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鼻先どうした!? コックピット2段構え 異形すぎる米空軍機なぜ作られた 実は発展の功労者

  • 2021年7月22日
  • 乗りものニュース

飛行機の鼻先、コックピットの前方に、もうひとつコックピットが張り付いたような飛行機をアメリカ空軍が使っていたことがあります。あまりに特異な形状の飛行機、なんのために作られたのでしょうか。

鼻先伸びた異形の航空機が生まれたワケ

 一般的に飛行機のコックピット(操縦室)はひとつです。軍用機などでは、操縦席のさらに前方に航空士(ナビゲーター)席があるものも存在しますが、アメリカ空軍にはなんと、飛行機の鼻先すなわち機首に、もうひとつのコックピットが張り付いているという、奇妙な機体がありました。

 その名は「NC-131H」。一見すると“珍機”という言葉がピッタリの機体ですが、同機はその外観とは裏腹に、ステルス戦闘機や大型輸送機、戦略爆撃機、果てはスペースシャトルの開発にまで大きく関わる重要な任務を帯びた機体でした。

 そもそも、2021年の現在でこそ航空機のかなりの部分はコンピューター・シミュレーションで再現できるようになっており、それこそフライトシミュレーターでは、世界各国の様々な航空機の挙動を実機さながらに行うことが可能になっています。

 しかし、今日ほどコンピューターが発達していなかった時代には、実機を飛ばすことで記録を取るしかありませんでした。とはいえ、実機を作るのには相応のコストがかかるため、無尽蔵にプロトタイプ(試作機)を作るわけにはいきません。その点、もし1機で様々な飛行試験を行える機体があれば、非常に効率化できます。航空技術者にとっては夢のような機体、それがNC-131Hだったといえるでしょう。

原型は民間旅客機のコンベアCV240

 NC-131Hは、本格的なプロトタイプを製作する前に、航空機がどのような挙動を示すか、どのような操縦特性を見せるかを研究するために作られました。

 元になったのはコーネル大学の航空研究所が手掛けていた飛行特性の再現技術で、これにアメリカ空軍が着目、実機へ搭載し、実用化した形です。

 用いられたのは、コンベア社製のC-131「サマリタン」輸送機でした。同機は民間機として開発されたコンベア「CV240」レシプロ双発旅客機を軍用機として転用したもので、高級将校を始めとしたVIP(要人)や戦傷者の空輸などに用いられていました。

 そのうちの1機をベースに、アメリカ空軍の飛行力学研究所(AFFDL)が所要の改造を施す形で1960年代後半に製作したのがNC-131H。なおエンジンは、原型のC-131(CV240)では出力2500馬力のプラット・アンド・ホイットニー製レシプロエンジン「R-2800」を搭載していましたが、近代的かつ強力な4368馬力のアリソン製ターボプロップ・エンジン「T56」に換装されています。

 機首周りの異形さに目が奪われますが、実は左右の主翼の中程に設けられた垂直板とその外側の前縁フラップ、これが飛行特性を再現するのに重要なポイントでした。この部分をコンピューターを介して動かすことで、1機で様々な飛行機の飛び方を再現できるようになっていました。

 その“再現座席”が、機首に突き出た第2のコックピットといえる操縦席だったのです。

NC-131Hが開発に関わったメジャー機とは

 NC-131Hは1970年に初飛行に成功、「TIFS(Total In-Flight Simulator)」とも呼ばれました。

 TIFSとして最初に使われた研究プロジェクトはB-1「ランサー」爆撃機でした。B-1の飛行特性をシミュレートし、実機へとフィードバックするのに貢献。その実績から以後、X-40およびノースロップ「タシットブルー」といった技術実証機から、B-2爆撃機ならびにYF-23試作戦闘機などのステルス機、C-17大型輸送機、さらにはスペースシャトルまで含む、多くの空軍・NASA航空機の飛行特性をシミュレートしたといいます。

 ほかにも民間機の開発プロジェクトにおいて、ボーイングの超音速旅客機(SST)、マクドネル・ダグラスMD-12X大型旅客機、インドネシアのIPTN N-250双発旅客機などで研究開発に協力。さらに多くのテストパイロットを養成するのに用いられました。

 ただ、前述したように、コンピューター・シミュレーションが発達し、フライトシミュレーターなどで代用できるようになったことから、NC-131Hの必要性が大幅に低下。結果、退役し2008(平成20)年11月7日にアメリカ空軍博物館へ移管されました。

 ジェットコースターなどでは、一番前の席はスリルを求める来場客に人気があるため、もしNC-131Hで遊覧飛行が可能ならば人気を博すかもしれません。

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