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エアバスよくぞ復元した! 80年の時を超えた「大西洋の疫病神」Fw200 日本にもゆかり

  • 2021年6月5日
  • 乗りものニュース

エアバスが80年の時を経て復元したドイツ産のフォッケ・ウルフFw200「コンドル」。この飛行機はどのようなものだったのでしょうか。ハイスペックゆえの記録、日本との関わりなどを見ていきます。

当時としては卓越した長距離飛行を実現

 ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスがドイツのベルリンで、約80年前の4発プロペラ機を復元させ、展示を始めています。ドイツ産のフォッケ・ウルフFw200「コンドル」です。この飛行機は歴史的価値も極めて大きく、日本にもゆかりのあるものです。

 Fw200は、1937(昭和12)年に初飛行。第2次世界大戦時、ヒトラーが愛用していた専用機『インメルマンIII』としても知られており、ハンス・バウア―というヒトラーお抱えのパイロットが操縦していたほか、同国の空軍で採用されるなど、どちらかというと軍事色の強いモデルとして知られています。

 ただその出自は、いわば当時の「超ハイスペックな旅客機」でした。

 Fw200は本来、ルフトハンザ航空向けに開発されました。その強みは長距離飛行性能にあり、いくつかのドイツからの都市間飛行記録を達成しています。

 そのひとつは、1937年に実施されたニューヨークへの無着陸飛行です。距離は6000km以上でした。

 ルフトハンザ・ドイツ航空で使用された試作1号機改造型Fw200S1「D-ACON」"ブランデンブルク“号は、ベルリンのシュターケン空港から、ニューヨークのフロイド・ベネット飛行場まで、25時間で飛行しました。ちなみに平均速度は255km/hだったそうです。帰りはフロイド・ベネット飛行場からベルリンのテンペルホフ空港までの飛行で、20時間を切って戻ってきますが、これは偏西風の影響でしょう。これらの記録は、国際航空連盟の区間世界記録として登録されました。

 同じ年、"ブランデンブルク“号により、ドイツから日本への飛行も実施されました。このときは、さすがに無着陸では難しく、途中、バスラ、カラチ、ハノイの3か所で給油し、約1万4000kmを47時間ほどかけて立川飛行場に到着します。帰りは46時間少しで、平均速度は時速192kmだったそう。その年末にはフィリピンのマニラまでの長距離飛行も実施しています。

日本と関わり 軍用への転身の顛末

 先述のドイツから日本へのフォッケ・ウルフFw200のフライト、実は日本への売り込み飛行でした。

 このころ、旧日本海軍が大型爆撃機としてドイツ・ユンカース社のJu90四発機を購入する予定でした。このとき現地に三菱重工が派遣されたものの、契約が成立せず、Fw200に機種を変更し、その一環としてこのフライトが実現したそうです。

 旧日本軍では、国内で大型の飛行機開発の経験が不足していたことから、Fw200を5機購入。ライセンス生産を念頭に置いていたとも思われますが、これは実現していません。実際に、試作10号機であるFw200V10は、哨戒爆撃機として旧日本海軍が購入契約していたものの、欧州の戦局などから日本へ到着することはありませんでした。もし実現すれば、「零式哨戒機」とでもなっていたのかもしれません。

 本来旅客機としてデビューしたFw200は、その後、欧州大戦のさなか、航続力と搭載量を買われて哨戒爆撃機としてドイツ空軍に採用されました。当時ドイツが注力していたアメリカとイギリスの大西洋における海運を遮断する作戦に使用するためです。欧州戦役の勃発にともない、1939(昭和14)年末から北海のイギリス艦隊攻撃に使用され、その後は商船への直接攻撃にも参加します。ドイツ海軍Uボートによるウルフパックの眼としてその能力を活かし、「大西洋の疫病神」と呼ばれたそうです。

 ただ本来、旅客機として開発された機体であるため、耐弾装備はないうえ、被弾回避運動に対する強度も持ち合わせておらず、胴体が折れた事例もあったそうです。そのため、結局は輸送任務に戻されてしまいました。発展型として、準軍用型の「Fw300」や、設計者の名前クルト・タンクを呼称として採用し、エンジンを6基に増やした派生系「Ta400」も計画されましたが、実現には至りませんでした。

 ハナシを冒頭に戻すと、今回エアバスから発表された機体は、1999(平成11)年にノルウェーのトロンデン・フィヨルドの淡水中で発見されたもの。修復作業は2003(平成15)年から開始され、やっとエアバス社のブレーメン工場で完成したものです。なんとなく、鼻先のカタチが、エアバスの最新鋭機「A350」にも似ている気がします。

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