阪神西宮〜三宮駅前
・神戸市営バス「7」:三宮駅前〜神戸駅前
・神戸市営バス「95」:神戸駅前〜新長田駅前
・神戸市営バス「81」:新長田駅〜須磨一の谷
・神戸市営バス「75」:須磨一の谷〜妙法寺駅前
・神戸市営バス「73」」妙法寺駅前〜名谷駅
・神姫バス「14」:名谷駅〜明石駅
・神姫バス「1」:明石駅〜土山駅
・神姫バス「2」:土山駅〜上新田北口
・神姫バス「15」:上新田北口〜加古川駅
・神姫バス「54」:加古川駅〜鹿島神社
・神姫バス「21」:鹿島神社〜姫路駅(北口)

※明石駅〜姫路駅は以下の乗り継ぎでも可能。
・神姫バス「36」明石駅〜社営業所
・神姫バス「71」社営業所〜姫路駅(北口)

 旅の出発点は、JR大阪駅「御堂筋口」から道路を渡った百貨店前の阪急バス乗り場。北東側に大回りする「22系統」に乗車します。神崎川を越えて尼崎市内に入り、阪急神戸線の園田駅から阪神尼崎駅へ向かい、そこから神戸市内に乗り継ぎます。

 かつては大阪から尼崎市に向かうルートは数多く存在しましたが、2019年には100年近く運行を続けた阪急バス「加島線」の廃止で加島橋経由のルートが途切れており、以前は頻繁に運行されていた阪神電鉄の路面電車の代替バス「野田杭瀬甲子園線」も、今や1日1往復のみ。この園田駅行きも近年では本数減少や大阪市内の区間短縮が目立ちます。とはいえ、阪神尼崎駅まで出れば、あとは国道2号線沿いのバスで順調に神戸の三宮に到達することができます。

 神戸駅からは妙法寺・名谷の山岳部経由で明石市に抜けますが、ここで北側に遠回りして神姫バスの社(やしろ)営業所(加東市)経由で姫路に向かうか、西側に土山駅、加古川駅、鹿島神社、姫路駅と乗り継ぐかの選択を迫られます。加古川経由の後者のほうが距離は圧倒的に近く、「アマビエ御朱印」で知られる鹿嶋神社の銀色の鳥居を眺め、名物のかしわ餅を頬張りながらバスを待つことができますが、4回の乗り換えと運転本数の少なさもあって時間がかかるため、前者を選択しないと初日中に姫路市内にたどり着けません。

【姫路〜岡山】難易度上がる県境越え

・神姫バス「39」:姫路駅(北口)〜龍野
・ウエスト神姫「50」:龍野〜新宮駅
・ウエスト神姫「20」:新宮駅〜テクノ中央
・ウエスト神姫「30」:テクノ中央〜上郡駅
・ていじゅうろう(東備西播定住自立圏域バス)「上郡ルート」:上郡駅〜赤穂市民病院
・ていじゅうろう(東備西播定住自立圏域バス)「備前ルート」:赤穂市民病院〜吉永病院
・備前市営バス「吉永線」:吉永病院前〜片鉄片上
・宇野バス「国道2・250号線」:片上〜岡山駅(西口)

 姫路駅からは乗り継ぎの難易度が上がります。放射光研究施設「spring-8」などを擁する「播磨科学公園都市」から西側は、バスの本数が目に見えて減り、テクノ中央〜上郡駅は2事業者(ウエスト神姫・たつの市てくてくバス)で1日3往復、そこから赤穂市内までは2社(ウエスト神姫・ていじゅうろう)で1日2往復。しかも朝晩のみ・ほぼ平日のみとなっているうえ、バス停も事業者ごとにバラバラでわかりづらい箇所も。連続して乗り継ぐ場合、姫路から岡山県に入るまでの区間は余裕を見たほうが良いでしょう。

 兵庫県から岡山県に入ってすぐ、三石、吉永などの街は岡山県備前市に属していますが、もともとは「和気郡」だった地域で、2020年のM-1グランプリ決勝で漫才コンビ「見取り図」リリーさんが披露したネタで一気に知名度を上げました。リリーさんの故郷である和気町の手前で南に進路を変え、備前市の中心街・片上での乗り継ぎを経て岡山市内へ向かいます。

