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コロナ禍でどう? 自治体「新幹線通勤補助」の今 都度利用も補助 新幹線ない町も

  • 2020年12月3日
  • 乗りものニュース

移住者を呼び込もうと、都心部までの新幹線通勤費を補助する地方自治体が複数存在します。コロナ禍でテレワークが進み、郊外への移住も注目されるなか、この制度は強みになっているのでしょうか。

補助額も様々 月最大1万円から5万円まで

 新型コロナでテレワークが一気に普及した2020年現在、都心部から地方への移住を検討する人も増えているようです。そうしたなか、新幹線を使った遠距離通勤に補助金を出す自治体が存在し、その数はここ数年で増えてきました。

 ひとつのきっかけとして、2016年の税制改正が挙げられます。このとき、通勤費が非課税となる限度額が月10万円から15万円に引き上げられ、おおむね200km程度までの新幹線通勤がしやすくなりました。実際、今回取材した関東近郊で新幹線通勤の補助制度を設けている自治体も、多くが2016年か、それ以降に開始しています。

 その補助額や期間、また条件も自治体により様々です。たとえば、東京駅から約80kmに位置する栃木県小山市は2017年から、新卒者と40歳以下の転入者を対象に補助制度を開始。1か月1万円を限度として、最大3年間、東京方面への通勤を補助しています。

 一方、東京駅から約200kmに位置する新潟県湯沢町は2016年に制度を開始し、補助限度額は最大5万円、期間は最大10年間です。湯沢町企画政策課は、「ほかの自治体よりも補助が手厚い」と胸を張ります。

 また、埼玉県北部に位置する美里町のように、町内に新幹線が通っていなくても、新幹線の通勤費補助制度を設けている自治体もあります。この町の新幹線の最寄りは隣の本庄市にある本庄早稲田駅ですが、町内を通るJR八高線が発着する、群馬県の高崎駅から新幹線を利用しても対象だそう。補助限度額は月2万円まで、期間は最大3年間で、町内に家を買う(新築または中古)ことが条件になっています。これは、補助期間終了後の転出への対策だそうです。

 では、これら制度はどれくらいの人に利用されているのでしょうか。

2020年度は「利用減」

 小山市の場合、初年度となる2017年度には14人でしたが、2019年度には56人となるなど、制度の利用者が増加してきたそうです。

 もともと、大学卒業後に市から転出して働き始める人が多かったことから対策をスタートしたそうですが、「制度を利用する人は特に、小山市とゆかりのない人も多い」とのこと。純粋な移住者を呼び込む策として一定の効果を発揮しているようです。

 一方で湯沢町の場合は、これまでで延べ6人、美里町では1人が制度を利用しているとのこと。湯沢町の場合、そのほとんどは元湯沢町民、あるいはその配偶者だといいます。

 ただ、2020年度は3自治体とも、制度の利用者が減った、あるいはゼロになったそう。小山市では利用を一時中断する人もあり、11月現在で43人だそうです。理由は3自治体とも「テレワークの普及で、出社する機会が減ったため」と口を揃えます。

 というのも、これら制度は新幹線の「定期券」に対して補助する制度であり、出社機会の減少で定期券が更新されなくなったのです。

 こうした変化にいち早く対応したのが、上越新幹線の上毛高原駅がある群馬県みなかみ町です。もともと2019年度から定期券への補助制度を設けていましたが、2020年10月からはリモートワーカーの利用を想定し、都度の利用、つまり毎回の新幹線代も3分の2まで(最大月3万円まで)補助するようになりました。

 みなかみ町はさらに、町内へテレワークの拠点も整備しており、「今後は新幹線の補助と両輪で進める必要がある」とのこと。ただし2020年11月末時点で、新幹線通勤費の補助制度を利用している人は、まだいないといいます。

企業側も「新幹線通勤OK」増加

 湯沢町の場合、移住者そのものは増えているものの、それは「コロナがきっかけというより、前々から地方移住を検討していて、コロナで背中を押されたという人が多いのではないでしょうか」と話します。

 ただ、企業側も制度を変えてきており、移住しようとする人に追い風が立っていることは間違いなさそうです。

 東京・永田町に事務所を構える社会保険労務士の芳賀 満さんによると、大手を中心に月10万円くらいまで新幹線通勤費を補助する、という企業が増えているとのこと。おおむね栃木や群馬など、東京から100km程度の範囲に当たるといいます。

「新たに新幹線通勤OKとしたところもありますが、もともと制度として存在したものの、あまり使われていなかったというケースも少なくありません。企業側もこれまでは、費用が高くなるために及び腰になっていました。しかし現在は、テレワーク推進率をKPIとして定めるところもあり、遠方に住んで出勤は週1回でよい、とする企業も増えています」(芳賀さん)

 2020年11月現在の芳賀さんの実感としては、東京周辺から郊外への転居は増えてはいるものの、ほぼオフィスワーカーに限られることもあり、多くの人が一気に移住しているというわけではないといいます。しかしながら、「たとえば金融業界などが支店を減らす動きもありますので、今後も郊外移住は増えるでしょう」ということです。

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