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「ムーミン」「クマイチ」に「パイパイ」? 鉄道ファンが好んで使う愛称の数々

  • 2021年4月4日
  • 乗りものニュース

鉄道車両には鉄道会社が公式に付ける愛称だけでなく、鉄道ファンが独自で付ける愛称があります。その愛称は見た目からだったり製造番号からだったりと様々です。一部は鉄道ファンだけでなく一般にも浸透しています。

愛称は蒸気機関車から

 JR貨物が公募によりEF210形電気機関車に「ECO-POWER 桃太郎」、EH200形電気機関車に「ECO POWER ブルーサンダー」、EH500形電気機関車に「ECO-POWER 金太郎」、DF200形ディーゼル機関車に「ECO-POWER RED BEAR」とそれぞれ愛称を付けていますが、たくさんある鉄道車両には、鉄道ファンのあいだで独自の愛称が付けているケースもあります。

 古くは8620形蒸気機関車を「ハチロク」、D51形蒸気機関車を「デゴイチ」「デコイチ」と呼んだりしています。D51形の半流線形については煙突から給水温め器にかけてカバーで覆われていることから「ナメクジ」(D51形22号機と23号機は「スーパーナメクジ」)、前面が流線形のEF55形電気機関車は見た目から「ムーミン」「カバさん」、主に東北地方で使われたED75形電気機関車は「赤ベコ」です。

 鉄道ファンによる鉄道車両の愛称は数多くあります。ここでは国鉄・JRの車両の一部を紹介します。

車両形式名での愛称

●「ゴハチ」「ゴッパー」「パーイチ」
 車両形式名の数字を読んだもので、「ゴハチ」「ゴッパー」はEF58形電気機関車やキハ58系気動車が該当します。「パーイチ」はEF81形電気機関車です。「ゴナナ」=EF57形電気機関車や、「ロクヨン」=EF64形電気機関車といった呼び方もあります。

●「デデゴイチ」「デラックスデゴイチ」「ダメデゴイチ」
 先ごろ、JR貨物で定期運用を終了したDD51形ディーゼル機関車に対する俗称です。アルファベットの最初の「D」を「デ」や「デラックス」「ダメ」といった読み方に変えたもので、ベースはD51形蒸気機関車の「デゴイチ」となります。

●「デーテン」
 DE10形ディーゼル機関車のことです。「E」の発音を省略し、「10」は英語読みに変換しています。

●「後藤さん」
 0番台では「ECO-POWER レッドサンダー」の愛称を持つEF510形電気機関車のことです。「510」を「5(ゴ)」と「10(トウ)」に分けて「後藤さん」。しかし、EF210形電気機関車を「ニトウさん」と呼ぶことは稀です。

特定番号機での愛称

 鉄道車両のなかには同一形式でも塗装が異なっていたり、形態に違いがあったりします。以下の愛称は特徴ある車両を製造番号の数字から名付けたものです。

蒸気機関車

●「ヨンキュッパ」
 JR東日本が最初に動態復元した蒸気機関車で、1988(昭和63)年12月23日に「オリエント急行'88」をけん引して復活を遂げたD51形498号機です。

電気機関車・ディーゼル機関車

●「クマイチ」「ニーナ」
「クマイチ」とは901号機のことです。「キューマルイチ」→「クマイチ」となったようです。901号機は試作機で、JR貨物のDF200形ディーゼル機関車やDD200形ディーゼル機関車、HD300形ハイブリッド式機関車、EF210形電気機関車、EH200形電気機関車、EH500形電気機関車の901号機に対して呼んでいます。

「ニーナ」はEF66形電気機関車の27号機。唯一残ったEF66形0番台で、国鉄時代の塗装であることから人気となっている機関車の1両です。

●「パイパイ」
 EF81形電気機関車の81号機です。同機はお召列車をけん引したこともあり、その際に車体側面に銀色の帯を入れていました。一時期、81号機は赤い車体に流星を描いた「北斗星色」となりましたが、2014(平成26)年8月に車体色をローズピンクに戻して車体側面に銀帯を入れ、かつてお召列車をけん引した時の姿となっています。