 岡山方面へのバスが出る「片上」バス停はもともと、1991(平成3)年に廃止された同和鉱業片上鉄道の終着駅があった場所で、市営バスの路線も、もともと同社のバス部門が源流であるためか、いまだに停留所名が「片鉄片上駅」から変更されていません。ただ、この地域でバスを運行していた「日生運輸」が2015(平成27)年に路線バス事業から撤退した際は、片上〜和気間のバスが廃止(その後に復活)など、周辺のバス事情は大規模な変更を余儀なくされました。そのなかで乗り継げる路線が残ったのは、ある意味奇跡ともいえます。

 片上のバス乗り場前には、片上鉄道時代の駅前ロータリーやタクシー駐車場、その奥には鉄道線の0kmポストも残り、海沿いの石積みに名残を残す貨物ヤード跡は「マックスバリュ備前店」「エディオン備前店」などに活用されています。 鉱石を満載した貨車で賑わっていた頃を思い浮かべながらのお買い物はいかがでしょうか。

【岡山〜福山】ついに遭遇する路線バス空白区間

・両備バス「岡倉(旧2号)線」:岡山駅(西口)〜倉敷駅前
・両備バス「倉敷小溝線」:倉敷駅前〜倉敷芸科大学
・両備バス「新倉敷・芸科大線」;倉敷芸科大学〜新倉敷駅
・井笠バスカンパニー 「新倉敷〜玉島協同病院〜寄島線」:新倉敷駅〜寄島総合支所前
・寄島タクシー「寄島〜里庄線」:寄島総合支所前〜里庄駅
(里庄駅〜今井入口、徒歩1.3km)
・井笠バスカンパニー「今井循環線」:今井入口〜笠岡駅前
・井笠バスカンパニー「笠岡〜福山線」:笠岡駅前〜福山駅前

 岡山市内から国道2号線沿いにJR倉敷駅へ、そこから山陽新幹線の新倉敷駅を経て山陽本線の里庄駅まで出ることができますが、ここでバス路線は途切れ1.3kmほどの徒歩区間が生じてしまいます。

 この地域は、バス事業者だった井笠鉄道が2012(平成24)年に突然、事業撤退(直後に破産)したあと、バス路線が激減した経緯があります。かつては新倉敷〜笠岡駅間をバスで乗り継ぐルートも「寄島・乗時経由」「寄島・里庄経由」「矢掛経由」などと複数の選択肢があったものの、廃止代行扱いの「80条バス」(道路運送法第80条に基づいた「やむを得ない場合」に運行される)などを経て発足した後継会社「井笠バスカンパニー」は膨大な路線網を引き継ぎきれず、多くの路線が姿を消しました。いまも沿道にはバスベイ(停留所の設置スペース)などが使われないまま残り、朽ち果てた時刻表がついたまま山間部に残されたバスポールが、2016(平成28)年に放映されたテレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」出演者のバス路線探しを混乱させる一幕もありました 。

 笠岡駅からは集落内の道路がクランク状に曲がる金浦経由の「笠岡〜福山線」に乗車して、いよいよ広島県福山市に入ります。

【福山〜広島〜岩国】ぜひ寄り道したい海沿いルート!

●福山〜広島
・トモテツバス「尾道線」:福山駅前〜尾道駅前
・おのみちバス「市内本線」:尾道駅前〜鳴滝登山口
・トモテツバス「福地線」:鳴滝登山口〜三原駅
・芸陽バス「三原・竹原線」:三原駅〜竹原駅
・芸陽バス「安芸津・西条線」;竹原駅〜西条駅
・芸陽バス「西城・広島線」:西条駅〜広島バスセンター

※福山駅前〜尾道駅前 鞆の浦寄り道コース
・トモテツバス「鞆線」:福山駅前〜鞆車庫前
・トモテツバス「沼南線」:鞆車庫前〜松永駅南口
・おのみちバス「尾道工業団地線」:松永駅南口〜尾道工業団地
・おのみちバス「尾道工業団地線」:尾道工業団地〜尾道駅前

 広島県福山市から西側への移動は尾道方面へのバスで直行してもよいですが、ここで海沿いの鞆(とも)方面への寄り道はいかがでしょうか。映画「崖の上のポニョ」のモデルともなった鞆の浦の街並みが広がっているだけでなく、鞆から松永方面へ向かうトモテツバス「沼南線」は全国有数の狭隘路線として知られ、次から次へとやってくる対向車とすれ違うドライビングテクニックは眺めているだけでも呼吸を忘れるほど見事です。

