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旅客便「コードシェア」ってナニ? コロナ禍で再注目「航空業界の革命児」になった過去

  • 2021年6月17日
  • 乗りものニュース

ANAとピーチが開始することで注目が集まる「コードシェア」、これはどういったものなのでしょうか。利用者にとっては悩みのタネともなりえるこの概念、歴史を振り返ると、さまざまな革命を起こしています。

ANA/ピーチが開始することで注目される「コードシェア」

 2021年6月、ANA(全日空)とLCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションが、成田空港と中部空港を発着する一部路線で、「コードシェア」を開始すると発表しました。この、コードシェアとは一体どのようなものなのでしょうか。

 この「コードシェア」の一般的な概念を一言で言うと、「ある旅客便の一部の座席を、別なエアラインが買い取り、独自で販売する」ことを指します。このとき、飛行機を始め乗員なども、運航会社のリソースが用いられるのが一般的です。先述の例では、ピーチが運航する一部便の座席を、ANAが販売するというスタイルです。

 たとえば、出発ロビーの電光掲示板で、自分の搭乗する便のゲートや出発状況などを確認する際、ある便の表示の周辺に、同じ行先や出発時刻で、他社の便名が記載されていることがあります。これが、コードシェアです。

 現代のコードシェアでは、1社だけでは座席を満席にできない路線や便における搭乗率向上などが期待されます。また、ネットワークの拡充という面においてもメリットが。こうした共同運航は、新規路線に参入したい航空会社が、地上設備や人員などのコストをかけずに就航できるほか、海外の航空会社が他国の国内線を運航できない(カボタージュ)規制のなかで、この仕組みにより他国の国内線に自社便名を付与することができる――などなど、航空会社にとって、強力な戦略のひとつになっているといえるでしょう。

「コードシェア」という現代にも通じる用語が生み出されたのは、1989(平成元)年から翌年にかけてです。オーストラリアのカンタス航空と、アメリカン航空が、2国間のネットワークを拡大すべく提携関係を結んだのが始まりです。2社のコードシェア便は、1990(平成2)年から開始されています。

 ただ、コードシェアという名称の提携関係が始まる以前にも、「共同運航」という概念は存在していました。共同運航の発祥は、1967(昭和42)年。アメリカのアレゲニー・エア(のちにUSエアと改称)が、地方のコミューター航空と提携したことと記録されています。

「コードシェア」の元祖となった運航方式とは?

 共同運航便は利用者にとってはメリットばかりではありません。乗り入れターミナルやチェックインカウンターの場所に迷う、国内航空会社ならではのサービスを受けられないなどの憂き目に遭遇することもあります。

 一方で、長い目で見ると、共同運航という形式が、航空会社の歴史上で重要な意義をもらたしたことも。日本国内における共同運航便の歴史のなかで、ある意味伝説ともいえるものがありました。

 それは1967(昭和42)年、旧ソ連のアエロフロートとJAL(日本航空)が運航開始したモスクワ〜羽田線です。

 この初便の使用機材は、日本の国内では珍しい二重反転プロペラを装着した四発ターボプロップ機のツポレフTu-114でした。なお、これはコードシェアの普及以前に主流であった共同運航の形態のひとつである「ジョイント・オペレーション」というもの。飛行機とパイロットはアエロフロート、そしてCA(客室乗務員)は2社のスタッフが半分ずつ乗務し運航されていたそうです。そして、このユニークな機には、JALのトレードマーク「鶴丸」があしらわれました。

 この路線は、日本と欧州をつなぐ路線で、はじめて「シベリア・ルート」が使われたことで知られています。これはその名のとおり、シベリアの上空を飛行するルートですが、この路線の開設までは、旧ソ連の領空の制限によりここを飛ぶことができなかったのです。東西冷戦下の日ソ共同運航ということで、これが解禁され、欧州まで距離も時間も最短で飛ぶことができた、という意味では、まさにこの共同運航の開始は戦後航空史における「鉄のカーテン」をやぶるような、革命的な出来事だったと言えるでしょう。

現在のコードシェアの状況 コロナ禍で変化も?

 時は下り、2021年現在では先述の通り、コードシェアの動きは広がり続けています。

 冒頭のピーチとANAのような「LCC運航便をフルサービスキャリアがコードシェア」というのは、ジェットスター・ジャパンとJALも成田、関西空港発着便などで実施しており、ここでは、ジェットスター便がJAL国際線からの乗継便としての役割も担っています。

 航空会社は、世界的な規模でグループを組みマイレージの提携などを行う「航空連合」に属していることが多く、コードシェアもこの同じ連合内の会社で提携されることが一般的です。たとえばJALは「ワンワールド」、ANAは「スターアライアンス」という連合に属しており、JALであれば同じ「ワンワールド」のアメリカン航空やブリティッシュエアウェイズと、ANAであれば同じ「スターアライアンス」のユナイテッド航空やシンガポール航空とコードシェアするいった具合です。

 ただ、連合加盟前の提携関係や、連合内に希望する行き先が無いなどの理由から、連合外の会社ともコードシェアを組むようになっています。「ワンワールド」のJALが「スカイチーム」に所属するエール・フランスや大韓航空と、「スターアライアンス」のANAが「スカイチーム」に所属するアリタリア航空と共同運航するといったものです。

 今後は国内ローカル線において、JALとANAが共同で、地域航空会社とコードシェアを始めるといった報道も一部で出ています。新型コロナウイルス感染拡大で、コードシェアを取り巻く事情も、もっと変わるのかもしれません。

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