●「キューゴー」「セントーク」「ゲッパ」
「キューゴー」はEF81形95号機、「セントーク」はEF65形1019号機、「ゲッパ」はEF65形1118号機のことで、いずれも欧風客車「スーパーエクスプレスレインボー」(既廃車)にあわせた塗装が特徴です。しかし、現存するのはEF81形95号機のみとなっています。

●「Pトップ」「セントップ」
「Pトップ」はEF65形501号機。EF65形500番台には旅客(Passenger)形と貨物(Freight)形がありますが、同機は旅客形のトップナンバーであることから呼ばれます。「セントップ」はEF64形1001号機とEF65形1001号機のことで、1000番台のトップナンバーであることが由来です。

 このほか、欧風客車「ゆうゆうサロン岡山」(リニューアル後は「ユウユウサロン岡山」)にあわせた塗装のEF65形123号機を、ファンのあいだでは「ヒフミ」と呼んでいました。

EF58形電気機関車の特定番号機といえば?

 EF58形電気機関車は、客車列車の特急「つばめ」やブルートレイン、さらにお召列車のけん引実績もあることで高い人気を誇る機関車です。そのため、主に5両の特定番号機に愛称があります。

●「ロクイチ」「パック」
 EF58形電気機関車の特定番号機「ロクイチ」「パック」は、EF58形電気機関車の61号機と89号機です。61号機は60号機とともにお召列車をけん引する指定機としてデビューした、絶大なる人気を誇る電気機関車。ほかのEF58形とは異なり、銀色の飾り帯が前面だけでなく側面にも配されているのが特徴です。「ロクイチ」はEF61形電気機関車の意味もありますが、多くのファンは「ロクイチ」をEF58形61号機に対して呼んでいます。

「パック」こと89号機は、EF58形が次々と廃車になっていくなか、前面窓の上にツララ切りを装備していたことから、1984(昭和59)年の廃車は免れ、1999(平成9)年10月に廃車となるまで使われました。現在は「鉄道博物館」(さいたま市大宮区)で展示されています。

●「ゲニニ」「イゴマル」「イゴナナ」
「ゲニニ」は122号機、「イゴマル」は150号機、「イゴナナ」は157号機で、3機ともにJRに引き継がれた、あるいは復活したEF58形電気機関車です。122号機と157号機はJR東海、150号機はJR西日本に所属して使用されましたが、現在は3両とも廃車。157号機は「リニア・鉄道館」(名古屋市港区)、150号機は「京都鉄道博物館」(京都市下京区)に保存されています。

交流用電気機関車の特定番号機

 次はED75形交流用電気機関車の特定番号機です。

●「セブンオーセブン」「セブンイレブン」
 ED75形700番台の707号機と711号機です。両機とも和式客車「オリエントサルーン」をけん引する指定機ということで、車体を「オリエントサルーン」と同じ塗装として金色の帯を巻いていました。一時期は767号機も「オリエントサルーン」塗装となりましたが、「セブンシックスセブン」と呼ぶことはあまりなかったようです。707号機と711号機は廃車となっています。

●「スリーセブン」「トリプルセブン」
 こちらはED75形777号機です。製造番号がゾロ目ということで鉄道ファンに人気がある機関車です。いまではED75形が所属するのはJR東日本のみとなり、777号機は秋田車両センターに配置されています。秋田車両センターには767号機も配置されているほか、仙台車両センターには757号機が配置されています。

●「センザンク」
「センザンク」はED75形1039号機のことです。同機は高速貨物列車や20系客車のけん引に対応したED75形1000番台のラストナンバー車で1976(昭和51)年に登場。ED75形として最後に落成した機関車でもあります。1987(昭和62)年4月のJR化でJR東日本の所属となりましたが、2001(平成13)10月にJR貨物へと譲渡されました。

 その後、JR貨物がEH500形の投入を開始したことでED75形は徐々に数を減らしていきます。同機は数少ない原色の機関車ということでファンのあいだで人気が出るようになりました。さらに、何度か休車になったものの都度復活したということも人気の一因でした。2010(平成22)年6月ごろにも休車になりましたが、台車の検査を受けて2011(平成23)年3月3日に試運転を行って復活しています。