 三原から竹原方面は本数が少ないので、時間があれば、芸陽バス「本郷線」で紅葉の名所・佛通寺(ぶっつうじ)に立ち寄るのも良いでしょう。また竹原ではドラマ「マッサン」のモデルとしても知られる竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)の生家近くを通りつつ、山陽本線の西条駅で乗り継いで広島市の中心街・紙屋町にある「広島バスセンター」に到着します。

●広島〜岩国
・広電バス「55」:広島バスセンター〜阿品台北
・広電バス「16」:阿品台北〜広電阿品駅
・おおのハートバス「東西横断ルート」:広電阿品駅〜玖波駅
・こいこいバス(おおたけ幹線バス):玖波駅〜大竹駅
・岩国市生活交通バス「坂上線」:大竹駅〜鮎谷

 広島県東部は比較的スムーズに乗り継げますが、西部では一挙にバス路線が少なくなります。これは広島湾西部(阿品・宮島など)で海岸線沿いの平坦な陸地がとても狭く、国道経由のバスが山陽本線・広島電鉄宮島線と競争を余儀なくされて早期に撤退したような事情もあります。その代替で設定された「おおのハートバス」は、坂の上の住宅街と駅を何度も上り下りする路線で、生活路線にもかかわらずその車窓はなかなかのものです。

 バスルートは、広島県の西端・大竹市から小瀬川を20kmも遡って山口県岩国市鮎谷まで回り込みますが、直線で進みたければ大竹駅から川を越えて1.5kmほど歩き、JR和木駅(山口県和木町)にて、いわくにバス「和木上迫線」に乗り換えましょう。

【岩国〜下関】東西約150kmの山口県 その割に乗り継ぎ少ない?

・岩国市生活交通バス「松尾線」:鮎谷〜岩国駅前
・防長交通:岩国駅前〜徳山駅前
・防長交通:徳山駅前〜防府駅前
・防長交通:防府駅前〜新山口駅(表口)
・宇部市交通局「新山口線」;新山口駅(表口)〜宇部中央
・サンデンバス「国道線」:宇部中央〜下関駅前
・サンデンバス「竹の子島線」:下関駅前〜竹の子島(彦島の最西端)
※九州方面へは、サンデンバス国道線の「御裳川(みもすそかわ)」バス停下車、関門人道トンネルで北九州市門司・和布刈地区へ。

 JR岩国駅から西へ向かう鉄道路線は、海まわりの山陽本線、そして山陽本線の短絡線として作られたものの、勾配が険しくローカル線に格下げになった岩徳線の2本があります。岩国から徳山に向かうバスはその後者、岩徳線沿いの国道をひた走り、蒸気機関車が悪戦苦闘した「欽明路峠」を、こちらも連続するヘアピンカーブをウネウネと下りていきます。

 このあと山口県内では所要時間にして60〜120分のロングラン路線が続き、乗り継ぎもかなりスムーズです。全国では消えた「都市間の路線バス」が、山口県内では高確率で残っているのです。

 山口市の阿知須では、地域の中心となるスーパーの軒先までバスが入ります。宇部では交差点一帯が実質的なバスターミナルとなっている「宇部中央」での乗り継ぎに注意しましょう。

 下関市内に入ると、バスが通る国道2号線は道幅・路側とも一挙に広くなります。これは下関市長府から下関駅方面に「山陽電気軌道」の路面電車が走っていた名残りで、いまもバスは社名変更した「サンデン交通」によって運行されています。西側へひた走るバスの窓にはやがて、関門海峡を通過するタンカ〜がほぼ絶える事なく行き交い、直線距離にして2kmほどの九州・和布刈(めかり)地区がその向こうにはっきりと見えてきます。

 本州で旅を完結する場合、下関駅で終点にしてもよいですが、どうせならその先まで。本州と橋でつながっている彦島をひた走り、そのさらに西に浮かぶ竹ノ子島へ通じる橋のたもとまでバスが出ています。

※ ※ ※

 なお、乗り継ぎおよそ50回におよぶ今回のルートは、1週間ほどかかります。

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