 しかし、復活してからわずか8日後の3月11日、東日本大震災により常磐線を走行していた同機は浜吉田〜山下間で津波の被害を受け、後に現地で解体されています。

ディーゼル機関車の特定番号機

 ディーゼル機関車の特定番号機にも愛称があります。

●「ナシゴ」「ナクイチ」
「ナシゴ」はDD51形ディーゼル機関車の745号機で、前照灯を増設した3灯スタイルが特徴でした。

「ナクイチ」はDD51形791号機。JR東海の欧風客車「ユーロライナー」(既廃車)にあわせた濃淡ブルーの塗装で人気を博していました。

車両の見た目から付いた愛称

 古くはキハ80系気動車の先頭車キハ81形を、そのスタイルから「ブルドック」と呼んだように、見た目からファンが名付けた愛称もあります。

●「カモノハシ」
 先頭形状がカモノハシのくちばしに似ていることから、700系新幹線電車に付いた愛称です。

●「ドクターイエロー」
 古くは東海道・山陽新幹線の事業用車である921形新幹線電気軌道総合試験車、いまでは923形新幹線電気軌道総合試験車に対する愛称です。車体が黄色で架線や線路などの検査を行うことから名付けたもので、「カモノハシ」とともに鉄道ファンだけでなく広く一般にも浸透しています。

●「フリーザ」
 JR東日本長野支社で2007(平成19)年から2017(平成29)年まで主に団体臨時列車用として使われた485系特急形電車改造の「彩(いろどり)」のことです。改造に際して前照灯と後部標識灯を収めた形状が、漫画『ドラゴンボール』に登場するキャラクター「フリーザ」の目や色と似ていることから呼ばれていました。

●「メルヘン顔」
「メルヘン顔」とは、京葉線と武蔵野線に新製投入された205系電車の前面デザイン変更車です。愛称の出自は不明ですが、可愛らしさを表現するために「メルヘン顔」と名付けたのかもしれません。京葉線では167系電車による快速「メルヘン舞浜号」「メルヘン大宮号」「メルヘン立川号」「メルヘン宇都宮号」が運転されたことがありますが、これらの列車に205系電車は使用されていません。

●「食パン電車(食パン列車)」
 主に419系近郊形電車を指します。客車列車の電車化を目的として余剰となっていた581・583系特急形電車を改造した車両で、中間車のモハネ583形から先頭車化改造したクモハ419形とサハネ581形から先頭車化改造したクハ418形は前面が切妻(平面)となっています。その形状が六角形となったことで「食パン」を連想させたためです。同様に、581・583系電車を改造した715系近郊形電車のクハ715形100番台・1100番台、クハ714形0番台の先頭部も切妻となっています。

車両の運用や塗装などからも

●「押太郎」
 山陽本線の瀬野〜八本松間(通称「瀬野八」)は急勾配であることから、山陽本線の上り貨物列車に後補機を連結していますが、JR貨物がEF67形電気機関車の置き換え用として投入したEF210形電気機関車の300番台を「押太郎」と呼んでいます。EF210形「桃太郎」が「後ろから押す」ということで「押太郎」ということです。

●「死神」
 JR東日本長岡車両センターに所属するEF64形電気機関車の1030・1031・1032号機を指します。この3両は、横方向に回転させて自動連結器と密着連結器を使い分けることができる双頭連結器を装備し、新製した電車を輸送するだけでなく、廃車となった電車を工場(車両センター)へと送り届ける役割も持つことから付けられた愛称です。

●「カシ釜(ガマ)」「トワ釜(ガマ)」「銀釜(ガマ)」
「釜(カマ)」とは本来「罐」(ボイラー)で、蒸気機関車に対する愛称でしたが、いまでは機関車全般に対して使われています。

「カシ釜(ガマ)」は寝台特急「カシオペア」のけん引用に塗装変更したEF81形電気機関車や塗装を変えて登場したEF510形電気機関車の500番台、「トワ釜(ガマ)」は寝台特急「トワイライトエクスプレス」の塗装とあわせたEF81形電気機関車やEF65形電気機関車です。「銀釜(ガマ)」は、関門トンネル通過用に車体の腐食を抑えるためにステンレス無塗装となったEF81形300番台で、いまでは303号機のみが残っています。

 このほか、京浜東北・根岸線に投入されたJR東日本の209系電車0番台が「走ルンです」と呼ばれたりと枚挙にいとまがありません。

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